惨憺たるおサイフ状況だというのに、中古CDプレーヤーを落札してしまいましタ。
ソニーの、光学固定式で最安価の、CDP-XE700(写真の、下のは旧室から持ってきた PHILIPS CD750(改))。
どうやら、低価格帯でネット上に確乎たるレビューを得ている機種は、‘あの’パナソニック SL-PS700とこの CDP-XE700だけのようだ。
どちらも‘700’。
とにもかくにも本機が有名なのは、とりもなおさず、‘あの’クリスキットの桝谷英哉氏が「CDプレーヤーはこれにしときなはれ」と明言していたことによる…ようである。
こちらには、そのありさまが物語風に記されていて、読ませる。
リンクの記事には、XE700であると明示されていないけれど、XE700を推薦されたという証言は他にも2〜3件。
出品は所沢の中古ショップで、梱包は今までオクで買った個人出品者・ショップを問わず、最も丁寧だった。到着3日以内の不良は対応、とのこと。
そのせいかわからないが、中をあけて触ってから「不良だった」と突っ返す客(いるのか?)対策なのか、一度ボンネットをあけると跡が残るタイプの「開封厳禁」シールが、左サイド奥側に貼ってあった。
すべてにわたってよいサービスだったので、これはちょっと、だった。どうせあけて写真を撮るのだが。
出品商品には、代替リモコンを付けるとのことだったが、「質問」で聞いてみると、音量調整はできないものだとのこと。この質問には、終了日の質問で、しかも日曜だったにもかかわらず、終了までに回答してくれたのには恐縮した。
《オーディオの足跡》さんの記事を見ると、純正リモコンは RM-DX50というのだとわかる。
ネットオクに、CDP-XE700で出品されている純正リモコンより、リモコン型番のみで出品されていたもののほうが500円ほど安かったので、そちらを即落。
なぜリモコンがあったほうがよいかというと、ヘッドフォン出力は、ライン出力からVRを通すのではなく、ライン出力をDSPかDACかでデジタル的に音量を調整し、そのままヘッドフォン・アンプに流しており、かつフロントパネルには操作ボタンはなく、リモコンからのみ調整できる、という仕様だからである。
テンキーもリモコンのみ、あと、リモコンだけの機能としては、ディスプレイの消灯がある。
いっぽうでトレイの出し入れは本体ボタンのみ、と、フロントパネルとリモコンを使い分けている観がある。
ACコードは直か出しの細いもの。
片側に白線が印刷されている。機器の筐体ネジと畳にしゃがんでいる私の手との間で、ACプラグの挿し方向により、AC5Vと8Vが出る。低いほう=5Vになるのは、白線側をACのホット側に挿す方向だった。こちらにしておく。
本機の高評価レビューは、ネット上に4件ほどあるが、そのひとつのこちらには、
「外観から受ける印象は実に質素で高級感は感じないが、ソースの忠実再生という観点からは素晴らしい音質だと言える。/実際に、スタジオでレコーディングでのモニターで確認した音をCD化し本機で再生した事が何度もあるがとても優秀な再現性がある」
とある。
2ちゃんねるのある書き込みにも、
「つなぎのつもりでCDP−XE700という低価格の機種を購入しました。(中略)音の鮮度が高く、高低のバランスが良く、何を聴いても自然な感じでクセがありません。/以前CDP−XA7ESを新品購入し、その音にガッカリしたことがあったのですが、XE700の音はほんとに素晴らしいと思いました」
な〜んてあるので、聴いてみないではいられなくなる。
開梱して早速少し聴いてみた。
ネット上の評価が、「なるほど」と感じられる、ほんとうに‘これ’という、いい意味での輝きも、悪い意味での強調も、一切ない、バランスが極めてよくナチュラル、悪くいえば凡庸な音である。
CD750(改)が、とくに改造後、高域の輝きと透明さが増し、繊細かつ神経質になっているが、これと比較して、ず〜っと穏やかな、そして中域がぶあつい響きだ。
ぶあついといっても、さして重厚ということではない。
オケで、ヴァイオリンやフルートが浮かび上がるところでも、内声部の第2ヴァイオリンやヴィオラがしっかりと聞こえ、チェロのユニゾンが、輝きはせず、しかしじつに美しい。
ブーレーズ/フランス国立管の『春の祭典』(コンサートホール盤)は、旧室で CD750(改)で聴くと薄っぺらな響きになり、他のディスクに食指が動いていたのだが、XE700だと、聴けるかもしれない。
併録の『結婚』は、CD750よりさらに音がこもるが、ヴォーカルが自然だ。
XE700のナチュラルさはなんなのだろうと考えてみた。
今までの多くのCDPでは、定位のよいものでも、楽器の音や歌手の口が空間に「ポン」と浮かぶように聞こえるのだが、XE700では、奏者や歌手がちゃんと立っているような感じで、さらに、ステージ、スタジオ、ホールがちゃんとそこにある、という感触なのである。
これは、いわゆる「ホールトーンが豊か」という意味では全然ない。また、情報量が多いというのとも違う。
都はるみの「古都逍遙」では、バックのオケと混然となって歌が聞こえてきて、バックのオケのパートもそれぞれ平等に聞こえる。
反対に CD750(改)のほうで、圧倒的な繊細さと輝きを聴かせたのは、ポリーニによるベートーヴェンの後期ソナタ集。
これは XE700では、かなり鈍感に聞こえる‥‥のではあるが、楽曲そのものを聴くには、このほうが正解なのかもしれない。
CD750(改)は、前記事で「こぢんまりした」と書いたものの、やはりとことんまで突きつめて磨き上げた高音のタッチが、私のチューン=私が求めるものを端的に表わしていて、それがデフォルトの XE700との違いで、さらにくっきりと知らされた。
桝谷さんはガンコで知られるが、選んだ音はきわめてバランスの取れた、‘オデオより音楽’の象徴みたいな音だった。
私が自作や改造チューニングで自然と進む方向は正反対で、神経症的に突きつめる深さや輝き、なのだった。そしてそれが、自分でイヤになっている。
私は、桝谷さん個人とは、一回きりの手紙のやりとりで大ッキライになってしまっている。
やはり、今回の比較でも、桝谷さんとはおつきあいしなくてよかった、と再確認した次第だ^^。
それだけに、CDP-XE700は、私のオデオのこの上ない解毒剤になりそうなのである。
先ほど、ヘッドフォンでイーグルスの『ホテルカリフォルニア』を少し聴いた。
男性ヴォーカルの通りがとてもよく、周囲の楽器のどのパートも埋もれない、ほんとうにいい再生だった。
ソニーの、光学固定式で最安価の、CDP-XE700(写真の、下のは旧室から持ってきた PHILIPS CD750(改))。
どうやら、低価格帯でネット上に確乎たるレビューを得ている機種は、‘あの’パナソニック SL-PS700とこの CDP-XE700だけのようだ。
どちらも‘700’。
とにもかくにも本機が有名なのは、とりもなおさず、‘あの’クリスキットの桝谷英哉氏が「CDプレーヤーはこれにしときなはれ」と明言していたことによる…ようである。
こちらには、そのありさまが物語風に記されていて、読ませる。
リンクの記事には、XE700であると明示されていないけれど、XE700を推薦されたという証言は他にも2〜3件。
出品は所沢の中古ショップで、梱包は今までオクで買った個人出品者・ショップを問わず、最も丁寧だった。到着3日以内の不良は対応、とのこと。
そのせいかわからないが、中をあけて触ってから「不良だった」と突っ返す客(いるのか?)対策なのか、一度ボンネットをあけると跡が残るタイプの「開封厳禁」シールが、左サイド奥側に貼ってあった。
すべてにわたってよいサービスだったので、これはちょっと、だった。どうせあけて写真を撮るのだが。
出品商品には、代替リモコンを付けるとのことだったが、「質問」で聞いてみると、音量調整はできないものだとのこと。この質問には、終了日の質問で、しかも日曜だったにもかかわらず、終了までに回答してくれたのには恐縮した。
《オーディオの足跡》さんの記事を見ると、純正リモコンは RM-DX50というのだとわかる。
ネットオクに、CDP-XE700で出品されている純正リモコンより、リモコン型番のみで出品されていたもののほうが500円ほど安かったので、そちらを即落。
なぜリモコンがあったほうがよいかというと、ヘッドフォン出力は、ライン出力からVRを通すのではなく、ライン出力をDSPかDACかでデジタル的に音量を調整し、そのままヘッドフォン・アンプに流しており、かつフロントパネルには操作ボタンはなく、リモコンからのみ調整できる、という仕様だからである。
テンキーもリモコンのみ、あと、リモコンだけの機能としては、ディスプレイの消灯がある。
いっぽうでトレイの出し入れは本体ボタンのみ、と、フロントパネルとリモコンを使い分けている観がある。
ACコードは直か出しの細いもの。
片側に白線が印刷されている。機器の筐体ネジと畳にしゃがんでいる私の手との間で、ACプラグの挿し方向により、AC5Vと8Vが出る。低いほう=5Vになるのは、白線側をACのホット側に挿す方向だった。こちらにしておく。
本機の高評価レビューは、ネット上に4件ほどあるが、そのひとつのこちらには、
「外観から受ける印象は実に質素で高級感は感じないが、ソースの忠実再生という観点からは素晴らしい音質だと言える。/実際に、スタジオでレコーディングでのモニターで確認した音をCD化し本機で再生した事が何度もあるがとても優秀な再現性がある」
とある。
2ちゃんねるのある書き込みにも、
「つなぎのつもりでCDP−XE700という低価格の機種を購入しました。(中略)音の鮮度が高く、高低のバランスが良く、何を聴いても自然な感じでクセがありません。/以前CDP−XA7ESを新品購入し、その音にガッカリしたことがあったのですが、XE700の音はほんとに素晴らしいと思いました」
な〜んてあるので、聴いてみないではいられなくなる。
開梱して早速少し聴いてみた。
ネット上の評価が、「なるほど」と感じられる、ほんとうに‘これ’という、いい意味での輝きも、悪い意味での強調も、一切ない、バランスが極めてよくナチュラル、悪くいえば凡庸な音である。
CD750(改)が、とくに改造後、高域の輝きと透明さが増し、繊細かつ神経質になっているが、これと比較して、ず〜っと穏やかな、そして中域がぶあつい響きだ。
ぶあついといっても、さして重厚ということではない。
オケで、ヴァイオリンやフルートが浮かび上がるところでも、内声部の第2ヴァイオリンやヴィオラがしっかりと聞こえ、チェロのユニゾンが、輝きはせず、しかしじつに美しい。
ブーレーズ/フランス国立管の『春の祭典』(コンサートホール盤)は、旧室で CD750(改)で聴くと薄っぺらな響きになり、他のディスクに食指が動いていたのだが、XE700だと、聴けるかもしれない。
併録の『結婚』は、CD750よりさらに音がこもるが、ヴォーカルが自然だ。
XE700のナチュラルさはなんなのだろうと考えてみた。
今までの多くのCDPでは、定位のよいものでも、楽器の音や歌手の口が空間に「ポン」と浮かぶように聞こえるのだが、XE700では、奏者や歌手がちゃんと立っているような感じで、さらに、ステージ、スタジオ、ホールがちゃんとそこにある、という感触なのである。
これは、いわゆる「ホールトーンが豊か」という意味では全然ない。また、情報量が多いというのとも違う。
都はるみの「古都逍遙」では、バックのオケと混然となって歌が聞こえてきて、バックのオケのパートもそれぞれ平等に聞こえる。
反対に CD750(改)のほうで、圧倒的な繊細さと輝きを聴かせたのは、ポリーニによるベートーヴェンの後期ソナタ集。
これは XE700では、かなり鈍感に聞こえる‥‥のではあるが、楽曲そのものを聴くには、このほうが正解なのかもしれない。
CD750(改)は、前記事で「こぢんまりした」と書いたものの、やはりとことんまで突きつめて磨き上げた高音のタッチが、私のチューン=私が求めるものを端的に表わしていて、それがデフォルトの XE700との違いで、さらにくっきりと知らされた。
桝谷さんはガンコで知られるが、選んだ音はきわめてバランスの取れた、‘オデオより音楽’の象徴みたいな音だった。
私が自作や改造チューニングで自然と進む方向は正反対で、神経症的に突きつめる深さや輝き、なのだった。そしてそれが、自分でイヤになっている。
私は、桝谷さん個人とは、一回きりの手紙のやりとりで大ッキライになってしまっている。
やはり、今回の比較でも、桝谷さんとはおつきあいしなくてよかった、と再確認した次第だ^^。
それだけに、CDP-XE700は、私のオデオのこの上ない解毒剤になりそうなのである。
先ほど、ヘッドフォンでイーグルスの『ホテルカリフォルニア』を少し聴いた。
男性ヴォーカルの通りがとてもよく、周囲の楽器のどのパートも埋もれない、ほんとうにいい再生だった。