ちょっとヘンなタイトル‥‥まるで‘ミシンとこうもり傘が手術台の上で…’(ロートレアモン)じゃないですが^^。
「CDが腐る」…かつてこんな衝撃的なコトバを聞かなかったでしょうか。
← これは、美しい英国庭園で弦楽四重奏団が演奏する、優雅な表紙のディスク。エルガーとディーリアスの弦楽四重奏曲がカップリングされた、英ASVのCDで、ブロドスキー四重奏団(Brodsky Q. ‘ブロズキー’と発音するような気がする)の演奏になるもの(CD DCA626)。
イギリスの代表的作曲家2人のクァルテットがカップリングされたディスクとして、ちょうどいいと思い、これは日本クラウンが国内盤も出していたが2千数百円で、英盤がタワーで1割引きセールだったかの時に、表紙もきれいなので買った。
買った時(Excelに入れた「レコード帳」で見ると、1996年1月^^)から、意外に音がよくないのに落胆した。プロデューサーはジョン・ボイデン John Boyden、エンジニアはトニー・フォークナー Tony Faulknerと大御所なんだが。
それだけではない、しばらくして、下の写真!!
内周のほうが変色して赤くなってきている。しかも、その部分に穴のような色むらが生じていいる。
これが音の悪い原因…と直結はできない。買った時はこういう状態ではなかったからだ。
この、CDの表面の変色、腐食現象は、製造されたメーカー、工場がわかっており、すでに英語圏の諸サイトでは‘CD corrosion(CDの腐食)’、‘CD bronzing(CDの銅色化)’、‘Disc rot(ディスク腐敗)’などという単語でページができている。
とくに特化して取り上げられるのは、英PDO(Philips Dupont Optical、ランカシャー州ブラックバーン)によって一定時期にプレスされた、イギリスのマイナー・レーベルの(とくにクラシックの)CDにおける腐食だ。
よくまとまっているのは、《Classical Net》の「CD Bronzing」のページかと思うが(当該レーベルのCDまで上げて!)、 いずれを見ても、英PDOによってプレスされたCDの中に、ブックレットやインレイ・カードの紙に含まれる硫黄(硫化物?)に侵される可能性の高い塗料を、レーベル面のコーティングに使ったものがあり、それらの中には腐食のためにコーティングが不完全になって、信号ピットの刻印されたアルミ蒸着レイヤーが酸化してしまい、最悪再生不能になるものがある、と指摘されている。
一時期までは製造元 PDOが交換サポートに応じていたが、それもなくなり、今では、英ハイペリオン Hyperionのようなレーベルは、とくにサポート・ページを開いて対応している。これは良心的といえよう。
ここには、問題のあるディスクは1988年から1993年の間に製造されている、とまで特定されている。
上に掲げた、ASVは、レーベルそのものが Sanctuary Classicsの1レーベルになったので、交換は不可能だろう。国内盤、買っとけばよかったかな〜^^。
ブラックバーンは Mullardの工場もあった、英国エレクトロニクスの栄光を刻む町だが、レコード史上の大恥も刻んだわけだ。
こちらには、ごていねいに、可能性のあるディスクのディスク番号が網羅されている。上のASVのブロドスキー盤も掲載されてます^^。実際には、Unicorn-Kanchanaのディーリアスなど、リスト外だが「MADE IN U.K. BY PDO」と刻印されたものも手許にある。
写真のようにまでなってくると、稀少盤になってもオークションには出せまい。
が、このディスクはまだどのプレーヤーでも再生できる。CCCDの再生ができないパソコンのCDドライブでも再生したので、まだ致命的ではないのだろう。いずれ致命的に腐食したら廃棄するだけだ。
なお、PDOは、元来、イギリスに限らず、ポリグラム(現ユニヴァーサル。DG、Philips、Deccaなどクラシックの最大メジャーを抱える)がCDプレスのために設立した会社である。
そして、ドイツ・プレスのポリグラムのCDに、「MADE IN GERMANY BY PDO」というのがかなりあった。この「PDO」もやはり「Philips Dupont Optical」らしいのだが、ドイツのは、いわゆるポリグラムのハノーヴァー工場であり、この刻印のあるドイツ・プレスのディスクは、問題はない。
ただ、この刻印のあるドイツ盤は、内・外周全面にアルミ蒸着されており、エッジ部分から酸化しないかという危惧が皆無ではないのだが、経験からも情報からも、問題はないようだ。
このあと、ドイツのポリグラムの製盤したディスクには、「MADE IN GERMANY BY PMDC」と刻印されるようになり、外周には0.7mmほど、内周には1.8mmほどの透明部分を残すようになった。
フランス、アメリカのポリグラム盤もPMDCと刻印されるようになるが、困ったことにイギリスだけはPDOが残ったようなのである。
「PMDC」とは、こちらやこちらによれば、「PolyGram Manufacturing & Distribution Center(s)」である。
なお、ここなどには、「PMDC」は「PolyGram Music Distribution Co.」の略だという説も見えるが、先のほうが正しそうだ。
さらに、現在は上にリンクしたWikipediaページのタイトルのとおり、「EDC」=Entertainment Distribution Companyとなっていて、ディスクには「Made in Germany by EDC」とある。
ヨーロッパの工場は、ブラックバーンとハノーヴァーということなので(cf. EDCサイト内ページ)、英PDOも今はユニヴァーサルの品質管理の下に置かれて、心配ない…でしょう^^。
ただ、上のWikipediaページも、「UML(Universal M&L)」を、「(Universal Media & Logistics」としているのは、ユニヴァーサル自体のページ(3つめの段落)にあるように「Universal Manufacturing and Logistics」の誤りだと思われる。
「CDが腐る」…かつてこんな衝撃的なコトバを聞かなかったでしょうか。
← これは、美しい英国庭園で弦楽四重奏団が演奏する、優雅な表紙のディスク。エルガーとディーリアスの弦楽四重奏曲がカップリングされた、英ASVのCDで、ブロドスキー四重奏団(Brodsky Q. ‘ブロズキー’と発音するような気がする)の演奏になるもの(CD DCA626)。
イギリスの代表的作曲家2人のクァルテットがカップリングされたディスクとして、ちょうどいいと思い、これは日本クラウンが国内盤も出していたが2千数百円で、英盤がタワーで1割引きセールだったかの時に、表紙もきれいなので買った。
買った時(Excelに入れた「レコード帳」で見ると、1996年1月^^)から、意外に音がよくないのに落胆した。プロデューサーはジョン・ボイデン John Boyden、エンジニアはトニー・フォークナー Tony Faulknerと大御所なんだが。
それだけではない、しばらくして、下の写真!!
内周のほうが変色して赤くなってきている。しかも、その部分に穴のような色むらが生じていいる。
これが音の悪い原因…と直結はできない。買った時はこういう状態ではなかったからだ。
この、CDの表面の変色、腐食現象は、製造されたメーカー、工場がわかっており、すでに英語圏の諸サイトでは‘CD corrosion(CDの腐食)’、‘CD bronzing(CDの銅色化)’、‘Disc rot(ディスク腐敗)’などという単語でページができている。
とくに特化して取り上げられるのは、英PDO(Philips Dupont Optical、ランカシャー州ブラックバーン)によって一定時期にプレスされた、イギリスのマイナー・レーベルの(とくにクラシックの)CDにおける腐食だ。
よくまとまっているのは、《Classical Net》の「CD Bronzing」のページかと思うが(当該レーベルのCDまで上げて!)、 いずれを見ても、英PDOによってプレスされたCDの中に、ブックレットやインレイ・カードの紙に含まれる硫黄(硫化物?)に侵される可能性の高い塗料を、レーベル面のコーティングに使ったものがあり、それらの中には腐食のためにコーティングが不完全になって、信号ピットの刻印されたアルミ蒸着レイヤーが酸化してしまい、最悪再生不能になるものがある、と指摘されている。
一時期までは製造元 PDOが交換サポートに応じていたが、それもなくなり、今では、英ハイペリオン Hyperionのようなレーベルは、とくにサポート・ページを開いて対応している。これは良心的といえよう。
ここには、問題のあるディスクは1988年から1993年の間に製造されている、とまで特定されている。
上に掲げた、ASVは、レーベルそのものが Sanctuary Classicsの1レーベルになったので、交換は不可能だろう。国内盤、買っとけばよかったかな〜^^。
ブラックバーンは Mullardの工場もあった、英国エレクトロニクスの栄光を刻む町だが、レコード史上の大恥も刻んだわけだ。
こちらには、ごていねいに、可能性のあるディスクのディスク番号が網羅されている。上のASVのブロドスキー盤も掲載されてます^^。実際には、Unicorn-Kanchanaのディーリアスなど、リスト外だが「MADE IN U.K. BY PDO」と刻印されたものも手許にある。
写真のようにまでなってくると、稀少盤になってもオークションには出せまい。
が、このディスクはまだどのプレーヤーでも再生できる。CCCDの再生ができないパソコンのCDドライブでも再生したので、まだ致命的ではないのだろう。いずれ致命的に腐食したら廃棄するだけだ。
なお、PDOは、元来、イギリスに限らず、ポリグラム(現ユニヴァーサル。DG、Philips、Deccaなどクラシックの最大メジャーを抱える)がCDプレスのために設立した会社である。
そして、ドイツ・プレスのポリグラムのCDに、「MADE IN GERMANY BY PDO」というのがかなりあった。この「PDO」もやはり「Philips Dupont Optical」らしいのだが、ドイツのは、いわゆるポリグラムのハノーヴァー工場であり、この刻印のあるドイツ・プレスのディスクは、問題はない。
ただ、この刻印のあるドイツ盤は、内・外周全面にアルミ蒸着されており、エッジ部分から酸化しないかという危惧が皆無ではないのだが、経験からも情報からも、問題はないようだ。
このあと、ドイツのポリグラムの製盤したディスクには、「MADE IN GERMANY BY PMDC」と刻印されるようになり、外周には0.7mmほど、内周には1.8mmほどの透明部分を残すようになった。
フランス、アメリカのポリグラム盤もPMDCと刻印されるようになるが、困ったことにイギリスだけはPDOが残ったようなのである。
「PMDC」とは、こちらやこちらによれば、「PolyGram Manufacturing & Distribution Center(s)」である。
なお、ここなどには、「PMDC」は「PolyGram Music Distribution Co.」の略だという説も見えるが、先のほうが正しそうだ。
さらに、現在は上にリンクしたWikipediaページのタイトルのとおり、「EDC」=Entertainment Distribution Companyとなっていて、ディスクには「Made in Germany by EDC」とある。
ヨーロッパの工場は、ブラックバーンとハノーヴァーということなので(cf. EDCサイト内ページ)、英PDOも今はユニヴァーサルの品質管理の下に置かれて、心配ない…でしょう^^。
ただ、上のWikipediaページも、「UML(Universal M&L)」を、「(Universal Media & Logistics」としているのは、ユニヴァーサル自体のページ(3つめの段落)にあるように「Universal Manufacturing and Logistics」の誤りだと思われる。