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ボックスセットのCD、2点。

 1月に買っている、ハイティンク/ベルリン・フィルによるマーラー:交響曲第3番は、記事に書いたように、ホーレンシュタインのUnicorn録音復刻の、Scribendumの5枚組を買う代わりにということで求めた。

 これが、どうも聴いていてあまり面白くなく、アバド/ウィーン・フィルやバルビローリ/ベルリン・フィル(Testament)のほうが、ずっと聴いていて心が動き、和むのである。

ホーレンシュタインの芸術

 久しぶりにネットで《ヤッシャ・ホーレンシュタインの芸術 The Art of Jascha Horenstein》(Scribendum SC511。上写真は HMVサイトから)をググると、Amazonで2,580円、HMVで2,590円と、数ヶ月前より4割近く値下げされていて、もうポチるしかない、とポチり(ポンタ・ポイントが使えるので、HMVで^^)、昨日到着。

 中では、マーラーの交響曲第3番が最も高評価かつ知られている音源で、英Unicorn盤CDを持っていたが、経済困窮時にオクで処分している。
 UnicornのCDは、マスタリングもそういいわけではなく、終楽章(第6楽章)の、終わり近く、クライマックスを迎えるところで「ザザ、ザッ」というノイズが入るのが、たいへん興ざめだった。

 Scribedum盤で、まずマーラー:第3番の第1楽章と第6楽章を聴いたけれど、音は、ティンパニと金管の音をパンチのある音で十分に響かせていて、しかし弦の潤いは不足気味というもので、本家 UnicornのCDよりはよいと思われた。

 第6楽章のノイズは、たぶん Unicorn盤と同じ箇所だと思うが、やはりちょっと入る。Unicorn盤より気にはならないような気はする。
 加えて、同楽章コーダ最末尾、全曲の終わりという大事な場面で、金管とティンパニの強打・強奏に伴なって、わずかに「バチ」というノイズが乗っているように聞こえる。

 さらにいけないのは、静謐な第6楽章が最大に盛り上がって終ったあと、たった1秒のブランクで第6番(ストックホルム・フィルとのライヴ録音。これ自体は評価高くかつ入手困難)が始まること。無神経だ。ここはCDプレーヤーでプログラムして聴け、ということだろうか。

 ホーレンシュタイン(1898-1973)のマーラー:3番(ロンドン交響楽団、1970年録音)は、最初にビクターが国内盤LPをリリースしたものを、不登校し始めていた中学生の時に買ってもらい、世の中にこんなクラシックがあるのか、と驚嘆した曲だった。
 そのあと、精神面でイッロイロあり、このビクター盤は、手で割ってしまった、ということがある。

 その後、トリオの国内盤LP、英Unicornのミッドプライス盤LP(オリジナルがどういうものか、知らない)も中古やバーゲンで求める機会があって聴いたが、英盤は意外にもあまりよい音でもなく、中央穴の偏芯があった。
 記憶になるし、機器も違うけれど、日本ビクターの初出国内盤がいちばんよかったような気がする。
 今回のはそれに準じる、くらいは言ってもいいだろうか‥‥しかしノイズの点とオーサリングの無神経さとで、手放しでは誉められない。

 同時期の第1番『巨人』も評価の高い録音で、こちらはCDもLPも聴いたことはない。Scribendum盤は、高域やや強調型ながら艶やかで音場感豊かなマスタリングだ。

 では‥‥ハイティンクのマーラー‥‥どうしてあまり面白くないのか考えてみた。
 マーラーの音符には、音楽の主たる流れに添って、そこに「和する」のではない、主旋律に対してピョコピョコとふざけて跳ね回るような音形が書き込まれることが多く、これがブラームスやブルックナーとの大きな違いであるような気がする。

 この、‘ピョコピョコと跳ね回る音符たち’を、ハイティンクはあくまでも目立たせず、主たる流れに取り込んでしまおうとするから、面白くないのか、と思うに至った。
 つまり、ハイティンクという指揮者は、「同時に鳴る全てのオタマジャクシに conformityを求め過ぎる」のである。

 こういうところ、たとえば第3番の第3楽章をアバド/ウィーン・フィルで聴いてみると、違いがよくわかる。
 また、ホーレンシュタインやクレンペラーといった‘往年の巨匠’タイプの指揮者は、全体にしかつめらしい雰囲気の中ででも、このような「スコアの中の他者であろうとするオタマジャクシ」の扱いはじつにうまい。

 宇野功芳氏は、ハイティンクについて、「超マジメ人間のようで、面白味が皆無! もっとも、まじめといえば一流の芸術家はみな本質はまじめな筈なのだが、才能のある人はそこに遊びというのか、こぼれ落ちてくる魅力がある。個性がある。厳しさがある‥‥」(『新版 クラシックCDの名盤 演奏家篇』文春新書、2009年、158頁)と言っているが、この辺のところだろう。

ハイティンクのシューマン


 そんなハイティンクなのだが、もう驚倒するほど感心したのが、シューマンの交響曲全集(コンセルトヘボウ管、Philips、1981〜84年録音)だ。
 『リーダーズチョイス 名曲名盤100』でも、意外なほど高得票なのでネット上を探し、カートン入りの欧盤はけっこう高騰していて、ディスクユニオンのリアル店舗でで1,400円ほどのをもとめた。

 第1番『春』は、クーベリック/バイエルン放送響盤(Sony)を聴いてみて、あまり面白くないので手放し、ずっと手許にCDがなかったのだが、ハイティンク盤で冒頭をちょい聴きすると、ほんとうに深くて豊かな響きである。
 第3番『ライン』は、第1〜2楽章のあたりを聴いたが、渋みを持ちつつ溢れんばかりに豊かなオーケストラの響きを堪能できる。

 シューマンの交響曲は、マーラーのような複雑な要素がないので、ハイティンクのまじめさと、コンセルトヘボウの深みのある響きを鳴り切らせる手腕とが活きていて、ほんとうにすばらしい。


 ‥‥さて、そのよさを味わおうと努めるものの、まったく伝わってこない、アルノンクール/ヨーロッパ室内管のモーツァルト:後期交響曲(Teldec)と、ロンドン響からウィーン・フィルのような美音を引き出しているとはいえ、全体に特長・感銘のないクリップスのモーツァルト:交響曲集(第31、39、40番、Decca)も、ハイティンクのマーラーとともにオク出し or 中古店行きの予定に。

 歳を取ってくると、「残った時間を割く価値がある」ディスクだけを手許に置きたくなってきます。
 手放して、また欲しくなることはあっても、それは「その時が、持つ/聴く価値がある時」と思っている。

 そんな次第で、今まで一度も聴いたことのない、ワルター/コロンビア響によるモーツァルト:後期交響曲集(欧Sony、6CD)を、また Amazonから dodaxに注文。ほかにも2点ほど^^。

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  • 2018.11.15 Thursday
  • -
  • 19:58
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コメント
こんばんは。
最近、他の方のブログでもハイティンクとBPOのマーラーが取り上げられていてブームでしょうか(笑)?
非常に手堅すぎる演奏ですよね。BPO頼みなところもあるでしょうか?
フィリップスが小澤のマーラー全集のほうを完成させたのもうなずけます。まあ、アメリカの市場を意識したとも言えますが。
  • 七味とうがらし
  • 2016/08/11 12:53 AM
七味とうがらしさん、

> 他の方のブログでもハイティンクとBPOのマーラーが取り上げられていてブームでしょうか(笑)?
あ、そうなんですか^^。
今回、ハイティンクの3番をポチる前にはいろいろな方のブログを‘ザッピング’したはずですから、私がむしろそういった方たちの影響を受けたのかも。

> 非常に手堅すぎる演奏ですよね。
おっしゃるとおりだと感じます。
記事に書きましたように、そういうところがマーラーを活かしきれていないところで、(私のように)つまらなく感じるリスナーが出てくるのでしょう。
第3番では、第6楽章なんかとっても静かで美しい抒情の極みなんですが、第3楽章の諧謔味の欠如はいけません。

> BPO頼みなところもあるでしょうか?
そうですねえ‥‥しかも遠慮しすぎの面もありそうです。

> フィリップスが小澤のマーラー全集のほうを完成させたのもうなずけます。
なるほど^^。マーラーなら小澤さんのほうがずっと適任です。
とはいえ、サイトウキネンとの『復活』(Sony)は、聴かなくなり、手放しました。カール・ライスターがクラリネット、などという超-凄メンバーなのですが。

しかしハイティンクさんのシューマンはよかったです〜^^。
  • へうたむ
  • 2016/08/11 1:27 AM
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