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本、売りました。

本棚、空っぽ〜♪ かねて言っていたように、本を売った。本棚4〜5本分に処分する本を選出する作業が、何とも難航していたけれど、あんまりグズグズしていると新学期の仕事も始まり、できなくなってしまう。
 一昨日の日曜が、依頼した古書店主の都合がよいというので、日曜で申しわけなくもあったが、依頼した。
 前夜(12日未明)、飲んで寝ようとテレビをつけたら、また! 《ETV特集》「ひとりと一匹たち 多摩川 河川敷の物語」をやっていた! 最初、以前に見ていない映像だったので、新しく撮った番組かと思ったが、以前のだったので、途中で寝たが‥‥このところ、ものを整理・廃棄したあと、すっきりした気持ちと空虚感を味わいながら、酒を飲んで寝ようとテレビをつけると、この番組の再放送によくぶつかる。

 当日は午前中ということで、4時間ほど寝て起きる。午前11時から整理・査定の作業が始まり、午後2時に搬出終了。主人とともに来訪の若い店員は、令息と思しい。対応も丁寧だったし、気になった買取額 ― だれに話しても‘今日び、二束三文だよ’と言われる ― は、支出額からするともちろん大きく低減するが、決して‘二束三文’ではない評価だった。何しろ、この不景気なご時世に、現ナマを支払って買い取るのである。リスクも大きいことは売る側の素人にもわかる。主人の提示した額には、ほぼもう‘御の字’と言ってよかった。

 こちらは、腕力はないし、本を搬出する順序もあるので、手は出さず、任せた。どんどん出ていく。搬出が終わり、双方、丁重に礼を申し述べ、本屋さんが帰ったあと、がらーんと空いた本棚が残った。残っている本も本箱5本分ほどあるので、これがまだ引っ越しのネックになりそうだぁ〜。
 ここ30年で集めた専門書群の、もっとも‘古書肆に取ってもらえそうな’部分は全て放出‥‥いや、ちょっとは残したが‥‥本箱4〜5本分といっても、2重に詰め込んだので、全ての背表紙が見えるように配架したらその倍にはなる。もし、それらを使って勉強することが、私にとってホントーに重要だったなら、生マ木を剥ぐような痛みを感じただろうが、それは、なかった^^;(あちゃ)。といって、空虚感となると、まだ十分意識できていないようだが、こちらもそうとうにある。
 それでも、ホンがなくなって、空虚感とないまぜの解放感も、ゆっくりと潮が満ちてくるように起こってくる。やはり、‘えー、研究者、の、つもりです^^’という人生偽装だったのだろう。やりたい仕事に行き詰って倒産した、というより、ちょうどあの、偽装肉を売っていてバレて人を食った弁解をしていたミートホープ社の元社長‥‥とはさすがに違うか^^;; ‥‥にしても、‘もう偽装しなくていい〜’というところなのだろう。

 空虚感・虚脱感のほうは、まだ意識に上(のぼ)りきっていないようだ。‘偽装’とはいえ、ここ30年の自分の中の、かなりの割合を占めたものをそっくりデリート=削除したようなものなので、ちょっと不思議な気分だ。何かに興奮するような気持ちが全然起こらず、どんよりと曇った空のような…。いっぽう、専門書の山がなくなって、今度は、屋外の土や、畳の香り、取る食事の懐かしさなど、小さなころに感じていた生活感 ― 暮らしの風合い、と言った感じ? ― がそれまでより親しく鮮やかに浮き上がってきた。

 残った本の背表紙がよく見えてくるようになるが、辛口の書評で知られた故・百目鬼どうめき恭三郎氏の『乱読すれば良書に当たる』(新潮社、1985年)なども出てきた。
 ドッグイヤー(読者が付箋代わりにページの小口側につける折り目)をつけているところは、はて何が書いてあるのかと披いてみると‥‥

「今回は積ん読について書こうと思う。何しろ私の家の書庫にある本の大半は積ん読なのであり、その事実を隠して読書家面をしている、と陰口をたたかれるのも、癪にさわるからだ。(この間、この章段のテーマの『歌舞伎台帳集成』の話が始まる。中略。引用者)
 『国史大系』『史料大成』などの史料集にしても同様だろう。生涯に一度開いて見ることがあるかどうかという本を買い込んでおくのは、生命保険をかけるようなものではないかと笑われるかもしれない。また、生命保険とちがって、こちらのほうは、これだけ本を買いこめばもう安心ということはないのである。が、それでもやはり、本が手許にあることは、ないよりずっと安心できる。殊に、私のような独学者には、その気持がつよいようだ。」(90頁)

 百目鬼氏のような読書家を引き合いに出して自分の心情・事情を語るのは僭越、傲慢も甚だし過ぎようものだけれど、でもやっぱりこんな感じ(だったの)‥‥かな。私の場合は「生涯に一度開いて見ること」すらなかった本が大半だから、買い値と売り値の差額はそっくり掛け捨て…にしては高額すぎる保険だったわけ。役に立ったのは、ロンブンなるものを僅かにシッピツ^^した、その後の校正の時に、家でゆっくり確認できたこと、くらい…。

 ― というような回顧にはあまり思い入れがなく、今は意識がぼんやりしたまま過ごしてます。

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  • 2017.08.15 Tuesday
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  • 13:48
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コメント
お疲れさまでした。経済的なフィードバックも納得とのことで、喜ばしいことでした。

古書店主が親子で大量の本を引き取りにくる・・・という風景はなかなか悪くないものだと感じておりますが、最近はめっきり少なくなったシーンですね。

本というのは、いかにも知識がつまっているような気がして、モノとして購入するとその時点で無形の知識までが我が物になったような充実感を覚えます。実際には、必要なときに見ることができるようになっただけで、図書館の蔵書と変わらす、必要なときを得ないまま埋もれていく本も多い・・・しかし、結果的に熟読はできなくとも、確かにその本の入手で、所有者自身に変化が生じるのも事実。それも本の効用でしょう。

ディスプレイで読む文章と活字で印刷された文章とは絶対同じではない、だから本がなくなることはないでしょうね。
たっちんさん、ありがとうございます(^^;)。

今回、私にとっての‘蔵書’の空しさを肌で感じると同時に、おっしゃるように、本ならではの効用も、今までより深く感じてもいるようです。
ただ、今はちょっといろんなものが全部プシュウ〜〜ッ....と抜け出たあとの虚脱感に沈んでおりまして…。

‘二束三文’では決してない額でしたが、うっかりしていると数ヶ月で費消してしまいます(泣;)。もっとも、合計2万円強で作れるDACキットなら、パーツをすぐ揃えられますが、着手する気力がちょっと〜^^;;。ということで、本棚がどっと空いた日曜の晩、まずやったのは、DP-5090のサーヴィスマニュアルの購入(海外サイトで、PDF版頒布)― $3.99=412円でした。フクザツなDAC回路でした^^(またアップするかも)。

本の整理で、しばらく目に付かなかった、岡 俊雄『マイクログルーヴからデジタルへ』(上・下、ラジオ技術社、1981年)なんかが出てきました。こういうのは置いておきます。
  • へうたむ
  • 2009/04/15 4:31 AM
岡 俊雄さん、書かれたもの(主に製品評ですが)から誠実な方であることが伝わってきて、好きな評論家の一人でした。
技術畑の人ではないと認識しておりましたが、こういう本も出しておられたのですね。
  • たっちん
  • 2009/04/16 7:12 AM
こんにちは!

ご本の整理を終えられ、空きの生じた本棚を目にすると、何だか複雑な思いがします。

それらが、何かを訴えかけているような気がしてならないのは、私だけでしょうか?

ちなみに私にとっては図鑑や興味ある分野の雑誌を読めばましな方で、今やネットの記事が「愛読書」と化してしまう有様です。

なお、リンクにつきましては、これまで読ませていただき、是非ともさせていただければと考えた次第です。よろしくお願い致します。
  • NESA
  • 2009/04/16 12:06 PM
たっちんさん、

岡氏のこの本は、やはり文系の人の書いたレコード史、という感じだったと(さすがに一度読んでるはず^^)記憶します。海外の著者では、フルトヴェングラーについても書いているクルト・リースの、『レコードの文化史』(音楽之友社。これもまだ所有。読んでるはず^^)がありますが、日本の‘レコード評論家’にはこのような仕事があまり見当たらず…岡氏のは貴重ですね。
  • へうたむ
  • 2009/04/16 4:17 PM
NESAさん、コメントありがとうございます。

>何かを訴えかけているような気が…
はい〜^^;;。本人のココロに、まさに本棚のようにポッカリと穴があいた状態で、ちょっと何をする or したいという気も起こらない日を過ごしております。

>今やネットの記事が「愛読書」…
右に同じ(^^;)/。ネットを見ている時間が、ここ数年、圧倒的に多いです。処分した本は、上に書いたように「読む」より「調べる」ためのものでした(いや、ほんとは読まないといけないんですが^^;;)ので、日々の生活に変化はないはず、なのに…。

>なお、リンクにつきましては、…
恐縮です m(^^)m。では、どうぞ。これからもよりデンジャラスな記事をアップしてまいりたいと^^…。
  • へうたむ
  • 2009/04/16 4:27 PM
へうたむ様
今晩は。御本を手放されて、寂しい思いもおありでしょうね。
私は、貧乏学生でしたが、図書館が苦手で、自分で買って読んでは、古本屋に持ち込んで、食費を得ていました(だいたい立ち食い蕎麦でした)。何軒かの店の中で、渋谷の道玄坂を上がってゆく左手の古書店の御主人がなぜか、いつも高く買ってくれました。今はシャーターが下りています。通りかかると、少し寂しくなります。
  • lilas1890
  • 2009/04/18 3:10 AM
リラ様、コメントありがとうございます。

ほんとうに、寂しいのに解放感もあり‥‥というヘンな感じが続いています。私は、本を購うことに恵まれ過ぎていたので、その有り難みがわからなかった、とは取敢えず言えるかもしれません。研究がホントウに好きではないのに、そこへ逃げ込むだけではあった、のですが、それでも自身の四半世紀を「削除」するのはフクザツです^^;。

今、ネット上で、自作オーディオのパーツ ― トランスやオペアンプやコンデンサー… ― を漁りまくって(探すだけです。まだ^^)おり、今までの(偽装^^;)専門とは格の違う昂奮を味わっています。

>何軒かの店の中で、…
そういう古本屋さんとの出会いはまた本だけでない、しかし本と深く結びついた体験を齎してくれるものだと拜します。私は、買ってもらう段になるとなかなか快い経験をしたことがありません。有名な○田○○町地域の或る専門書店など、院生時代に本を持ってゆくと「それ、在庫あるからいらない!」(←語調も、これ^^)とケンもホロロ。今回はその地域の専門書店は避けましタ^^。
  • へうたむ
  • 2009/04/18 3:17 PM
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