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モノのベートーヴェンを5点も…。

 対照的なキャラの、モノラル期のベートーヴェン録音を、CD5点、9枚購入。

フルトヴェングラーとクライバー

 一人は、フルトヴェングラー。もう一人は、ネット上を漁って気になってきた、パパ・クライバーである。

 フルトヴェングラーのベートーヴェンは、英EMIの Référencesシリーズ(元は仏EMIの企画で、「レファレンス」ではなくて「レフェランス」)のARTリマスター盤の全集と、1947年のライヴ、いわゆる‘復帰ライヴ’(DG)だけ持っていた。後者はO.I.B.P.化盤ではなく、シューマンの交響曲第4番をカップリングされた国内千円盤である。

 というより、フルトヴェングラーのディスクはこれだけしかない。
 まずは、‘CD漁りをするだけが楽しみ’の中で、対照的芸風の、エーリッヒ・クライバーのベートーヴェンに興味が湧き、ちょうど第3番『英雄』の、ウィーン・フィルを振った Decca盤が安くオクに出たので、ポチ。

 実のところは、高評価な『田園』が最も聴きたく、しかしこれのポリグラム(ユニバーサル)復刻のCDは、ちょっと高くて、そうしているうちに千円ほどで買えるキング盤の出ものがオクに出たので、音にやや懸念がありつつ、ポチった。

 それから、海外Warnerがリリースした、フルトヴェングラーのベートーヴェン交響曲全集。
 これはSACD化のためのリマスターとして、ワーナーに身売り直前の EMIが2010年に新たにリマスターしたもの、ということで、現在国内ワーナーから1枚もので出ているものと同マスターらしい。国内盤1枚分の価格で全集が手に入る。今回のは、中古ショップだったが、未開封品。
 どれもまだ主要楽章の冒頭部‥‥ほども聴けていないような状態だ。

 私自身は、ARTリマスター盤でもそうひどくないと思っていたけれど、ネット上の評価は低く、新マスター盤が安いうちに買って聴いてみようと思った。
 ART盤と比べると、高域が明瞭になり、一般にいう「音質改善」は十分聞き取れる。

 もっとも、明瞭化したことで、フルトヴェングラー音源をしばしば‘ありがたい’雰囲気にしている、「何ごとのおはしますかは知らねども…」的な?‘模糊’感が薄れ、ありがたみがなくなったという感触を抱く人もいるかもいしれない。
 ただこれは、ART盤も音の存在感が「薄い」と言われもするようなので、ワーナー盤が正解かと思うが、有名なイタリアEMI盤がやっぱりいい、というふうに感じる人もいるかもしれない(イタリア盤は未入手、未聴)。

 その他は、かの‘ウラニアのエロイカ’の、Tahra FURT 1031の未開封品が、1,300円弱であったので、購入。
 この44年のエロイカ、東芝盤と露メロディア盤を持っていたことがあり、先に東芝盤を手放し、メロディア盤を聴いていたが、若干ながらハムが入ったりするのもイヤだし、手放してしまっていた。
 FURT 1031、さすがにいい音だ。これは、ノイズ・リダクションを効かせすぎていて情報や迫力が薄れている、という指摘もあるけれど、バランスはよく、問題ないと思う。たしかに、冒頭から「晴朗」の印象がきわめて強いけれど、フルヴェンだから「晴朗」はおかしい、ということもないだろう。

 グラモフォン・レーベルの43年の第4、第5は、これは混濁した録音。
 第4番はライヴと聴衆なしの2種があるそうで、今回買った、第5とカップリングの POCG-30070は、前者とのこと。
 聴衆なしのほうは、コンラート・ハンゼンの弾くピアノ協奏曲第4番とカップリングのディスクとのこと。

 宇野氏、他『クラシックCDの名盤』(文春新書)で、中野 雄氏が推す第4、第5はこの43年録音。記事では「EMI」としている()けれど、東芝EMIのCDはユニコーン音源を使用していて、いつも参考にさせていただく Kenichi Ymagishi's Web Siteのこちらなどによれば、音質、出自などの点でユニコーン音源はもはや無効だろうということらしい。
 ※新版では「(G)」(= Deutsche Grammophon)になっている。追記。

 43年の第5は、Tahraがやはりいちばんいいのだそうだが、DGの国内盤(上記、POCG-30070)にした。Amazonマケプレの古書店から購入。
 帯の背部分の褪色が少しあり、それと、ライナーノートの中、「ドクター・フリードリヒ・シュナップ」に赤いボールペンでアンダーラインが引かれていたのだが、こっちはかえって面白い。シュナップは、帝国放送局で、フルトヴェングラーの戦時下録音を担当した技師である。

 このディスクに手を出したのは、『クラシック名盤 この1枚』(光文社文庫)に一人の一般のファンの方が興味深い文章を寄せているのを読んだことにもよる。

フルトヴェングラー、中身

 ワーナー外盤のボックスセットは、内袋がいちおうオリジナル・ジャケットになっている‥‥これをバラにして「紙ジャケ仕様」と書いてオク出品する人、出てくるな〜、きっと^^。

 ドイツグラモフォンの43年のは、他のいくつかの番号でも出ているはず。SHM-CDバージョンなんかもあるかも。
 ARTの全集セットは、オクで新品購入した時から第3番のディスクなどにキズがある。音には出ず、当時、出品者さんに連絡すると「前後のロットもすべてキズがある。返品または値下げで了承、どちらかで」ということで値下げしてもらったものだ。処分はしにくいな〜。

キングとポリドールの LONDON盤

 E.クライバーの『田園』も、『英雄』に合わせてポリドール/ユニバーサルの盤 ― POCL-4598と UCCD-9126の番号で出た ― が欲しかったのだが、オクの出品はなく、Amazonのマケプレでは1,400円くらいする。
 意外にも安いのは英Amazonの中古ショップの売る PolyGramリリースのCDである。

 しかし、外盤、ポリドール盤とも、CDはLP(LPは、たいていの場合キングレコードの国内盤のことをいっていることが多い)の持っていた音の潤いに欠ける、という評が多く、躊躇しているうちにキングレコードの「ロンドン不滅の名盤」シリーズで出た、250E-1187が、980円で出品されたので、ポチった。

 このリリースの情報は、ネット上にほとんどない。
 一般に、CD化してからは、英Decca音源のCDは、キングレコードのリリースよりポリグラム(ポリドール、ユニバーサル)のリリースのほうがよいとされているようだが、キングのリリースした LONDONレーベルのCDは、ことステレオ音源に関してはポリグラムより格段に悪いとはいえず、むしろポリドール盤が高域のまろやかさに欠けるのに対して、バランスがいいように感じるものもある。

 それで、モントゥーの『ダフニスとクロエ』やシベリウスの2番、バーンスタインの『大地の歌』などは、キング盤をずっと持っている。

 今回の E.クライバーは、ポリグラム盤で入手したウィーン・フィルとの『エロイカ』が1955年、キング盤の第5、第6番(コンセルトヘボウ)が1953年と条件が異なるのが、やはり『エロイカ』のほうが高域が明るく、混濁・歪みが少ない音だ。

 ちょうど、手持ちのカール・シューリヒトの Decca音源では、ブラームスの第2番はポリグラムで、シューマンの第2番と第3番『ライン』の1枚はキング、という形になっているのと同じようなことになった。
 シューリヒトのほうは、シューマンの第3番『ライン』がポリグラムからは単独で発売されなかったからこうなっているのである(2枚とも、ボックスセットを買った弟からもらってきたものだ ;;)。
 という次第で、同じような‘ズレ’が発生してしまった。そのうちポリグラム盤か海外PolyGram盤を買って比較したいけれど、今は予算が‥‥。

 もっともコスト/パーフォーマンスのよいのは、現在まだ新品が手に入る、Deccaの E.クライバーの12CDボックスセットに違いないけれど、フルトヴェングラーも都合CD8枚、ワルターも9枚という状況で、エーリッヒ・クライバー 12枚、というのもアンバランスだ。それに、そんなにファンというわけでもない。

 キング盤を聴いてみると、ポリグラム盤の『エロイカ』よりカッティング・レヴェルが低く、CDプレーヤーのヘッドフォン端子ではゲインが不足して、よくわからない。
 アンプ+スピーカーで聴くと、やはり高域の輝きが少なく混濁感があるが、音の厚みはポリグラムよりいいかもしれない。
 演奏は、試聴ファイルで聴いていたとおり、どれも颯爽としている。第5は、こちらの体調・気分によってはそっけなさすぎるように聞こえる。
 これから聴き込まないと。

 モノーラル録音のベートーヴェンばかり、5点9枚も購入した。
 今回試聴して、モノ盤は定位が常にやや左に寄る環境(なので、Rotel RE-5SEで、反対になった時、慌てた)であるにもかかわらず、ヴァイオリンのラインが浮き出るのが、右のほうのように感じられたので、あれっと思った。

 アンプの(接点以外の)劣化などは考えにくく、ただ、スピーカーはここ1年はずっと今の左右配当で聴いているので、トゥイーターの、劣化というより「こなれ」の差が出てきた可能性はある。
 が、音源が変わり、ひとつの音源でも音域や音のキャラによって左右いろいろに飛ぶ感じはするので、部屋の環境の影響は大きいと思われる。
 フルトヴェングラーのマスタリングの評価で、「若干ステレオ効果を持たせている」、「疑似ステレオである」と評されるものがけっこうあるが、これはレビュアーの部屋の影響の可能性が高く、ヘッドフォンで聴くとだいたい真ん中に収まる。

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  • 2017.08.15 Tuesday
  • -
  • 03:25
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コメント
たくさんお買いになられましたね。演奏は個人的にとびきりと思うものばかりです。デッカ音源はモノラルでも良いものが多いので、CD、LPとりまぜていろいろ楽しんでいます。私は両者を比較してどちらがいいという議論には加わらず、どちらも良いという立場です。ただ、ピアノ曲だけはCDが優位と思います。
フルトヴェングラーの音質論議は、指揮者のマイク嫌いに起因していてどうにもならない部分もあり、たまたま手にした盤がそこそこ良ければ満足することにしています。でないと泥沼ですから。とはいえ、廉価赤箱のEMI新リマスターのベートーヴェンは聴きやすい音でした。いろいろ買いましたが、私はこれで打ち止めです。
  • yositaka
  • 2017/01/24 10:36 AM
yositakaさん、

はい、たくさん買いましたぁ〜 ;;。

私は、LP時代は、キングレコードの Decca、つまり LONDONレーベルは、高域ばかりキラついて神経質で、「Deccaじゃないな〜」と感じておりましたが、CD時代になってキングのものも聴けるな、と思うようになりました。

> フルトヴェングラー‥‥たまたま手にした盤がそこそこ良ければ満足することにしています。
それがベストでしょうね。今回の Warnerのセットは必ずしもマスト・アイテムではないかもしれません。

しかし音が鮮明になった分は、これはこれで演奏が近づいてきた感を持つことができるかも。
『田園』の冒頭、鮮明になったゆえ、「ギシギシ…」という椅子のキシむような音がはっきり聞こえるようになりましたが、それで感興が殺がれるということはなさそうです。

私も、CD購入自体をそろそろ‘打ち止め’にしないと、と思うのですが、つい‥‥ ;;。
  • へうたむ
  • 2017/01/25 12:16 AM
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