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ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、など…。

 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の手持ちディスクが、シェリング/シュミット=イッセルシュテット盤だけなのでちょっと淋しく、先日アッカルド/ジュリーニ/ミラノ・スカラ座フィルのディスク(Sony Classical、米プレス)を、激安出品だったこともあって、ポチってみた。

 この記事にもう触れているけれど、ディスクの音全体が、どうも潤いに欠け、耳につく音がするのである。
 Sony Classicalの、ジュリーニ/スカラ座によるシリーズは、『田園』だけいちど聴いたことがあるけれど、もっと柔らかな音だったように記憶する。
 何より、‘美音’で知られるアッカルドの音が、若干ではあるがとげとげしい。

 SBM使用の20ビット録音という記載があるけれど、SBMは金属的、と決まっている感触はない。
 どうも、ちょうどオーディオ機器における個体間のバラつきのような現象のような気がする。

 CDで、マスタリング、プレス元が同じものでさえ、こういう事象はある。
 アンドラーシュ・シフ、塩川悠子、ミクロシュ・ペレーニのトリオによるシューベルトのピアノ・トリオの2枚組アルバム(Warner/Teldec)は、ぺレーニの音がややギスギスした感があったので、当時は収入も潤沢にあったので、同じものを買って比べてみた。

 すると、音質はほぼ同じで、ペレーニのチェロがギスギスするのは収録自体のキャラだということで納得したけれど、同一ディスクの異なる個体で、CDプレーヤーのメカが発する機械音が、違った。
 ピット成型等の状態がわずかながらでも異なるゆえに、サーボのかかり方が明らかに違っているのだった。

 ‥‥ということだと考えても、入手したアッカルド盤を聴き続ける気は霧消した。
 演奏面でも、ジュリーニの遅いテンポ設定とオーケストラのスケールの大きな鳴らしっぷりは、『英雄』あたりにはぴったりなのだが、ヴァイオリン協奏曲は、そういう性格の楽曲ではないという気がする。

 もう一点、アッカルドとジュリーニのキャラが、そうとう異なるのではないかということ。
 カデンツァなどの技術的難所ではまったく揺れを見せないアッカルドの技巧なのだが、むしろジュリーニのゆ〜ったりしたテンポに合わせざるをえないところで「お〜っとっと…」という感じで、音程が定まりがたそうな雰囲気を見せるところがある。
 これは、ある意味面白い。たぶんセッション中、両巨匠は和気藹々だったろうと推測できるけれど ― グールドとバーンスタインみたいなことにはならない ― 芸風のズレは埋まらない。

 どうも、このディスクは売るのも憚られ、残念ながら廃棄しようと思う。

ヴァイオリンのCD

 そこで、なのだが、今度はオイストラフ/クリュイタンス盤を、オク上に安い出ものを見つけてぽちった。
 今日、到着。
 東芝EMIが、EMIミュージック・ジャパンに改称してからの、「EMI CLASSICS BEST100」という、青い帯で、「24bit最新リマスタリング」を謳った1,500円のシリーズの1枚である。

 東芝が手を引いて EMIミュージックになったあとのリリースでは、「リリー・クラウスの芸術」の1枚を持っており、これには Yoshio Okazakiの名はない。岡崎さん、もう引退かな、と思ったのだけれど、今回のオイストラフ盤には「Remastering Engineer:Yoshio Okazaki」とあった(笑)。しかも、原録音のプロデューサー、エンジニアの記載はない。

 これでちょっと落胆したせいもあるかもしれないが、オケ、ソロともヴァイオリンのハイエンドが、やはりちょっとザラつく感触がある。
 が、以前の「HS2088」を銘打ったものとはかなり異なり、テープヒスは低く、マスターテープを EMIに再請求した可能性もありそうだ。
 が、やはり、現在日本の Warnerが出しているディスクを買うべきだったか、とも思う。

 上の写真で右上にあるのは、ずっと前に買っているシェリング盤であるが、これが、3枚の内ではヴァイオリンの高音が最も滑らかに聞こえる。
 このシェリング盤も、「クラシックCD文庫」盤はやや音がザラついたので、「Super Best 100」盤に買い換えている

 当分は、EMIミュージック・ジャパン盤を聴いてみましょうか‥‥今さきは、まだ第1楽章冒頭を聴いただけである。

 ことほど左様に、ディスクの選択は、録音・マスタリング、さらに個体バラつきまで含めると、実にむずかしい。
 オーディオ機器ならば、パーツ交換や組み合わせによる改善が期待できるが、LPでもCDでも、できあがった「レコード」は、どうしようもない。

 もちろんある程度は、トーンコントロールや、機器を換えるなどで変化は得られる。
 今回、久しぶりに Sony CDP-XE700の電源を入れてアッカルド盤を再生してみた。
 すると、オーケストラの低弦やティンパニなどは常用のオンキヨー C-7030よりもずっと深みと存在感があって、ハイファイ度が高いことを実感させた。

 CDP-XE700は、オペアンプが、音がキツめな AD712のままなのだが、たいへん立派な音を聴かせる。
 時間が取れれば、早く NJM2114Dに交換したいのだけれど、‘ほぼ失業’のはずの2月後半〜3月中盤に少しお手伝いの仕事が入ったもので、また遠のきそうである;;。

 左上のは、協奏曲ではなく、ローラ・ボベスコ、ジャック・ジャンティによる、フランクとルクーのソナタ、千円の国内盤が送料込み470円で出品されていて、1回目の終了でだれか落札してしまうだろうと思ったけれど、だれもポチらなかったので、その次の終了でポチらせてもらった。

 帯つきの美品であり、ただ帯の「¥1000」の表示が、紫地に白字のところ、紫はすっかり褪色していた‥‥こんなのは問題ない。
 こういうものも、多くの出品者は1,000円以上、人によっては2,000円以上の開始価格で出品している。
 個性派ヴァイオリニストの場合にこうなりやすいが、通常のCDの場合、こういう高価な出品にはだれも入札することはなく、サーバーのこやし、ないしはゴミと化している。

 他方、安い出品は、帯もない国内盤、そしてセット商品のバラの残りものが山のように出ていて、わが国において音楽CDが十分豊かな形で流布することがなかったのだなあ、としみじみ嘆息してしまう。

 ‥‥それは置いといて‥‥ボベスコの日本録音のソナタ、すばらしい演奏だと思う。
 1981年、新座市民会館での収録。ボベスコ女史62歳ということになり、この人のテクニックは本物ではなく、一流とは言えないという評が定着しているけれど、年齢を考えてもそうでもないのではないかと思う。

 このCDは、ルクーに期待して買った。音がとても美しい。ルクーのソナタはグリュミオー盤がベストと言われるので、いちど聴いてみたけれど、どうも高域の滑らかさがあまり感じられないのだった。とくに、24 bitリマスターのCDは、潤いがなかった。
 今、通常盤を聴いたなら、またそのよさがわかるかもしれないけれど。

 アッカルドのベートーヴェンをがんばって聴いたあと、ボベスコのフランクを聴いていたら、感情はゆったりしている状態で、涙が出てきた。単に涙腺が涙を放出したのであって、感動したというのではない。入眠直前に涙が出る、あれである。
 つまり、ボベスコのヴァイオリンを聴いていて、当方の神経がとてもリラックスした、のだろう。
 この人の音と演奏には、そういう「徳」があるのか…。

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  • 2017.11.23 Thursday
  • -
  • 18:46
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コメント
sonyのCDは確かにキリキリとした音が出る場合があります。先日届いた五嶋みどりのエルガーとフランクのソナタがそうでした。彼女自身の音でもある気はしますが…ものによる違いで、SMBの特性とはあまり思えません。アッカルドのベートーヴェンは未聴ですが。オイストラフ/クリュイタンス盤は1990年発売のドイツEMIの4枚組CDを愛聴しています。BOOKOFFで250円だったものですが、かなり良い音です。ドイツやフランスのEMI盤は日英のものと音が違う印象があります。
  • yositaka
  • 2017/02/12 8:20 AM
yositakaさん、

> 先日届いた五嶋みどりのエルガーとフランクのソナタがそうでした。
> 彼女自身の音でもある気はしますが…
なるほど〜。
アッカルドは美音で知られる人なので、再生し始めて、「あれ?」でした。
今手許にはないのですが、DGに入れたパガニーニの協奏曲全集は、とても美しい音でした。

> ドイツやフランスのEMI盤は日英のものと音が違う印象があります。
私の経験では、EMIについては、海外EMIでデジタル化した音源からCD化したものはほとんど違いはなく、東芝EMIが保管しているマスターテープから自社でCD化したもの ― HS2088仕様のGrandmasterシリーズなど ― は、アナログ・テープそのものが劣化していて、ヒドい音だったという記憶があります。

最末期には記載がなくなりましたが、東芝EMIのCDのレーベルには、原盤番号が記されており、これが「CDC ‥‥」「CDM ‥‥」などの場合は海外ですでにデジタル・マスタリングされたもの、「2DJ ‥‥」などのものは東芝でマスタリングしたもの、と判別できます。
  • へうたむ
  • 2017/02/12 4:28 PM
初めまして。此方はSPYBOYさんのブログのコメント欄で知りました。時々読ませて頂いております。
ベートーヴェン好きで『運命』は、有名な第1楽章もお気に入りだけど、第4楽章が好きです。希望が満ち溢れているようで好きです。
  • HoneyPeach
  • 2017/03/07 7:57 AM
HoneyPeachさん、初めまして。

SPYBOYさんのブログは、いつも面白く情報豊かで、それでかえって私など‘茶々’を入れてしまっております^^;;。
もとは yonnbabaさんのところからあちらに伺いました。

『運命』の第4楽章、元気が出ます^^。第2楽章の落ち着いた叙情も美しいです。
個人的には『田園』が好きですねえ。

HoneyPeachさんのところにも、お邪魔させていただきます^^。
  • へうたむ
  • 2017/03/07 4:32 PM
ぜひどうぞ(^-^)
密桃さん(← あ、「みつももさん」で、イッパツ変換しました^^)、

はいはい、すでにもう、ちょっとお邪魔をしております。
シーサーさん、インプレッションあります〜。
フライポテトは‥‥ちょっと油脂分が気になって最近食べておりません^^;;。

というような無粋なコメを差し上げそうなので ― SPYBOYさんのところへと同様 ― まだ遠慮しておりますが、そのうち。
  • へうたむ
  • 2017/03/08 1:56 PM
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