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TO BE or TO DO 〜続篇

鈴木秀子『愛と癒しのコミュニオン』文春新書 前に鈴木秀子さんの『愛と癒しのコミュニオン』(文春新書)のことを書いた。その中の「天使になって、自分を観察する」(89頁)は、できるだけそういうふうに‘後ろから自分を見て’いようと思って生活するようにしている ― まだなんにもいいことは起こらないが^^。

 同書の提案の中心は、「ドゥーイング=行為・業績による人の価値」以前に「ビーイング=その人の存在自体の価値がまず認められること」が大切だ、ということだった。
 その例え話として、‘病気で寝たきりの生活を送る30歳の男性、Mさん’の話が語られている(185頁以下) ― 自身の境遇を嘆くばかりのMさんは、コミュニオンの通信講座を受講し、寂しかった幼少時に、病気になると母親が傍にいてくれたことを思い出し、“自分は寝たきりになることを選んだのだ”と覚る。それから、世間で苦労の絶えない旧友たちが次々にMさんの部屋を訪れて悩みを話し、Mさんに聴いてもらっては癒され、Mさんは彼らの話を聴くことが使命だったのだ、と自身の価値を感じるようになった、というお話。
 動けないことで、かえって他の誰にもできないことを行なう、ということの‘発見’は大きい。このことと異なることでも、今まで自分に価値はないと思っていた人が、このような発見をすることは、人生の転換になる。
 ただし、ここで、鈴木さんは「ドゥーイング」ではない「ビーイング」の大切さを説こうとしているのだが、気になることはある ― つまり、ここでMさんが発見した自身の「存在」の価値は、「待っていて人の話を聴いてやる」という「行為=ドゥーイング」によってなのではないのだろうか、という点だ。
 この例え話からも知れるように、人の「存在」の価値は、「行為」によってはじめて‘外に表出’され、自他に知られる。

 これは、「行為」よりまず「存在」だ、と言われながら、数え切れない人数の労働者が失職している現状と考え合わせると、たいへん深刻だ。たしかに、Mさんの「行為」は、ふつうの社会人の職場や家庭での「行為=activity」とずいぶん異なる。「しない」「動かない」方向の行為だ。けれども、この方向の行為は、Mさんのような人でなければ、むしろ生活=存在を剥奪されてゆくあり方なのだ。鈴木さんは、こうした例話を紹介した以上、このような疑問に答えてゆかねばならないだろう。

 しかし、この本は、私には基本的にはありがたい本だ。
 「落ち込んで、立ち直るために使うエネルギーは、せいぜい十のうち二ぐらいにとどめ、自分はもともと不完全なのだから、そういう不完全な自分を愛してしまうべきなのだ。
 愛するというのは、実は、素晴らしさを味わうことではない。嫌なところを受け入れることなのだ。」
(180頁)

タデウス・ゴラス『なまけ者のさとり方』地湧社 15年ほど前、トラブルに巻き込まれた時に見つけてから、まさに‘癒し’に読んでいた、タデウス・ゴラス『なまけ者のさとり方』(山川紘矢・亜希子夫妻訳、地湧社、1988年。現在はPHP文庫でも出ている)が、しばらくどこかに紛れ込んでいたのだが、このところの大掃除で現われた^^。
 この本は、スピリチュアル系であることを前提にしても、何というか原始仏典のように簡潔で、そこに‘頼りたい’部分は何度も読み返す。この著者も、“あるがままの自分を愛する”ことがもっとも大切、というが、以下の行文は、たいへんに好きなところ ―

 「愛がもっとも気高く、最も神聖な行為であるのは、愛がその中に常に愛でないものまで包み込んでいるからです。」(32頁)

 これ、いいです。こういった本の言説をきっちり理解、ましてや実践などしてませんけど^^。でも、世の中はなぁ〜....。

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  • 2017.03.17 Friday
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  • 02:29
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コメント
>落ち込んで、立ち直るために使うエネルギーは、せいぜい十のうち二ぐらいにとどめ、自分はもともと不完全なのだから、そういう不完全な自分を愛してしまうべきなのだ。

良い言葉ですね。気が楽になれそうです。
実は、弊ブログでもこれに近いようなことを書いてしまいました。
http://ameblo.jp/godiego1969/entry-10239187579.html
ちと、レベルの下がる話かもしれませんが。

宜しければ、弊ブログ「NESAの本音」の「お気に入りブログ」に指定させていただけないでしょうか。お願いします。
  • NESA
  • 2009/04/12 7:57 PM
NESAさん、遅くなってすみません〜^^;;。

>気が楽になれそうです。
バランスないしシーソー・ゲームとして、‘悩むより気楽に’というレヴェルを超えて、悩むのも許すのも、基本は「そこにいていい私」だというのが鈴木さんの考えで、いわゆるスピリチュアル系に共通するメッセージ‥‥というか、まあ当たり前の人間観ともいえます。

でも、実際の世の中はますます「ドゥーイング」一辺倒に傾いてゆきます。そんな現実に、鈴木さんが述べるMさんの例話が有効かどうか、とても難しいものを感じます。

>弊ブログでもこれに近いようなことを…
お書きになっていることは、“自分の存在(ビーイング)を肯定する”ことへのアクションとして大きな意味を持つと思います。

>「お気に入りブログ」に…
ありがとうございます(^o^;)/。嬉しい限り、なのですが、拙ブログには、ご覧になっていておわかりと思いますが、まだまだ(それこそ「ビーイング」に対して)肯定的でない内容のエントリをアップしてしまう可能性が、私の生活の不安定さにともなって在るのです。しばらくご覧になって、十分納得がゆかれたら、ということで如何でしょう? ^^;
  • へうたむ
  • 2009/04/14 1:37 AM
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