秋の、オデオ断念‥‥~~;。

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     まず‥‥ちょっとヒドい目に遭いました ;;。

    バッハのカンタータ、リヒター盤。

     バッハのカンタータは、カール・リヒター指揮のDG盤、O.I.B.P.リマスターされた国内盤2枚組で持っているだけで、しかしこの2枚組には大バッハの代表的な教会カンタータが入っていて重宝するのである。
     が、O.I.B.P.化された音源の国内プレスは、高域と倍音が強調感を持ちすぎ、ちょっと聴きづらい。

     そこで、旧マスタリングと思しい国内盤で、単売と3枚組を見つけ、Amazonの中古、その商品説明で「帯付き」とあるのをポチったのだけれど、来てみると、2点とも帯がなかった!
     到着した日に、双方のショップに Amazonのフォームから通知し、すぐ返品に応じてもらえた。

     というハナシなのだが、今回、片方のショップは、またも HMVだった。もう一件は、「買取王」というニックネームを称しているところ。こちらももう実績の多い、信頼度も高いショップのはずである。
     いやはや。


     ま、それだけならCD購入の、軽いトラブルのグチに過ぎない。
     この数日、ずっと考え‥‥というより捕えられていたのは、スピーカーの新規導入! だった。

     機種は、と〜ぜんのことというべきか、ワーフデール Diamond 220、です^^。

    Wharfedale Diamond 220

     なお、 Wharfedaleは、イギリスの地名でもあり、発音記号では[wɔ́:fdeil]であるので、カタカナで表記すれば「ウォーフデイル」あたりが正しいのだが、「Wharf」は、向こうの発音でも「ワーフ」と聞こえるので、私は「ワーフデール」と書くことにする。「ワーフェデール」はそうとう実態と離れるのではないか。

     「と〜ぜん」と言ったのは、いつも拝見する たっちんさんのブログ記事に端を発するゆえ、だ。

     現用の Tannoy Mercury F1 Customは、心地よい音を聞かせるが、オーディオ的楽しみが極度に少なく、かつ、最近の印象は、高音がツルツルになってしまったコク、粒だちに欠ける音と感じることも多い。
     そこに たっちんさんの魅力あふれる紹介を読み、そこから、英Amazonと米Amazonにある、仕上げ2種の、計4種分のレビュー記事をなめまわし、その他で英文のレビュー(機種紹介だけでなく、ライターの評価の入ったもの)3種くらいを眺め、もうこれ、ポチろう、というところで、ブックマーク・フォルダそのものを削除し、まだ買っていない。

     英語・日本語圏のレビューは、きわめてよい。
     が‥‥どうしても‘ポチ’に踏み切れないのは、2つの動画の音声による。
     ひとつは、逸品館の、同機種の試聴動画
     この中の、チャイコフスキー:『弦楽セレナーデ』の、とくに高弦がいささか bright過ぎる。

     もうひとつは、たっちんさんに記事に触発されてか、すぐ購入された Zジジイさんの、こちらの試聴記事にある、ライナー/シカゴ響による、バルトークのオケコン。
     こういう動画は、録る機材や録り方にもよるし、またXRCDゆえの高解像度もあろうけれど、やはり弦の出音がキツめだ。Zジジイさんは、「どこまでも穏やか にそして 緩やかに」、「この「ぬるさ」は、、、まぎれもなく、「Wharfedale DIAMOND 220」でございます!」というインプレであり、Zさんには全くそのとおりなのだと思うが、私には明らかに brightかつ revealingに過ぎる音に聞こえる。
     (Zジジイさん、使わせていただいて申しわけなく… m(_ _;)m。)

     使い始めて足かけ7年めに入る、現用の Mercury F1 Customは、もともと高・低ともロールオフした、至極まったりタイプのスピーカーであり、マニアに知られるショップ、吉田苑の紹介記事(こちらのページの、上から3/4くらいのところにある)に「解像度やスピードを求める方にはお薦め出来ませんが、定位を明確に提示しながらもキツイ所が無く耳当たりの良いソフトな音質で、曖昧な音にならずに出すべき所はしっかり出してきます。/レンジは欲張らずに上も下も滑らかに減衰させてあり、この無理をしていない所がまとまりの良さにつながっているようです」とあるレビューに、まったく同感である。

     ‘オデオ’っぽい要素がまるでない、ひたすらゆったり音楽を聴かせる Mercury F1 Customには、調整地獄から脱したころの私には最適のスピーカーだったのだけれど、さすがにぼつぼつちょっと、その刺激のなさに飽きが来ている、という昨今。
     まったりした出音は、音楽の穏やかなところではえも言われぬ雰囲気を醸し出すが、楽器が重なって強音になる部分では、かえって混濁感を生じ、耳障りになる。

     とはいえ、オーケストラのゆったりした低弦や、室内楽のトロリと甘美なヴァイオリンは、やはり捨てがたい。
     こういう状況で Diamond 220に交換すると、また不満が出そうな気がする。

     いろいろと調べるうちに、ワーフデールの創業者・ギルバート・ブリッグズの伝記の存在(しかも現在、10ポンドで新本が買える! )まで視野に入ってきて、そっちもポチりそうになったのである^^;。

     ‥‥は〜てさて。当面、スピーカーケーブルの交換 ― QED 79 Strandあたり? ― などで、Mercuryのポテンシャルをフルに活かす方向を考え、スピーカーそのものは買わないこととしようか〜。

     YouTube動画でいろいろ試聴して、Wharfedaleでは、やはり、上級機種(値段、倍以上)の Dentonの音は、ひと味もふた味も違う。



     上のほうの動画は、デジアンでドライブ、下のほうは、バジェット・プリメインといってよい、NAD 3020iの、パーツ交換品(ニチコン MUSE KZなどを投入)でドライブしている。

     ヘッドフォンで聴くと、声質がもう、Mercury、Diamond、Bronzeなどのグレードとは、格が違うものを感じさせる。
     ほかにも動画を調べて試聴すると、自分が求めるあたりと一致するのは、この Dentonや、Daliの Menuetクラスであることが実感されてくる。
     が、今の財政では、いやむしろ、あとあとのことを考えるほど、ペア10万のスピーカーへの出費は望ましくない。
     それに、Dentonのいささかシブい出音は、J-POPなんかも聴かないわけでもない私には、ちょっと重すぎるかもしれない。

     スピーカーケーブル、アンプの電源ケーブル、それと、Mercury F1の振動板まわりの清掃、さらにラウンドバッフル部のフィルムの剥がれの修復など、考えてみますかねえ。

    PV、また急上昇! …しかし。

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       拙ブログへのアクセス=PVを、けっこう気にしつつ見ているのだが、このところまた異様に増えている。

      PV急増

       今週の月、火は、2,000を超えるという、これもう異常。

       で‥‥何かあるのか? と探ってみる‥‥無料サービスだと使えるツールが限られるが、とりあえず「リンク元」を見てみる。と…

      リンク元

       検索サイトも多いけれど、拙ブログの http://bluegourd.jugem.jp/?eid=729 が圧倒的な上位を占める。
       ふむ〜‥‥NHKか…。

       しかし、そんなにNHKの請求のことを検索する人が多いのだろうか?
       たしかに、Googleで、「NHK 返送 封筒」で 検索すると、拙ブログの当該記事が上位に出てくる‥‥のではあるが…。

       いやはや…;;。

       当該記事では、そして私のNHK受信料に対するスタンスは、「受信料を払わない視聴」には反対なので、受信料支払いの反対派 or 不要派とは相容れない。
       加えて、番組のクオリティ面でも、最近、よそ様のブログから得る情報では、《NHKスペシャル》などで、秀作が制作・放映されているようで、NHKの番組作りには賛意を感じるものなのである。

       それでも、視聴している人を含む多くの人が、やはり受信料を払いたくないというのが事実なのかもしれない。

       ともあれ、拙記事を閲覧される方それぞれの意図・意思は異なるだろうし、せいぜい「へぇ〜、NHKの営業の姿勢に疑問を感じている人は多いんだな」と思うのみである。

       『朝日新聞』について、「インテリが作ってヤクザが売る新聞」という言い方を聞いたことがある。
       NHKにもそういう、制作サイドと「売る現場」との齟齬が素地となって定着しているのかもしれない。

       ※今、この記事をアップするためにブログにログインして、13日(水)のPVを見たら、2,275でした^^。
        私の書いたものが見たい、読みたいというPV増ではなく、NHKという大きな存在ゆえだとわかると、あんまり嬉しくないねぇ〜。

      《この世界の片隅に》再見。

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         《メアリと魔女の花》を観てから、ちょっとばかり‘映画づいて’しまい、2週間後に《この世界の片隅に》の2度めを観た。

        この世界の片隅に

         《この世界…》は、複数回映画館に足を運んだ人がそうとういるようで、観るたびに新しい発見と感動が云々という話も多い。
         9月にディスクが発売されるということで、さすがに長く続いた延長上映も8月末で終了するところが多いようだ。

         朝の上映は行けないので、夜やっているところ、というと、新百合ヶ丘の川崎市アートセンター内の、アルテリオ映像館というところ。
         駅を出てそう遠くないところにある。この地は、日本映画大学などという大学もあって、‘そういう’雰囲気である。

         110席ほどの定員制で、ここの音響設備は、メイヤーサウンドというところのものを使っている。悪くなかったけれど、スピーカーの設置様態からか、音の広がりはあまりない。

         当日は午後8時から上映、80席弱は埋まっていたようだった。年齢・条件に関わりなく、1,000円均一。

         いちど観ているので、展開は当然わかった上で、であるが、やはりほんとうに観応えがある。といって、‘涙が出てくる’ということはない‥‥これは私がそういう人間だからだ。
         2回観た価値はあった、というのが実感だけれど、DVDまで買うところまではいかない。むしろ、劇場での「すずさん」との出会いを、胸に沈めておこう、という感じ…。

         この作品の、まず第一の成功の元は、原作、だろう。稀有な原作と、片渕監督の恐るべき才能と執念とが、なにかある種超常的な力に結びあわされて、この世に現われ出た、というようなものとしか言いようがない。

         以下の YouTube動画(正確には音声)は、TBSラジオの《伊集院光とらじおと》の記録と思われるが‥‥


         前半のほうに、奇跡的に原作者とコンタクトがスムーズに取れたことが語られる。
         伊集院 光という人は、ラジオだと語りが大げさすぎて興ざめすることが多いのだが、この回は、相手が相手(!)であるせいか、地に足がついて説得力がある。
         この音声で、21分45秒以下あたりのところから一緒に仕事をした宮崎 駿の名前が出てくる。
         伊集院:「実際、ま、ざっくりですけど、どういう人ですか、宮崎 駿…。」 片渕:「え? めんどくさい」(笑) (23分くらい)
         伊集院:「高畑(勲)監督はどうですか?」 片渕:「高畑さんもめどくさいんですよ」(笑) (24分35秒くらい)
         の会話は、もうよく知られているらしいが、面白い。

         その「めんどくさい」宮崎 駿と高畑 勲両監督は、《風立ちぬ》(宮崎)と《かぐや姫の物語》(高畑)を、同時公開を期して制作し ― けっきょく高畑側の遅れから別途公開となったらしい‥‥この辺は、私はほとんど興味がなくリアルタイムには何も押さえていない。

         が、その制作過程の、宮崎サイドを詳細に、というか執拗に追ったドキュメンタリー映画:《夢と狂気の王国》(砂田麻美監督、川上量生[ドワンゴ]プロデューサー(← 実験的動画で宮崎監督を怒らせたヒト。))が、違法っぽいがスペイン語字幕でアップされた動画で ― 制作者には申しわけないが ― 観た:


         音声はモノラルの貧弱なものになっているが、画面は、スタジオの内部、周辺など、何ともいえないほど美しい箇所がいっぱいある‥‥といって、これをDVDを買って観ようとまでは思わないけれど、宮崎 駿・ドキュメントとして、非常に秀逸だ。

         この動画は、テレビではまず放映できないような、政権批判と取れる場面までネグレクトせずに収めている。

         宮崎氏は、改憲反対であることを明言しているものとみえ、「「風立ちぬ」宮崎駿監督の反日妄想を嗤う」(産経新聞サイト。『月刊正論』所載の文章とのこと)なんていう、吐き気のする‥‥いや吐き気もしないようなクソ言説の類いがカビのように生えてきている。

         筆者の三品なる人物は、終わりのほうに、宮崎氏が自身の父の思い出を語ったことばに対し、「こんな童心を今に留めているからこそ数々の名作を生み出せるのかもしれないが、どうもこの種の人々の特有の青臭さが鼻につく。それは「体験なき者の横暴」である」と結んでいる。
         《夢と狂気の王国》には、父に対する、もっと複雑な印象が語られている。三品某なる人物のほうこそ、「体験なき者の横暴」を無慙にブチまけて憚らない。
         加えて、こういう手合いが「数々の名作を生み出せるのかもしれないが…」などと言っているのにも違和感ただならぬものがある‥‥これはまあ、一般的に、この種の糞言説の生産者は、こういうところは‘世間の評価に従属的’ということだろう。

         ‥‥余談に入りすぎた。が…私は個人的に、宮崎 駿の「護憲論」に、あまりシンパシーは感じない。
         それから、私自身は宮崎アニメのファンでは、基本的に、ない。
         すばらしかったと記憶するのは、《耳をすませば》と《千と千尋の神隠し》だけで、それも、VHSを廃棄した今、DVDで買いなおそうとは思っていない。

         それにしても、なぜ《この世界の片隅に》にはこんなに説得力、存在感があるのか。
         原作者と監督の、何かに結び合わされていったがごとき出会い、主演声優・のん さんをはじめとする適役声優の集合など、目に見えない‘何か’が地下水のような流れを作っていった‥‥。
         意識的・意志的に「反戦」を描こうとしたのではなく、死者たちの思いと生者たち ― クラウドファンディングの有志の人びともその底流だ ― の思いとが、どこかで重なり合い、融和して大河のような「流れ」を作っていった‥‥ような気がする。

         先の戦争において落命した我が国の人びとは230万を超え、その多くは餓死と病死だったのである。
         国家の無計画・無責任な戦争遂行のもたらした、こうした餓死者と病死者の「思い」が、生存して辛酸をなめた人びとの思いとともに、《この世界の片隅に》の制作過程と、映像に、沁みこんでいるように感じないでもない。
         それは、けっして声高でもイデオロギッシュでもない。「人が死ねば土に還る」、その土にまた、草が芽生えて花が咲く、ように‥‥。

         戦争体験を語ることに、とても消極的な人は少なくなく、それが「聞き取り」、「証言採取」を行なう人びとの作業を難しくしているということをよく聞くが、《この世界の片隅に》では、すずさんが目の前で、「その時」の姿を見せてくれる。

         「過去にもどる」タイプの、いわゆるタイム・ファンタジーは英国の児童文学の一ジャンルをなしていて、フィリパ・ピアス:『トムは真夜中の庭で』やジョーン・ロビンソン:『思い出のマーニー』はその分野の名作だ。
         読んだ方にしかわからない言い方になるけれど、『トムは真夜中の庭で』において、トムがハティに、『思い出のマーニー』において、アンナがマーニーに会うように、《この世界の片隅に》では、私たちは「すずさん」に会うことができるのだ。

         ‥‥長くなったので、米林版《思い出のマーニー》については、また別記事にて…。

        《メアリと魔女の花》…雑感

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           数週間前、立川でちょっとだけの仕事のあと、ちょうど1時間おいて上映開始だったので、立川の映画館は初めてだったが、立川シネマシティという館で映画を観た。
           お題は‥‥『メアリと魔女の花』。
           そうそう、去年還暦を越えたので、1,100円で入場できる。ちょっと割引きが大きすぎるようにも感じないでもない。というより、通常の1,800円が高過ぎる。

           これは、yositakaさん(ネコパパさん、がほんとう?)のブログにおける紹介で知り、私の感想はかなり yositakaさんのレビューに影響されている面、否めないことを書き添えて、私の雑感を‥‥。

          メアリと魔女の花


           あらすじは、yositakaさんのブログにも引用される、Wikipediaでどうぞ。

           自分によいところを見つけられない女の子が、偶然見つけた魔法の花の影響で、魔法の世界に行って、最初大歓迎されるも、正体を知られると姿を変えられそうになり、知人の少年が巻き込まれ、彼を助けようと大活劇‥‥。

           スタジオ・ジブリ‘出身’の監督ということでジブリ‘ゆずり’の精細な絵、とくに風景画像の美しさ、精細さがまずは期待される。
           さすがに、美しい、のではあるが、イギリス‘ふう’のロケーション ― 明らかにイギリスの田園地帯を想定… ― の、まさにイギリス風庭園の、その植物の描写は、意外に粗雑に見えた。
           末尾には植物の実写と思しい絵が使われていたと記憶し、これなどは私には興ざめだった。

           描くのが困難といわれる、水の立体的描写に挑戦‥‥とも言われているが、‥‥


           魔法大学エンドアの、マンブルチューク校長のイメージが噴水から立体で飛び出す絵。立体感が、意外にない。これは技術的にしようがないのかもしれないけれど。

           その他、何しろ、子ども向けの冒険大活劇アニメなので、細かいところを云々する気持ちは起きず、まあ、楽しんだといえば、十分楽しんだのであるから、それでよいともいえる。

           ストーリーの重要点は、何といってもエンドア大学の首脳たちの‘大’魔法プロジェクトが、「暴走」すること、それゆえ、ヒロインが、最後、「魔法なんか要らない!」といって、秘密の書『呪文の神髄』の中から、「全ての魔法を解く呪文」を選んで使う、というところにある。

           すでに多くのレヴューに言われるように、これは明らかに原発事故への批判であり、科学暴走への警鐘だ、ということは明らかで、「魔法なんか要らない!」は、それらへの強い拒絶の意思表明だ。
           そこに収斂してゆくストーリー ― 原作は未読で、気にはなる ― では、「魔女の花・夜間飛行」が放つ、妖しいブルーの光の豊かなふくらみは、ただ「封印すべき危険なもの」としてのみ描かれる。

           レヴューを拝読した yositakaさんが言われたとおり、ここでは「魔法の多義性」は捨象されてしまっている。
           これはどうなんだろう‥‥と不満には思うのだが、短いアニメで、この辺を描き込むのは、無理だった、と解しておくしかないだろう…。

           最近、デュトワ/モントリオール響のCDで、デュカスの交響詩『魔法使いの弟子』を買い戻した。
           この楽曲は、ゲーテの原詩に基づき、魔法使いの未熟な弟子が、水汲みの仕事を箒にやらせようと呪文をかけるも、魔法を解く呪文を知らず、箒が汲んだ水で洪水になりそうになったところに師匠がもどり、事なきをえる、というストーリーを音楽化したもの。

           何といったらいいか‥‥《メアリと魔女の花》は、『魔法使いの弟子』を、逆ヴァージョンにした‥‥のでもなく、「師匠」と「弟子」だけが逆になったヴァージョン、なのである。
           こう考えると、ちょっとは面白いか。

           ゲーテ=デュカスのストーリーでは、「未熟者が奥義を使おうとしてはならない」ことの教訓であり、一般にはわかりやすい。
           《メアリと魔女の花》では、魔法の専門家で、達人であるはずの博士と校長が魔法を暴走させ、それを、「魔法素人」のヒロインが止める。

           そして「全ての魔法を解く呪文」‥‥これが原作にあったのなら、それはますます興味深い。

           話が飛ぶ。
           整体の創始者・野口晴哉は、相手を金縛りにする術を心得ていて、妻・昭子(この人は、近衛文麿の長女。つまり近衛秀麿の姪)が「私も修行して出来るようになりたい」というと、野口は「修行なんて無駄なことさ。みんなお互いに暗示し合って、相手を金縛りにしているじゃないか、自分もまた自分を金縛りにしているじゃないか。人間はもっと自由な筈なんだ」と答えた、という(参考ページ)。
           この話はなかなか有名な話なのである(整体を知っている人たちの間でだけ、か;;)。

           つまり、野口先生の整体への姿勢は、「不要な思い込み=(潜在意識的)自己暗示を解く」ことにひとつの主眼があった、わけだ。

           ‥‥とまあ、こういうことを連想すると興は尽きないのだけれど、こういうふうに「アタマ」で考えないとあまり面白くない、というのは、映画としては甚だよろしくない。
           声優陣は豪華だが、庭師ゼベディの声、遠藤憲一さんは、これは全く合っていない。
           別記事にしようと思うが、《思い出のマーニー》で「大岩さん」(原作のペグおじさん)役の寺島 進さんのほうが、合うのかな、と危惧したけれど、こっちはドンピシャのはまりだっただけに、残念。

           今回、還暦を超えていたので、じじぃ割引=シニア料金=1,100円で観られた。これが1,800円払って観ていたら、不満感はより強かっただろう。

           さて‥‥原作はどんなものなのか、という興味は募る。
           メアリ・スチュアートという、伝説的なスコットランド女王の名を、偶然にも結婚によって得てしまった作家が、どんな筆致で描いているのか。
           《思い出のマーニー》が「読んでから観る」になった(DVD、観ました^^)のと反対に、「観てから読む」か‥‥あ、これ、一時 KADOKAWA映画の宣伝キャッチだったな〜^^;;。

           末筆ながら、映画をご紹介くださった yositakaさんには厚く御礼を申し上げ、かつ冷やっこいレヴューになったこと、少々お詫びいたしまス^^;;。

           ※このあと、《この世界の片隅に》の2度めを観、DVDで《思い出のマーニー》も観ましたが、ちょっと長くなるので、また別記事ででも‥‥。

          [付記]
           この映画で、魔法を暴走させてしまう「デクター・デイ」は、英語表記だと Doctor Dee である。
           だとすると、この人物の名は、まさにメアリ女王の時代に実在し、今日のルネサンス研究が解明してきた、占星術師 ドクター・ジョン・ディーにあやかっている。

           イギリスの児童向けファンタジーの秀作、A.アトリー:『時の旅人』には、ヒロインが、過去の人びとにとっての「未来」を知っているため、「エリザベス女王の占い師、ディー博士を訪ねたことがあるのか? 」と詰問される場面がある(岩波少年文庫版、158頁)。

           澁澤龍彦『黒魔術の手帖』では、第1章冒頭に、この人物が死者を呼び寄せている場面の挿絵が掲出される。澁澤の表記は「ジョン・デイ」であるが、映画ではこれを採った…のか?

          8月に買ったディスク。

          0
             8月終了〜‥‥ ;;。
             今月は24日出勤、9月末には今の仕事先では一番多い振込み額になりそうである。
             すでに地方税、国保保険料は全額納付している。といって、オデオやディスク、書籍などにもうあまり出費してもしようがないし、まとまった貯金ができるような収入額にもならないから、10月くらいに、国民年金保険料の免除分の、復活納付を、年金事務所に相談してみようと思う。

             夏期中も、週末にはハンで押したように○痢‥‥‘夏期仕事納め’の30日には、水曜なのに下○^^;;。これでアタマの緊張をほぐしている感、見えみえ。

             この、けっこう忙しい夏、意外に、映画を2度観た。 
             ひとつは、お邪魔しているブログ記事から知った、《メアリと魔女の花》。
             これについてちょっと書こうと思っているが、いろいろあって、いっぽう時間とともに物語の細部は忘れていくし、でなかなかアップできない。
             そうしているうちに、《この世界の片隅に》をもう一度観たくなり、都内首都圏の夜の上映で観た。そのために、仕事が終わってから新百合ヶ丘まで行ったり。

             なかなか書けそうにないので、ここ3〜4日で買った中古CDを。

            8月に買ったCD。

             今回はフランスを中心に、ラテン系を。
             イベールの管弦楽曲集は、佐渡 裕/ラムルー管の Naxos盤を持っていて、悪くないと感じていたが、もう数年、一度もCDプレーヤーにかかっていない。
             佐渡さんの演奏は、丁寧だが、リズムとフレージングにいささか軽みが不足する‥‥大野和士さんにも、そういう面を感じたことがあるし、評でも読む‥‥ところがあって、かつデュカスの『魔法使いの弟子』なんかも欲しく、デュトワの『フレンチ・コンサート』を買った。別番号でかつて持っていた盤だ。

             このアルバムのイベールは『喜遊曲』だけなので、『寄港地』は、マルティノンの仏EMI盤にしようと、探すと、HMVが中古を持っていた。
             HMVのサイトで買えば、2枚以上買っても送料は378円 ― 今回は、送料無料になる2,500円までは買うものがない ― なので、アルゲリッチ+バレンボイム/パリ管の、ファリャ『スペインの庭の夜』も一緒に注文。

             ジュリーニ/ベルリン・フィルによるフランクの交響曲も。これも番号の違うディスクをかつて持っていて、生活費に変わっていた。

             佐渡のイベールは、リマスターが耳に合わないグールドの『平均律』や、テンシュテットの『千人の交響曲』ライヴ(LPO)、アッカルド+ジュリーニのベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲などといっしょに、ユニオンに売ってしまった。

             テンシュテットのライヴの『千人』は、歌手たちの絶叫 ― それも倍音が歪っぽく、聴きづらい ― をはじめ、部屋で聴くにはよほどのテンシュテット・ファンでないとつらいものがあるし、録音が、悪い。

             それから、超-久しぶりのDVD購入。《思い出のマーニー》。原作は、アトリーの『時の旅人』などと同じように、酒が入ったあとに終末部を読み返して、未明に泣いたりする(泣けます!)本だけれど、アニメ映画のほうは《メアリと魔女の花》の米林監督によるもので、劇場で観そびれているので、買ってしまった(ヤフオク! 出品のブックオフで、セル版)。

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            やっぱりこれは、音楽の世界遺産!
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            チャイコフスキー : 交響曲第6番ロ短調<悲愴>
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            ベルリン放送交響楽団,チャイコフスキー,フリッチャイ(フェレンツ)
            ※クラシックで1枚、といったらコレ!! 新しい国内盤が出ています。
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            Symphony No. 8
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            D. Shostakovich
            ムラヴィンスキー/レニングラードの決定盤!!
            求めやすい alto盤が、Amazon.co.jpにも入りましたので、入替えておきます^^。
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            はてしない物語
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            “虚偽”の時代への警鐘!
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            風邪の効用 (ちくま文庫)
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            野口 晴哉
            やっぱりこれは入れておかないと…。
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            永沢 哲
            整体の創始者・野口晴哉の核心に初めて思想研究として迫った力作!!
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            「ひきこもり」だった僕から
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            上山 和樹
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            丸山 圭三郎
            小冊子ながら、限りない示唆に満ちた名著
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            シンクロニシティ (サンマーク文庫―エヴァ・シリーズ)
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            F.デヴィッド ピート
            ‘シンクロニシティ’を可能なかぎり、‘トンデモ’から離れて説いた良心的な一書。
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