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アルゲリッチ/デュトワのショパン‥‥マスタリング。

 前記事で、アルゲリッチ/デュトワ/モントリオール響によるショパンのピアノ協奏曲第1番、第2番のCDを買ったことを書いた。

 ちょっとした風の吹き回し? で、岡崎マスタリングの EMIミュージック・ジャパンの24ビット・リマスター盤(TOCE-14003)を買ってしまった。
 オーケストラは懸念した EMIにありがちな混濁感がかなり回避されていたけれど、アルゲリッチのピアノ・ソロの、とくに高音の強打鍵で、耳にビリッと来るような刺激感が、ちょっとひっかかった。

 未練がましく Amazonやオク上を探し、海外EMIの、初出CD(CDC 5 56798 2)が送料入れて600円ほどで出ていたので、落札した。

アルゲリッチ、デュトワ

 今日すでに届き、今さっきちょっと比較試聴してみた。

 第1協奏曲が始まり、一聴して海外盤のほうが高域が穏やかだ。ここは、岡崎マスタリングのほうが透明で、ディテールもよく聞こえ、岡崎マスタリングのほうがいいとも言える。

 4分ほどのオケの前奏が終わり、ピアノが入ると、海外盤はとても自然だ。高域の煌きが耳につくことはない。
 やっぱり‘日本流’マスタリングは楽器の音というものがわかってないのかな〜、と思い始める。

 しかし、第2楽章と第3楽章のそれぞれ冒頭部で比べると、海外盤のほうもピアノの音は厚みがなく、帯域バランスはナチュラルではあるが、それゆえ高音の精彩に欠ける。

 こんどは、第2協奏曲の第2楽章。
 4分ほど経過してからの、いったん静かになり、緊張が増してゆく部分。
 ここでは、海外盤は、私のシステムではピアノの音が精彩に欠けて無機的に響き、いいところなのに心が動かされない。
 国内盤は、ピアノの高音がキラめきすぎる嫌いはあるものの、アルゲリッチの集中がしっかり伝わってきて、「手に汗握る」感が十分にある。

 オーケストラのほうも細かい動きがしっかりと聞こえる。低弦のピチカートが少しボンつくようでもあるが、海外盤はこれがよりボワンと、締まらない音だ。
 第2楽章の終結部も、ピアノの心を込めた弾きぶりは国内盤がよく伝えるし、オーケストラの木管群とピアノ・ソロとのやりとりの、室内楽的な親密さを聴くことができる。
 反対に海外盤は、アルゲリッチのソロは曇った感じがつきまとい、終結部の管楽器はお団子になって混濁する。

 今のところ、どうやら岡崎リマスターの日本盤を採るのが若干ベターなようだ。
 比較の条件として、国内盤はアンプのトーンコントロールの高音を少し下げ、反対に海外盤は少し持ち上げて聴いた。このようにすることで、帯域バランスが同条件に近づくようだ。
 つまり、TOCE-14003を、高音をわずかに下げて聴くのがベスト、のような気がする。

レーベル

 ― システムや、部屋、好みによってまったく一概には言えないけれど、EMIのデジタル録音の、とくにオケの混濁感を回避するには、岡崎さんのリマスターは、「やりすぎ」感を伴いつつ、全く無益でもないようだ。
 テンシュテットやラトルの、マーラーのライヴ録音では、岡崎リマスターが奏功している気がする。

 今回、海外盤を入手してエンジニアの名前がわかった。
 ジョン・ダンカリー John Dunkerlyだった。
 この人の手がけたものでは、Decca録音の、アシュケナージ/ショルティ/ロンドン・フィルによるバルトークのピアノ協奏曲第1番を持っている。
 1980年(アルゲリッチのほうは1998年)のデジタル録音である。
 録音場所が違うということがあるけれど、Deccaのほうは、もう冒頭から‘Deccaそのもの’の高精細音質で、アルゲリッチのショパンとは、通底するところは全然ない。

 EMIのデジタル音源で、岡崎リマスターの、完全な‘やりすぎ’でヒドい目にあったものは、アルバン・ベルク四重奏団によるブラームスの弦楽四重奏曲全集と、ポール・トルトリエによるバッハ:無伴奏組曲の再録のセットである。
 もともと鮮明な録音だったから、高域と倍音の強調で、ほんっと〜に耳障りな音質になっていた。もう手許にはない。

 混濁したオケ録音の‘修復’ならなかなか有効なのだが、そうでないものまでひたすら鮮明化するというところに、岡崎氏の感覚をどうしても尊敬しきれない部分が残る。

 さて、このアルゲリッチとデュトワによるショパン、今はワーナーによる国内盤がミッドプライスで出ていて、たぶんこれは「2016年最新マスター使用」とかになっていて、いちばんバランスとクオリティがよさそうな気もする(じゃ、なんで最初にそれを買わないの^^;)。
 全体としては、EMIのクラシック音源が Warnerに買収されたことはとてもいいことだと感じている。

 そしてこの演奏‥‥デュトワ指揮のモントリオール響がソロのスピードについていけていないところがある云々ということが言われたりするが、デュトワのバックは、しっかりとテンポをキープし、コンチェルトの基礎を押さえた磐石の演奏であり、やはりこの2曲のベスト盤と言っていいのだろう。
 両盤はしばらく聴き比べてからいっぽうを残そうと思う。
 いやはや、またマスタリング買い換え、でした‥‥;;。

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  • 2017.03.17 Friday
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