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明けました…

 恭賀新年
あの〜、今年の運勢は如何っしょう?/チミの? それとも世の中の?/あ、ワタクシめの…/チミの運勢なんかうらのーとるヒマないんよ。/あ、あ〜っっ!!

 いや〜、年末から書いていますように、‘賀する’気持ち、‘賀する’気持ちになれるようなことがらは、皆無です。

 今のところ住む部屋はまだあり、激増しつつある失職派遣労働者の人たちに比べれば天国みたいなものではあるが、少しは世間の寒風が吹き込んでいるのは、感じる。それにしても、テレビの正月番組がこんなに違和感たっぷりな正月は初めてだ。《朝まで生テレビ 元旦スペシャル》だけが‘時宜に適った’感があった ― 元旦は仕事が入っていたので4時ごろでテレビを消して寝たけど。
 早いとこ、蔵書(私ごとき積ん読本蒐集者が‘蔵書’などということばを使ってはいけないのかもしれない)を処分しなきゃ、ほんとーにたいへんだぁ〜。
 今まで、日本仏教の中の、天台本覚思想(← 解説省略^^;)関係の資料・研究書を持ち続けてきて、何かロンブン^^;でも、などと思ったこともあったが、けっきょく何にも結実しないままスペースだけを取り、私の栄養にもなっていない。

 詳しくは、本館のほうに書くことだけれど、天台本覚思想の思想上の精髄といったものが、無住(1226-1312)の『沙石集』に記されている。

 「我が本覚の実躰は霊性天然なり。‥‥(中略)‥‥本来の知見、天然の霊覚、万物にさへられず(=障害されず)、六塵にけがれざる処、無我の大我、自己の宝蔵なり。此所は凡に非ず聖に非ず、迷もなく悟もなく、しひて本地の風光、本来の面目といへり。」(巻第10-1、岩波文庫『沙石集』下、150〜151頁)

 ここは、岩波文庫が採っている‘略本’のテクストが、とくに私の好きな行文だが、人間に内在する(仏教的にいうと「衆生己心中の」)仏性=本覚を、とても美しいことばで表現している、と感じる。「天然の霊覚」、「無我の大我」、「本地の風光」…先行する禅籍に典拠があるのだろうが、無住という人の書いた最も美しいテクスト(って全部読んでないけど^^)ではないか…。
 しかし、ここで無住が「本覚の実躰」と言ってしまっているのは、厳密にいえば仏教からの逸脱なのである。仏教こそは「実体」的思考を最も強く批判した史上最初の思想なのだから。諸法無我・縁起の思想と「本覚の実躰」とは相容れないのだ。それでも、無住が、一種、このようにしか本覚思想、言い換えれば彼の仏性論を言語化できなかった、ということもまた事実だ。

 無住の言説を読んでいるとは考えられない道元(1200-1253)の『正法眼蔵』では、その「即心是仏」の章で、無住の表現にきわめてよく響き合う‘仏性論’を引き合いに出し、詳述したあげく、これは外道だ、仏教ではない、と喝破し去っている。

 「万物にさへられず、諸境にかヽはれず。物は去来し境は生滅すれども、霊知はつねにありて不変なり。‥‥(中略)‥‥昭々霊々としてある、これを覚者智者の性といふ。‥‥(中略)‥‥これすなはち先尼外道が見なり」(岩波文庫『正法眼蔵』(一)、141〜132頁)

 とまあこんな具合。片方だけを取り上げるとアンバランス‥‥なのだが、なお無住の言説が完膚なきまでに無価値なものとされてしまうべきかは、ちょっと即断できない。
 しかし、私が勉強したことはこのくらいだし、これ以上専門家の言を参照しても何も得ないだろうから、もうこの方面の研究書や資料はネコに小判、手放そう ― あ、『沙石集』は予備校の仕事にも必要なので、まだ置いときまスけど^^。

 身の回りに積み上がった本をぱらぱらめくると、ほんとうに買わなくてもよかった本ばかりだ。今後は、死ぬまでに読んでおいてもよいと思える本を、残したい。古典と言われるものは、最低ラインは残しておきたい。

  銀(しろかね)も金(くがね)も玉も何せむに 勝れる宝 子にしかめやも

は、著名きわまりない歌(山上憶良(660-733?)、『万葉集』巻第5、803番)だが、千数百年も昔の日本人の、「子」にかかわる濃やかな思いが決して古びない感情として伝わってくる(という以上の知識も読みもないのだけれど)。
 そして! いつ読み果てるともなく気が向くと披く『カラマーゾフの兄弟』の中で、イヴァン・カラマーゾフがアリョーシャに語る、その一節 ―

 「多くの人間には一種特別な性質がある。それは子供の虐待だ、もっとも、子供に限るのだ。‥‥(中略)‥‥子供の頼りなさがこの種の虐待者の心をそそるのだ。どこといって行く処のない、誰といって頼るもののない小さい子供の、天使のような信じ易い心、― これが虐待者の忌まわしい血潮を沸すのだ。」(米川正夫訳、岩波文庫『カラマーゾフの兄弟』二、66頁)

 イヴァンは、この前後に児童虐待についてしつこく述べるが、この二つのテクストを並べると、やっぱり古典ってバカにできんなぁ、と思う。イヴァンの語りのほうは、現代日本に容赦なく突き刺さってくるが、憶良の詠んだ‘心’もウソではない。

 ― おっと、何わかったようなゴタク、ひけらかしてんだろう。でも、こんなところを基準に、手許に残す本を選びたいと思いまス^^;ゞ。

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  • 2018.07.23 Monday
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