数週間のスピーカー・コードの混迷の中、どうやらカナレ 4S8が、現用システムと私の嗜好に、とりあえずベストなんじゃないかというところに至り着いた。
高音域が硬いのがちょっと、なのだが、硬めの高音が必ずしも不快でない鳴り方なのである。高域が最も耳障りにならないのは Belden 8470だったけれども、4S8のほうが全帯域が十分に出ているように聞こえ、こっちでスピーカーを鳴らし込んだほうがいいような気がする。
低域は、今まで低域不足と感じなかった、Avanti A.10や KIT-HE07と比べると、スピーカー自体は明らかに低音が出ないのだが、4S8をつないだ時はぐっと深い低音が出る。
‘お気楽’DACと KIT-HE07とから流れてきた深くて高解像なコントラバスというようなものとはずいぶん違う、ちょっとボワンとするが、浮く感じより重心の低い安定した低域である。
麻布オーディオの KIT-HE07の調整で七転八倒した、潮田益子のバッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(東芝Eastworld、写真左上)の、ソナタ、パルティータ各第1番の冒頭曲を聴いてみる。
2本の弦を押さえて弓を当て、重音を弾いてゆくところが聴きどころだが、この重音がたいへんよく聴き分けられる。
高解像度というのとはまた異なる、音楽サイドから見た「声部の絡みの妙」というのがわかる。これまでもそうだったのかもしれないが、4S8でとくに印象的だ。
同じバッハの無伴奏チェロ組曲は、カザルスやトルトリエの盤は手放し、このビルスマの旧盤(BMG/セオン。写真右上)だけになってしまっている。
BMG傘下にあったセオン SeonレーベルがBMGを離脱してから、Sony Classical傘下になってSBMをかけて再発されるまで入手難だったタイトルで、私は中延(品川区)の商店街に臨時に顔を出していたアウトレット店で手に入れた。米RCAのマスタリングのようだが、癖がなくていい音質だと思う。
このディスクの冒頭、今までのスピーカーでも低音はそんなに深い感じで出ないのだが、4S8+Mercury F1でなかなかゆったり深ぶかとした低音が聴ける。
似た系統の楽器で、ジョルディ・サヴァールのバス・ヴィオールを中心にした、映画『めぐり逢う朝 Tous Les Matins du Monde』のサントラ盤(写真左下。かなり古いリリース)。
フランス・バロック期のヴィオール音楽大成者、サント・コロンブと、弟子マラン・マレーを描いた文芸映画? である。
エレキットの真空管バッファー付きCDPで味わいある音を聴かせたものだが、これがいい。バス・ヴィオールの倍音がゾクゾクさせる。
このディスクは、システムに真空管が入っているととくに倍音が深く鳴ってくれるようだ(今回も1本、入ってます^^)。ただ、かなり大きなヴィオールを演奏するときに出る演奏ノイズも、よく再現する。リアリティはあるが、若干うるさい。
あとは、いろいろ聴いてみたが、モノーラル録音のヴァイオリンとピアノのの室内楽 ― ピエール・ドゥカンとテレーズ・コシェによる、フォーレのヴァイオリン・ソナタ、仏Eratoの1958年録音を、ワーナー・パイオニア時代の日本のワーナーがCD化したもの(写真右下)。今はちょっと稀覯盤かもしれない。
高音が伸びきらないヴァイオリンのうしろに、ピアノもこもった音で鳴っている録音で、しかし時代を考えると悪くはなく、じっくり味わうにも穏やかでいいレコードだ。
演奏そのものが、技巧を衒うことなく、音楽を慈しみながら奏でているスタイルで、隠れた名手、名盤と評されそうなディスクである。
部屋の反響の問題で、うちではモノーラルが左に寄りがちなのだが、ちょうどピアノとヴァイオリンとで位置が微妙にずれ、かつそれぞれの楽器が独立してパートを弾く感じがよく聴き取れ、それでいて合奏のまとまりもある、といういい再現を聴かせた。
エラート・レーベルは、70年代にステレオでフォーレの室内楽全集を制作していて、そちらは、レーモン・ガロワ=モンブランという人(三善 晃氏の師匠)が弾いていて、そちらも持っている。
今夜聴いてみると、高域と演奏ノイズがかなり強調され、ヴァイオリニストの音色自体もあまり洗練されたものでないことに気がついたが、フォーレの二重奏ソナタはあまり好きなほうではないので、ドゥカン盤はオクに出して生活費の足しにしようかと思っている。もっとほんとうに聴きたい人がいるはずだ。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・ ―・―・―
そんなところで、まだオーケストラ音源などたくさん試していないけれど、ちょっぴり高域がハードめなのを納得すれば ― その部分は、6N3Pと Mercury F1のキャラでバランスがとれる面はある ― 今までより音楽が生きいきとした表情で鳴ってくれるシステムになったような感じだ。
前にも書いたけれど、Tannoy Mercury、LM3886、カナレのSPケーブルと、いずれも自分のシステムの中ではリヴァイヴァルである。
加えて、私自身は関わりないが、CEC CD2300もティアック CD-P1850のリヴァイヴァルだ。
リヴァイヴァルかつ安価品のシンプルなシステムでこれだけの音が出れば、ま、いいかな〜。
高音域が硬いのがちょっと、なのだが、硬めの高音が必ずしも不快でない鳴り方なのである。高域が最も耳障りにならないのは Belden 8470だったけれども、4S8のほうが全帯域が十分に出ているように聞こえ、こっちでスピーカーを鳴らし込んだほうがいいような気がする。
低域は、今まで低域不足と感じなかった、Avanti A.10や KIT-HE07と比べると、スピーカー自体は明らかに低音が出ないのだが、4S8をつないだ時はぐっと深い低音が出る。
‘お気楽’DACと KIT-HE07とから流れてきた深くて高解像なコントラバスというようなものとはずいぶん違う、ちょっとボワンとするが、浮く感じより重心の低い安定した低域である。
麻布オーディオの KIT-HE07の調整で七転八倒した、潮田益子のバッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(東芝Eastworld、写真左上)の、ソナタ、パルティータ各第1番の冒頭曲を聴いてみる。
2本の弦を押さえて弓を当て、重音を弾いてゆくところが聴きどころだが、この重音がたいへんよく聴き分けられる。
高解像度というのとはまた異なる、音楽サイドから見た「声部の絡みの妙」というのがわかる。これまでもそうだったのかもしれないが、4S8でとくに印象的だ。
同じバッハの無伴奏チェロ組曲は、カザルスやトルトリエの盤は手放し、このビルスマの旧盤(BMG/セオン。写真右上)だけになってしまっている。
BMG傘下にあったセオン SeonレーベルがBMGを離脱してから、Sony Classical傘下になってSBMをかけて再発されるまで入手難だったタイトルで、私は中延(品川区)の商店街に臨時に顔を出していたアウトレット店で手に入れた。米RCAのマスタリングのようだが、癖がなくていい音質だと思う。
このディスクの冒頭、今までのスピーカーでも低音はそんなに深い感じで出ないのだが、4S8+Mercury F1でなかなかゆったり深ぶかとした低音が聴ける。
似た系統の楽器で、ジョルディ・サヴァールのバス・ヴィオールを中心にした、映画『めぐり逢う朝 Tous Les Matins du Monde』のサントラ盤(写真左下。かなり古いリリース)。
フランス・バロック期のヴィオール音楽大成者、サント・コロンブと、弟子マラン・マレーを描いた文芸映画? である。
エレキットの真空管バッファー付きCDPで味わいある音を聴かせたものだが、これがいい。バス・ヴィオールの倍音がゾクゾクさせる。
このディスクは、システムに真空管が入っているととくに倍音が深く鳴ってくれるようだ(今回も1本、入ってます^^)。ただ、かなり大きなヴィオールを演奏するときに出る演奏ノイズも、よく再現する。リアリティはあるが、若干うるさい。
あとは、いろいろ聴いてみたが、モノーラル録音のヴァイオリンとピアノのの室内楽 ― ピエール・ドゥカンとテレーズ・コシェによる、フォーレのヴァイオリン・ソナタ、仏Eratoの1958年録音を、ワーナー・パイオニア時代の日本のワーナーがCD化したもの(写真右下)。今はちょっと稀覯盤かもしれない。
高音が伸びきらないヴァイオリンのうしろに、ピアノもこもった音で鳴っている録音で、しかし時代を考えると悪くはなく、じっくり味わうにも穏やかでいいレコードだ。
演奏そのものが、技巧を衒うことなく、音楽を慈しみながら奏でているスタイルで、隠れた名手、名盤と評されそうなディスクである。
部屋の反響の問題で、うちではモノーラルが左に寄りがちなのだが、ちょうどピアノとヴァイオリンとで位置が微妙にずれ、かつそれぞれの楽器が独立してパートを弾く感じがよく聴き取れ、それでいて合奏のまとまりもある、といういい再現を聴かせた。
エラート・レーベルは、70年代にステレオでフォーレの室内楽全集を制作していて、そちらは、レーモン・ガロワ=モンブランという人(三善 晃氏の師匠)が弾いていて、そちらも持っている。
今夜聴いてみると、高域と演奏ノイズがかなり強調され、ヴァイオリニストの音色自体もあまり洗練されたものでないことに気がついたが、フォーレの二重奏ソナタはあまり好きなほうではないので、ドゥカン盤はオクに出して生活費の足しにしようかと思っている。もっとほんとうに聴きたい人がいるはずだ。
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そんなところで、まだオーケストラ音源などたくさん試していないけれど、ちょっぴり高域がハードめなのを納得すれば ― その部分は、6N3Pと Mercury F1のキャラでバランスがとれる面はある ― 今までより音楽が生きいきとした表情で鳴ってくれるシステムになったような感じだ。
前にも書いたけれど、Tannoy Mercury、LM3886、カナレのSPケーブルと、いずれも自分のシステムの中ではリヴァイヴァルである。
加えて、私自身は関わりないが、CEC CD2300もティアック CD-P1850のリヴァイヴァルだ。
リヴァイヴァルかつ安価品のシンプルなシステムでこれだけの音が出れば、ま、いいかな〜。