CDプレーヤー、ピックアップのお掃除、とか。

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     最近になって ― モーツァルトのオペラCDを集めたころから ― オンキヨー C-7030で、電源投入後、最初に読み込ませたディスクが外盤、とくに旧 PolyGram系 (PDO、PMDC) の場合、TOCを読めないで空回りすることが増えていた。
     トレイを再度開閉して読み込むとたいてい読み取り、読み取れば、再生中に音飛びが発生することは全くない。

     なんだかなー‥‥やっぱりレーザー・ダイオードの劣化かなー、と思ったのだけれど、ピックアップ・レンズのヨゴレが原因で、綿棒に無水アルコールを浸し、軽く清掃する方法はネットに多く見える。
     ディスクにハケ(ブラシ)を植え込んだピックアップ・クリーナーも持っていたが、見当たらない。このタイプは、ブラシがレンズを傷つける可能性があるとして、プレーヤー・メーカーで、取説に「使わないでくれ」指示を記したり、ユーザーでも懸念して使わない人も多いようだ。
     たぶん、そんなことで私も転室時などに廃棄していたのだろう。

     そこで、綿棒に無水アルコール、ということになるが、一般の衛星用綿棒は、キトサン抗菌を施してあるものがほとんどで、そのオーディオ使用に懸念する意見も見える。
     手持ちの綿棒もキトサン抗菌仕様なので、では、と、しばらく使っていない、ケイグ Caig の接点清掃キットに付属していた綿棒を使った。

    C-7030、レンズ部分

     超-久しぶりに C-7030のトップパネルをはずした。
     C-7030のメカ部には、上部にカバーがあり、トレイを出した状態で電源を切ってもピックアップは見えない。ギアを手で回すと、ぎりぎり清掃できる位置に出てくるので、軽く拭く。

     2015年11月に購入・使用開始し、当初、曲の頭出し時ノイズの件でサービス送り、この時に一度メカを交換している。次に、2018年1月に音飛びが発生して、ショップ延長保証でメカ交換。さらに3ヶ月後の4月にも症状再発で、CDトラバース=メカを交換(この時は修理保証で無償。以上、修理報告書による)。
     こう見てくると、最初に搭載していたトラバース・ユニット(=ドライブ・メカ)から、4代(台)目のメカということになる。が、2018年4月から今まで、5年以上 ほぼ完全にノー・プロブレムで稼働していた。

    C-7030、DAC付近

     清掃時、DAC=Wolfson WM8718 部分を撮影。ここだけではないけれど、このプレーヤー、基板のアートワークは私のような素人が見ても、じつに美しい。
     NJM4580MDを、チャンネル当たり 2基4回路使った、複雑な LPF+バッファ、VLSCが写真上部(リアパネル側)に見える。
     DACの電源バイパス・コンデンサーは異様にデカい(トリミングしたので、ここには見えないけれど)。ふつうなら100μFくらいでいいのだが、470μFを配している。
     もっとも、このところはほとんど PM6007内蔵DAC(AK4490EQ)で聴いている。

    C-7030、電源トランス

     電源トランスは、安価機としては大きく、安心感はある‥‥のでどうだ、というわけではとくにないかもしれないが。

     ‥‥さて、清掃後、とりあえず、冷たい状態から電源オン、PolyGram系CDも、読むようになった‥‥ということは、ヨゴレの除去が奏功したという確証は確実ではないが、とりあえず変化があった、ということで、因果関係はあったようだ。「ヨゴレが落ちたからだ!」と明言すれば、これはヴードゥー臭が匂うのだけれど(笑)。

     さてさて。システム、たいしたものではないが、まあまあいい音で鳴る。
     あれ? ちょっと右チャンネルがエッジが効いた音に? そうか! ピックアップ・レンズの、右チャンネルの信号を読む部分に、まだヨゴレが残っているのかも! ← みなさん、(どなたかに難ぜられなくとも^^)これがヴードゥー・カルトですよ〜♪

     とっとっと。いったい、CDでは、1本のラインのピット列に、どのようにして2チャンネルのステレオ信号をエンコードし、デコードしているのか?
     意外とこの疑問にわかりやすく答えてくれているウェブページは少ない。
     こちらにある図の、最上段にある2つ、PCMデータ=16bit×2チャンネル、これの6サンプルで 192bitが 1フレームになる、のだそうだ。

     ここからあとは ― 理解のつなげ方がちょっと難解だけれど ― ショップ・サウンドハウス内の あちゃぴー氏による「蠱惑の楽器たち 32.音楽と電気の歴史8 CDのデータ構造」が参考になる。
     ちょっと、画像を拝借‥‥

    CDデータの構造

     こういった説明ページが、ネット上にもっとあってもいいような気がするのだが。

     さて‥‥数日後、また電源オン直後の外盤TOC読み取り不良が再発した。
     ということで、再度 軽く清掃。その後、10日以上、電源オン直後の外盤も読み取ってくれているので、とりあえずそのまま聴いている。

     一件落着、というところで、最後にモンスターが! というのがホラー映画の演出の常套。
     藤本 健氏(いちおう理系、横国工学部出身だそう) のこちらのページでは、プレス会社・メモリーテックへの取材が見える。
     技術者氏;「私は、元々オーディオメーカーのエンジニアなのですが、技術屋の観点からすれば、“デジタルだからそんな馬鹿な話はない”と思いました。でも確かに音が違うんです。となれば、これはビットが違っているはずだと予想しました。そこで、プログラマに1ビットずつコンペアする検査ソフトを作らせて、マスターとプレスしたディスクを検査してみたのです。すると、これがピッタリ同じになる。 / しかし、場合によっては、できあがったCDを2枚比較して違う音になることもありました。」

     出ぇたな〜、ヴードゥー怪人!! (超激爆) ま、これはナンですな、YouTube動画でいう「※プロモーションを含みます」というやつです。メモリーテック社は、HQCDというディスクを開発しているところ。
     この種のハイクオリティを謳うディスクには一切 食指は動かないが、上引の “ヴードゥー神話” にも、前に引いた TI・赤堀氏の「試聴がポイント」の言は思い起こされ、個人的には “見切り発車”はしないでおくつもりだ。
     それと、外盤の TOCが読みづらくなったピックアップでも、国内盤はほぼ問題なかったことから、国内各プレス・メーカーの研究が、読み取りの確実なディスクの生産に貢献しているなら、それはそれでいいことだとも思う。

     もうちょっと書くことがあったのだが、また次に。「今さら聞けない…」第2弾はまた、延期(笑)。

    Diamond 12.1 vs 220、ふ〜ん…。

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       ぼつぼつ食器棚の中身をダァ〜ッとかき出さないといけない時期なのだが、超ヒマかつ超イライラ、手が進まない。
       まさかワーフデールの箱にオリーヴオイルや辣油のビンをぶち込むわけにもいかない(笑)ので、電子レンジの箱や、本体はもう廃棄している富士通BIBLOの箱(まだ置いてる! w)などにまとめて、冷蔵庫の前あたりに積んでおこうかな…。

      Diamond 12.1 & 220

       高域が伸びてこず、低域が溢れ過ぎの Wharfedale 12.1ばかり慣らし運転をしていると、生理的には全くストレスはない ― これはすばらしい ― けれど、音楽を聴く感動も、一切ないので、Diamond 220もつなぎ換えて聴いてみる。

       すると、12.1の欠点と 220の欠点の、両方が耳に入ってきた(爆;;)。
       220は、低域はスリムで、激-狭の居住環境にも優しいのだが、高域は綺麗なのではあるが、いささか粉っぽさも感じさせる。

      試聴ディスク

       ノラ・ジョーンズのヴォーカルの子音に、そういう粉っぽさを ― 以前もそうだったはずだけれど ― 感じた。ただし、ピアノのクリスタル感は、やはり 220だ。
       ジーン・フライ・シドウェルのアルバム(写真右下)のベースの低音は、音源そのものに「入り過ぎ」なのだが、220だとこれが「出ない」(爆)ので、具合がいい。

       クラシックでは、ホルストの『惑星』、チャールズ・グローヴズ指揮ロイヤル・フィルの、ちょっとあやしげな録音、やりすぎなほどのハイファイ志向で、音が割れそうになっている部分もあり、静謐な部分との対比なども、オーディオ機器のテストに合う音源かと思う。
       手許のCDは、Resonanceというレーベルで、発売元は英Sanctuary Records Group Ltd. となっていて、録音データはない。が、こちらのブログには「録音:1987年7月」とある。

       このデータは何が根拠だろう、と訝っていたのだが、Dicogsのこちら「Digitally recorded at Watford Town Hall, Jly 1987 © 1987 Castle Communications PLC」とあって、プロデューサー/エンジニアはブライアン・カルヴァーハウス、とのこと。
       文春新書『クラシックCDの名盤』初版で、福島章恭氏が、Castleレーベルのこの音源をベスト盤としている(『新版…』でも見解は同じだが、入手困難化のため、推薦盤をボールト盤に差し換えている)。私が求めたのは、福島氏の高評ゆえだった。

       長い前置きになったけれど、金管と打楽器の容赦ない炸裂が聞けるこのディスク、Diamond 12.1ではハデ過ぎる要素はうまく抑制されつつ、全体に高水準でハイファイかつ重厚。
       この音源をじっくり通して聴いたのは、今回が初めてかもしれない。
       この音源を聴いていると、多彩きわまりないサウンドに、ステージの拡がり感の乏しい現状の 12.1でも、さまざまなところからいろいろな楽器が響いてくるので、ステージに奥行き感が出てきたように感じた。
       「ふ〜ん、ちょっとブレークインしてきた?」と思い、朝比奈翁の『エロイカ』を聴いてみると、高弦の艶もステージの奥行き感も、開梱時のまんま(爆)。あっかんな〜;;。

       グールドの『平均律』冒頭曲。
       グールドのタッチも CBSの録音も、潤い感がなくドライなのが個性でもある録音で、それでよいのだが、12.1は、ほんっと〜に素っ気なく、暗い音だ。
       220に換えると、腰高になり、粉っぽさも出てくるのだが、ピアノの艶もしっかり聞ける。

       いや〜、オデオって難しいですなぁーと今さらに嘆息&感銘。
       YouTube上で、ポーク・オーディオ、Elac、Fyne Audio F300等々の“空気録音”を漁りまくっているけれど、Diamond 220よりクラシックを明らかにうまく聴かせてくれそうなブランド、機種は、どうもそうそうありそうにない。

       さてさて、食器棚の中身出しを始めませぬと‥‥今夜も外食にしようかな。金、かかるなー;;。

      やっぱり Diamondは 220 …。

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        Diamond 12.1

         開封直後のインプレから、まだ10時間くらいの試聴。
         印象は、ほぼ変わってこない。これはもう、明らかに 220のほうが、よい

         12.1は、それはもう立派な出音なのだけれど、低音が、私の居住環境には、響き過ぎる。
         今まで ― 2DKだった旧室時代も含め ― 低温が響き過ぎる or ボンつく、という点で合わなかったのは、DENON SC-E232、DALI Spektor 2、同 Oberon 1、それにこの Wharfedale Diamond 12.1 である。

         同じ DENONでも、SC-E252は、そういうことは全くなく、と言って低音が出ない不満感もなく、252で気になったのは、ハードドーム・トゥイーターの音が若干 キツかったことだった。
         これは、スピーカーを内振りに設置していたことにもより、真ン前に向ければ緩和されていたかもしれない。
         SC-E252に、232のソフトドーム・トゥイーターが付いていたらベストだったのに、と感じていた。

         そのあとでは、B&W DM607 S2も低音は多すぎなかった。こちらは(も)ハードドーム・トゥイーターの音が、鮮麗だけれど、耳障りな時もあり、ソフトドームの Audio Pro Avanti A10に替えて改善はされたが、聴いているうちにまた気になってきて、キットを経たあと、Tannoy Mercury F1 Customに落ち着き、2010年末から2019年半ばまで、8年間聴いた。
         これらのスピーカーは、低域が若干 不足するものはあったが、出過ぎるものはなかった。“若干 不足する”くらいが、拙宅の許容限界なのである。

         もっとも、低域については、インシュレーターを挟むなどして改善する余地はあるかもしれない。
         が、12.1の、いちばんの問題、率直に言って「魅力の欠如」は、ヴァイオリン、ピアノ、ヴォーカルの、高域があまり美しくないという点にある。

         ヴァイオリン、ピアノ、そしてヴォーカルの子音など、ひとことで言うと、bitter だ。
         220では、再生中のそこここで、ヴァイオリンやヴィオラ ― ユニゾンでもソロでも ― が、「これは!」と感心する、蠱惑的な美音を聴かせてくれるのだが、12.1のほうは、室内楽のヴァイオリンが少し「まあまあきれいかな」程度にとどまり、弦合奏は、暗くてシブい。
         朝比奈/大フィルの『エロイカ』でも、220だと、「大フィルの弦って、きれいだなー」と感じる箇所が多々あったけれど、12.1では、ない。

         カール=ハインツ・フ ィンク氏のデザインを触れ込んでいるが、1機種のみのスポット的コラボは、うまくいかないのでは、という感触も持った。
         220は、9、10、11シリーズから、Wharfedaleのチームでずっとブラッシュアップしてきた、その辺の成果なのか、とも思った。

         もうひとつは、ステージ前後の奥行き感に欠けること。
         220では、腰高、かつ箱庭ではありながら、ステージの奥行き感がみごとに感じられるのに、12.1では、ほぼ、ない。
         この点は、Pioneerの最後のアンプ、A-40AEと似ている。余韻感は漂わせるものの、奥行き感 皆無だった。

         12.1を導入する前から感じていたことではあるが、腰高感は免れないものの、C-7030+PM6007+Diamond 220 のチームは、ほんとうにいい音を聴かせてくれていたのだ。「いい」の意味は、1) 基本的に優れている、 2) 私の嗜好に合っている、 3) 部屋に合っている、の3点。
         たぶん、これ以上は私の居住条件では、ムリなのだろう。

         ぼつぼつ 220を楽しむ態勢に戻したいのだけれど、水・木に食器棚の搬出・搬入があり、これが先決事項だし、ちょっと台所大わらわなので、このあとで、動線も確保してから、冷蔵庫の交換と並行して、オク出しなどしてまいりましょう。

        Wharfedale Diamond 12.1 到着。

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           来ましたぁ〜♪
           左が Diamond 12.1ペア、右が Diamond 220ペア。

          Diamond 220、12.1
          いやー、兄弟でよう似たはるわ〜^^。

           ダダッと開封し、バナナプラグにしているので手軽にプラグ・アウト、プラグ・イン。
           Diamond 220は、バナナプラグ差し込み穴に、小さなプラのキャップが付いていたのだが、12.1には、ない。
           このキャップ、ラジペンでコジり出して抜くのだが、これがやりづらいという話がけっこうあって、コスト削減もあろうから、なくてよかろう。

          Diamond 12.1

           12.1は、ユニットごとのサランネットの 220とは違い、きわめてフツーのバッフル全面を覆うネット。マグネットどめである。

           で、220と、適宜 交換しつつ、ザッといろいろ聴いてみた。
           最初に、ルネサンスのア・カペラ声楽ということで、ヒリアード・アンサンブルの歌うオケゲム。
           これは、220では、ややノドに力を入れて声を絞り出す感じがあったのが、12.1ではまったくスムーズに出てきて、聴いている側にリラックス感をもたらす。
           逆に、ポップスの女性ヴォーカルは、いささか抑圧された、伸びのない音で、「あー、いい音だ、声だ」という感触は、残念ながら一切ない。

           YouTubeで、しけもく氏が、12.0について、「最初は音が出ない。そうとう鳴らし込まないと…」云々と言っていた、まさにそういう感じだ。
           海外の YouTube動画や、逸品館動画では、情報量が多く、いろいろ聞こえてくる感じなのだが、箱出し4時間くらいでは、中域のダンゴ感が著しく、落ち着いた音であることだけはわかるけれど、まだ「楽器の音」になっていない。

           心配した、低域の「出過ぎ」は、ジーン・フライ・シドウェルのヴォーカルで当たり、入り過ぎのベースが、ドボボ〜ンと響く、これはアンプの Bassを下げないと隣室迷惑だし、快適ではない。
           どうもこの点で、DALI各機種同様、私のプアな居住環境には合わない懸念が強く出てきた。
           米Crutchfieldのカスタマレビューの中に、「If you place them closer than 6' apart then they will sound muffled and the sound stage becomes small …」云々とあったのが思い出された。

           ピアノでは、上原彩子の弾く『展覧会の絵』の終曲近くを聴く。12.1では、まだ、はっきり言って「ピアノの音」ではない。ただ、腰高にならず、全体に重厚だ。
           220に切り換えると、ほんと〜に「ピアノらしく」、終わり近く、ピアノが上の音からダァ〜ッと降りてくる部分の輝きが、まさにピアニストがその腕力! で鍵盤を叩いている感じを如実に感じさせて、かつその響きがピアノの周囲に散らばっていく余韻感も十分、これは圧巻だった。
           ただし、低域が薄くて腰高なのである。

           ここら辺で、どちらかというと“エージングは存在しない”サイドに立っている私なのだけれど、「あー、220はずっと鳴らし込んでこの音になってきているのかなー」と実感したのだった。

          床に。

           12.1をスタンドからおろし、バッフル向かい合わせでスタンドの間に置くと、220の時の間隔ではちょっときつく、1cmほど拡げた。
           残念ながら、開封数時間の試聴では、Diamond 220や、Marantz PM6007のような、「お、これはいけるかも」という感じではなかった。
           使用後は、畳の直上に 220を、その上に 12.1を重ねて置き、ヒマでもあるのでしばらくいろいろ聴いてみよう。

           おっと、ヒマなのだが、来週真ん中に食器棚が搬入される。その前日に現用品の廃棄をすませておかなくてはいけないので、その手配をしなくては…。
           ※デミタスカップ、買取業者さんに送ったら、着いたその日に査定&振込み、15,000円でしタ。これは、捨てないでよかった。

          オーディオ動画、視聴中、とか…。

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             ワクチンの副反応のせいにして、3日は無駄に過ごした。
             いろいろスピーカーのことを漁り、しかし食器棚の件は進ま(め)ず、悶々としております。

             ネット上では、Audio Science Reviewのような、データ主義のサイト、これに似た、Erin氏の YouTubeチャンネルなどに惹かれている(が、発話はわからず;;)。

             他方、逸品館レビュー動画や、『ステレオサウンド』公式チャンネルなどで高評価の、Polk Audio Reverseシリーズ(R100に限定されるけれど)にも興味が湧いている。
             しかしながら、Erinさんの動画中、「harshness」や「edgy」などという形容詞が聞こえ(どういうわけか、YouTubeページから検索で出たサムネイルから飛ぶと、字幕は日本語になり、ブックマークしたものを開くと英語字幕…)、そのあと、この辺で、「Polkのエンジニアが観てたら、遠慮なくメールをくれ」と言っていたりしていて、これも面白い。

             というわけで、いろいろな試聴動画でも、やはり Polkは最高クラスの Reverseでも、高域はやや刺さりそうな ― この辺、すべてポップスのヴォーカルの子音の試聴で判断 ― 印象があり、やっぱり Wharfedale Diamond 12.1になるなー、という次第。

             ちなみに、Erin氏の動画では、Klippel社の機器をアレンジした、リスニング・エリアを回転しながら測定できるマシンを作って実使用している。
             Klippelは、ドイツの音響機器測定機器専門メーカーということで、ドレスデンのメンデルスゾーンアレーに本社があり、日本にも東陽テクニカというところが入れているようだ。
             Audio Science Reeviewでも、Klippelのロゴの入ったデータを多く見かける。

             さて、そこで、Erin氏が Diamond 12.1をレビューした動画:


             字幕(これは英語しか出ない…)を頼りに聞いてゆくと、
            「the only really issue that I had was the attack and transients were not quite there on certain tracks ‥‥ I would charactarize this speaker's tonality more long the lines of quote laid back or maybe even soft if you want …」と表現し(英文字幕から)、その理由として、1〜3kHz付近に 3dBていどのディップがあると言っていて、これは「a little bit of clarity and definition(解像度の少しの欠落)」を生んでいる、と言っている。

             ここで興味深いのは、これを「BBC dip」と称しているところだ。この語については、英語圏にいくつかの、フォーラムなどの議論が見える。

             もっとも、クロスオーバー付近にこうしたディップが生じるのは、ある意味あたりまえそうにも思えることなのだけれど、Diamond 12.1のレビューでこう言われると、聞かされた私としては、「お、これ、BBCモニターふうなのかも?」と思ってしまいかねない(笑)。
             それに、1〜3kHzにディップがあることは、刺激的な音を避けうるし、clarityがやや欠け、laid backになるのはどちらかといえば歓迎、ただし安っぽいフルレンジふうなのは嫌だが、動画で聴くと、なかなか繊細そうだ。

             いやいや、食器棚と冷蔵庫が先で〜す;;。

            あっという間に松の内も通過…新しいスピーカーに興味が ;;。

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               ‥‥あけまして、という記事を作るまもなく、諸方にご挨拶のコメントを差し上げるまもなく、松の内は明けちゃいました。

              豚丼

               正月は、元旦を最後に4日の休み、元旦は例によって、弟に呼ばれてそこそこゴ〜ジャスなおせちを。
               自分のほうも、1,800円の西友のおせち5品パックが、大晦日には1/3に下がっていたので、いちおう1パック。
               その、「寿」の鳴門巻を、いつだっけ、2日くらいの仕事帰りの夕飯にテイクアウトした松屋の豚丼に乗っけて、などいたしております。

               弟の部屋で、Unison Research Sinfoniaで鳴らす Cremonaをさんざん聴かされると、やはり何というか、スピーカーの周囲に、ある種 オーラのような、ゆとりのある響きの空間とでもいったようなものが現われ、「ずっとそこにいたくなる」アトモスフィアを醸し出しているのがわかる。
               これは、私のプア・システムにはない要素だ。拙宅は、一定時間 満足した鑑賞のあと、続けて鳴らしていたくなるより、むしろ疲れる。

               そんな昨今、コメントでお越しくださった方からの情報で、Wharfedaleの Diamondシリーズも、200シリーズに外観的に近い、Diamond 12シリーズの、12.1に気持ちが向いている。

              Diamond 220、12.1

               フロントは、ほんとうによく似ている。上画像は、左が 220、右が 12.1で、ネット上からもらって切り継ぎしたものだ。
               ユニットのサイズはトゥイーター 25mm、ウーファー 130mmと同じ。ただし 12シリーズは全く新設計で、ウーファーは 200シリーズのケヴラーをやめ、マイカ混入ポリプロだそうだ。
               ユニットの新設計が売りもので、マグネットは、200シリーズのフェライトからネオジウム(正しくは「ネオジム」なのだが、オーディオ業界ではこの“誤称”で通っている)になった、とか。

               サイズは、220が、174mm(W)×315(H)×255(D、端子含む)に対し、12.1は 180(W)×312(H)×278(D、端子含む)となっていて、12.1は奥行きが2cm深く、重量が 1.5kg重い。
               聴いたあとは、スタンドの間に下ろして、ユニット面を向き合わせているので(東日本大震災以後の処置)、ちょっときつくなる:

              ブックシェルフ待機状態

              が、少し詰めれば置けないことはない。

               あと、大きな違いは、220の個性的なボトム・バスレフをやめて、一般的なリア・バスレフにもどしたこととか。
               それと、フロントのサランネットが、ユニットごとに覆うスタイルの 220に対して、全面を覆う一般的なものにもどった。私は 220のスタイルが、隙間からゴミが入りにくくてよかったのだが、あれが「醜悪だ」という方はいるのである。

               ドイツ人のスピーカー設計者・カール=ハインツ・フィンク氏の設計になるものだそうである。恰幅のいいおじさんだな〜。

               こちらの YouTubeの音質紹介動画:


               では、終わりのほうにオペラ歌唱も使われていて、なかなかだ。
               ちなみに、この動画のアンプは、プリ/DAC、パワーとも Chordのハイエンド品らしく、合わせて 200万円くらいのようだ。

               それから、12.1ではなく、12.0なのだが、こちらの動画:


              では、ペア6万円以下のブックシェルフを比較していて、最後に登場する 12.0は、アップ主さんが「クラシックを聴いて、泣きました;」とか「Moisty〜!」とか言っていて、これはよさそうである。

               この OnsiteAudioなるチャンネルの主宰者・しけもく氏は、ご機嫌に軽い調子でシャベりまくっているのだが、その内容は、じ〜つに的確で、語彙も豊富かつ適切、敬服する。技術紹介的にも、スペアナ動画を併せて見せるあたり、客観性が高い。

               Diamond 12.1のクロスオーバーネットワーク基板は、YouTube動画からスチールで頂戴したもの↓

              Diamond 12.1 ネットワーク

              があり、空芯コイル 2、有芯コイル 1、電解コンデンサー 3、フィルムコンデンサー 3、抵抗 5 となっていうようだ(…なんて紹介のスタイルが、「長岡鉄男 ダイナミックテスト」でしたねえ)。
               かの LS3/5Aほどではないけれど、けっこう複雑で、f特などを平坦にするべくコントロールしているのかも。

               Diamond 220の測定データ集に比べて、12.1のデータは、周波数特性だけ見ても(ほか、見方の分からないデータあまた ;;)、12.1は驚くほどフラットだ。

               てなところで、オーディオに出費しなかった1年が明けて、手を出しそうな心境でありま〜す;;。

              管球 vs PM6007 &言いわけ説話。

              0
                 G.ドゥルーズ先生曰く、「とりさらわれる」…「何かに完全にひたることによって生が喜びになる瞬間」。
                 いや、困りました。
                 既製品システムで音楽を聴く‥‥どうにもそこには、「ひと任せの音作り」で終わらざるをえない物足りなさがある一方、自分が中身に手を入れた機器で音楽を聴くというのは、自分の心を鏡で覗くようなことにもなり、これまたシンドい。ずっとこの矛盾を繰り返し続けてきた、という次第。

                 そこで、YouTube動画から、自作を含む真空管アンプの、いわゆる“空気録音”と、現用・Marantz PM6007の“空気録音”とを、きわめて恣意的に選んで並べ、「やっぱり PM6007の音がいいし、好みにも合ってる」という“思い込み”を導き出そうとい試み? であります(← 自己洗脳。いや“献金”をやめる方向、ですよ[爆])。

                 まずは、Lafayetteというヴィンテージらしいスピーカーを、6V6プッシュプルで鳴らし、デュ・プレ&バルビローリの、エルガー:チェロ協奏曲の、英EMI盤LPを再生している動画:


                 さすがにチェロの音に深みはあるけれど、オケが入ってきて、とくにトゥッティになると混濁感がヒドい。
                 全体に、管球アンプ・マニアには、“空気録音”の音録りの技術が低いか、または録音・録画で「いい音を聴かせよう」という意志がほとんどないかのように思えるほど、録音が悪い動画が多い。

                 次に、知る人ぞ知るヴィンテージ・オーディオ・マニアの哲学者・黒崎政男氏、たぶん氏のブログ《KUROのブログ》の一環動画と思われる、これ↓。


                 マズア/ゲヴァントハウスのブルックナー:9番の Eterna盤LP。アンプはご自作の Western Electric球のものだろう。
                 「これが…なかなかすばらしい」と教授自ら自賛なさる音は、申しわけないのだけれど、率直に申して深みも感じられず、盤のキズがそうとうひどいようで、パチパチ・ノイズの中から混濁したオーケストラが聞こえてくる様は、ちょっと惨憺たるものがある。

                 管球アンプの“空気録音”で、これはいい、と思わせられたチャンネルは、「seas- lyd」さんというところ。SEAS EXCEL Crescendo T29CF002というトゥイーターを使用したスピーカーで、いろいろ音録りした動画をアップしている。


                 が、上掲動画は、プリ部に真空管を使った IC出力のプリメイン・アンプである。三脚で固定した、たぶんタスカムのレコーダー、これがしっかりしているのだろう。

                 翻って、Maratz PM6007の再生動画。
                 ちょっと YouTube内をググっても、ショップ動画などでなくとも、だいたいけっこううまく音録りしてあるように感じる。

                 下は、Wharfedale EVO 4.2を鳴らしている。EVO 4.2はペア16万くらいのスピーカーらしい。安いモデルがあっても、AMTという特殊なトゥイーター(ハイルドライバーと称される形式らしい)は指向性の面で神経質らしく、私は採らないが…。


                 が、いい音してます。

                 こちら:


                 JBLを。きれいに鳴らしている。CDプレーヤーは、トライオードの Ruby CDということで、これは真空管バッファーは内蔵していない。

                 こちら:


                は、昨年、待ちに待って入手し、PM6007を採る結果に終わった、Cambridge Audio CXA81と PM6007を、瞬時切り換え比較をしてくれている動画で、CXA81を導入してみるきっかけになったものの一つ。
                 CXA81は、撥弦楽器の音が立体的でリアル、ヴォーカルも、やや真空管っぽくザラつき感が出て、そこがよかったのだが、実際に手許で鳴らしてみると、むしろ合わなかった。

                 私には、PM6007の、ザラつき感が不足して滑らかなヴォーカルのほうが、ギターも余韻感のきれいな音のほうが、よかったわけである。
                 そうなると、真空管アンプを作るとなると、好みの音になるまで、そうとう手を入れないといけなそうだ。
                 やっぱり、「しやせまし、せずやあらあましと思ふ事は、おほやうはせぬはよきなり」でした。

                 ‥‥といいつつ、真空管から離れて、“オデオ好き”一般の自己弁護に使える話を、ドゥルーズ説以外にも‥‥。
                 鎌倉期、比叡山延暦寺の座主・慈円(慈鎮)和尚は、僧であるにもかかわらず和歌を詠むことが好きで、弟から、「一山の座主たる者が、“風月のたはぶれ”に耽っておるとは何ごとか。今後慎みなさい」と叱られた折り、
                  皆人に一のくせは有るぞとよこれをばゆるせ敷島の道
                と詠んで返した、という説話が室町期の正徹の『正徹物語』下に見える(岩波・日本古典文学大系『歌論集 能楽論集』、229頁)。

                 私の記憶していたのは、下の句が「我にはゆるせ敷島の道」だったし、『正徹物語』に見えることなど、『歌論集 能楽論集』はず〜っと積ン読ゆえ、知りもしなかった。
                 まだその方面の研究会などというものに顔を出していた時分、「あれ、「敷島の道」を「オーディオの道」とかにしたいんですが、『拾玉集』にも見えないみたいだし、出典は何ですかねえ」とか何とか、飲み会でしゃべっていたら、詳しい方が「『正徹物語』にあります」とご教示くださったことで、知った。

                 では、私はなんで「我にはゆるせ…」ヴァージョンを知ったのかというと、記憶なのだが、安価に入手していた校註国歌大系本『拾玉集』(現在、手許になし)の解題が、触れていたような気がする。
                 私の頭には、このことがあって、飲み会での雑談になったのだろう。
                 そうなると、「我にはゆるせ…」ヴァージョンは?
                 ありがたいことに、今度はネットをググると、こちらに、『百人一首一夕話』に見えるそうだ。

                 これまた、積ン読の岩波文庫版『百人一首一夕話』に、
                  皆人の一つの癖はあるぞとよ我には許せ敷島の道
                とあった(下、248頁)。弟から諫められるエピソードも、ほぼ同文。『百人一首一夕話』は、『正徹物語』に拠ったと思しく、校注国歌大系の編者は、『一夕話』に拠って書いた、ものか。

                 という次第で、「敷島の道」(=歌道、詠歌)をオデオに変換すると、オーディオ趣味のアポロジーになるんじゃないかなー、という、高尚なる国文学を貶めかねない、しかも自分で読んだ知識ではなく、人から教示いただいた、あるいはネットでググった、というところ、まさに「不読書家」の恥さらしの一席、いや一夕でしタ。

                 そこそこのエスタブリッシュ氏が、「キミ、いいポストに就いたんだから、オーディオ狂いなんかやめなよ」と言われた時に、「いやぁ、慈円僧正の顰みに倣っていえば、“我には許せオーディオの道”ですよ。趣味に“とりさらわれる”体験こそ、ジル・ドゥルーズも最高の瞬間だと言っているそうじゃないですか^^」とか反論‥‥なんて場面は、あんまり想像できまへんがね。

                 さて、漫才なら、この辺で相方が「えぇかげんにせっ!」と肩を肘鉄でド突くのだが、そういう人もいないので、この辺で自主的に、幕。

                ONKYO、復活?

                0
                   昨夏、オンキヨー/パイオニアの経営破綻のあと、アフターサービスが中断している件を、今年のGWに書いている
                   今も、そのサポート・ページ「事業停止に伴い、これまでにお送りいただいた、お問い合わせや修理依頼のメールに対してのご返信が一切できない状態となります」の文言のままだ。

                   そうとう高価な製品もあったんだから、どこかに修理サポートを依頼するものなんだがなあ、と思っていた。
                   そのオンキヨー・ブランドは、新しい形で、破綻した旧・(株)オンキヨーホームエンターテイメントを離れ、オンキヨーテクノロジーとして再スタートしていた。

                  オンキヨー新P


                   YouTubeで見られるニュース動画は、こちら:



                   コメントには、「臨死体験から1ミリも教訓を得ていないかのような古い発想のラインナップに、正直絶望を感じた」というのがある。
                   再スタート 3ブランド ― Onkyo、Integra、Pioneer ― の新展開機種は、どれもみな大型のAVレシーバーばかりで、はたしてこれで経営再生できるの? という印象を受ける人がいて当然だ。
                   けれど、オンキヨーは、TXシリーズのレシーバーが、海外ではとくに人気が高く、ユーザーが多いような感じを、海外サイトのレビューや動画などから受ける。

                   今後の推移には、はっきり言ってあまり関心はないのだが、現用の C-7030の修理はどうなるのか、気になる。
                   新HPのリンクを見ると、TEACと提携して、修理サービスを再開していた!
                   旧HPのサポート・ページにはこのこと、およびリンクはひとこともないのは、別会社ということだからか。問い合わせフォームから「書き換えられたら書き換えて」と一報しておいたが、変わらないだろう。

                   新サポート・ページからは、修理対応機種一覧ページがリンクされていて、これは便利だ。
                   C-7030もちゃんと記載されていて、しばらく安心‥‥いや、故障すれば他機種でもいいのだが、C-7030はほんとうにいいプレーヤーだし、他の候補が少なくなっている。
                   ここで気になったのは…

                  C-7030M2 リスト

                   リストの中の、C-7030の下に、C-7030M2とあるものだ。
                   この型番でググっても、とくに特定機種の情報はひっかからない。
                   が、もしかすると、主基板をやりかえて、DACを変えたあとの型番が、ある種“裏メニュー”としての C-7030M2なのだろうか、と推測する。
                   この YouTube動画の終わりのほうには、開梱したあとの箱のシールが写っているが、ここには「C-7030M2(S)」と見えるので、メーカーは認識しているのだろう。

                  C-7030M2 ラベル


                   C-7030と Marantz PM6007のコンビは、とてもよく合う。デザインもよく合い、きれいだ(…と感じるようになってきた)。
                   私にとっての、Onkyoブランドの、もっとも「憧れ」だった製品は、こ れだけれど、こういうものはもう作らないだろう。

                  初期デジタル録音の問題と、D/A変換方式…?

                  0
                     GWも終わりだぁ〜;;。
                     ま、メルアド変えと、それにともなう登録変更は GWにふさわしい作業だったかも、と自己満足しておきましょう。

                     よくお邪魔する みっちさんのブログでは、1980年前後に録音がデジタルになった時、その時期のデジタル録音は、技術的未熟から音質が極めて悪い、と忌避を表明されている。

                     ラドゥ・ルプーのブラームスも、デジタル化直後のソナタがよくない、ということだ。
                     私は、このピアニストのシューベルト 4枚組(下写真、右上)は、このところ求めたCDの中で、演奏・音質ともに極めて秀逸なもの、と感じ入っている。
                     この中の最重要楽曲でもある、最後のピアノソナタ 3曲は、第19番 ハ短調 D958 が1981年7月のデジタル録音、第20番 イ長調 D959 が1975年7月のアナログ録音、第21番 変ロ長調 D960 が1991年12月というぐあいに、デジタル初期録音が混入するので、みっちさんにはお勧めできないことになる。

                     1981年デジタル録音は、このセットではほかに『楽興の時』もそうだ。
                     アナログ録音トラックを聴いてすぐに、それらのデジタル初期トラックを聴けば、何か顕著に劣悪なところが聴けるのだろうか、と注意して聴いてみたけれど、私の装置と耳では、たしかに響きの深みや実体感などにおいて、第19番はやや薄味に聞こえ、そこから10年経ってからのデジタル録音、第21番は、響きの深み、強調されすぎないディテールなど、進化しているふうな感じは、した。

                     アナログ熟成期の第20番は、エンジニアにケネス・ウィルキンソンがクレジットされていることからくるプラシーボ効果もありそうだが、Deccaの最良のアナログ録音であり、ADRM(Analogue to Digital ReMaster=Deccaの初期CDマスタリング。「Ovation」の単独盤も持っていた)の成功例として、さらなる“リ”マスターの必要性など全く感じさせないものだ。

                     が、アナログ録音らしい倍音域のシャリシャリ感は、リアリティも付加する代わり、「いかにもレコード」的人口味も感じさせないでもなく、その点では1991年の第21番は、デジタルとしても文句のない出来だと思うけれど、「ツルンとしている」と不満な人もいるかもしれない。

                    1980年越えセット

                     という次第で、ごく初期のデジタル録音を忌避されるというのは、好みの…というと恣意的嗜好の問題に矮小化してしまう言い方になるので、「感覚の問題」というべきだが、そうなると、いくつかの「全集」は、全集としては“使い物にならない”という事態に立ち至る。

                     写真に挙げたものだけでも、アルバン・ベルクQのベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(EMI、スタジオ盤)は、第1番から第11番までが1978〜1981年9月の間のアナログ録音、第12番(1981年12月)からデジタル録音に変わる。
                     みっち氏説から見ると、最も大事な後期クァルテットは全滅ということになる。う〜ん、デジタル初期楽曲は、実体感がやや、というところはあるけれど、ではアナログ期のが秀逸かというと、「まあ EMIクオリティだし〜」という感触なのである。

                     それから、アシュケナージ、チョン・キョンファ、ショルティによるバルトークの協奏曲全集、Double Decca盤も、面白いことに、ピアノ、ヴァイオリン協奏曲の、それぞれ第1番がデジタル初期(ピアノ協奏曲第1番が1981年、ヴァイオリン協奏曲第1番が1983年)なのである。
                     ‥‥ピアノ協奏曲第1番が終わって、第2番第1楽章が始まり、「お〜、やっぱりアナログはいい〜」と顕著にそうなるかというと、難しい。

                     やはり、第1番は響きが平板に聞こえがちなのだが、「ステージのありのまま」感と取れないこともなく、技術的に極めて大きな変遷があったわりには、「Deccaとしてのふうあい」を、むしろよく保っているように感じる。

                     そして、全集ではないけれど、“メン・チャイ”の、デジタル時代のひとつの決定盤的世評を誇る、チャイコフスキー、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲のチョン・キョンファ/デュトワ盤(1981年録音)。
                     これ、ヴァイオリン、まあまあい〜い音してます♪ …は、駄耳なのかな〜。

                     商用録音の現場がデジタル化したあとも、わざとアナログ・テープレコーダーに取り、それをCD化したことを“謳う”ディスクはけっこうある。ケネディの、エルガー:ヴァイオリン協奏曲再録盤(ラトル)、広上淳一指揮の伊福部 昭作品(キング/Firebird)、渡邉暁雄/ヘルシンキ・フィルによる博多ライヴのシベリウス(FM Tokyo)などなど。

                     ‥‥それはそうなのだが、デジタル移行初期の音源がそれほど拙劣で、聴くに堪えないという状態は、音源選択の自由さから、私には ― 今のところ実感がないのが幸いではあるけれど ― 困ったことだ。

                     以下は、全く素人の邪推の域を出ないのだが ― 私がこの時期のデジタル録音に、とくに特化した悪印象を持たないのは、私の聴感の鈍さ、装置が安もの揃いであることなどに由来しそうではあるものの、今使っている機器の DAC 3品種が、すべてΔΣ変調を用いて、終段1ビット化して出力されるものであることが、ちょっと気になる。

                     みっちさんのお使いの DACは、あくまでマルチビット D/A変換にこだわった、Chord社のものとのこと。
                     同記事にも言及されるとおり、Schiit Audio社もマルチビット派であり、みっちさんが触れておられるユグドラシルよりはお安い、Bifrostもマルチビットで、アナログ デバイセズ社 AD5547というチップを使っている、とのこと。

                     リンクしたレビュー記事には、Schiitのマイク・モファット氏の意見が引用されている。
                     私には詳しく読めないけれど、非マルチビットDACを好む人は、「音の再現」ではなく、「聴きたい音を作り出したい」のだ、とか言っているような…。

                     いや、なるほど〜、でもある。つまり、私の場合、リマスターの当否も「聴いて納得がいくか、気持ちがいいか」で決めており、その点で、今 手許で使える機器内のDACが、マルチビットでなく、ΔΣ変調を用いたものであることで、気持ちよく聴けるなら、それでいいのだ、と思うべきなのかもしれない。

                     ※Schiit Bifrostの中古情報、詐欺サイトなので抹消しました;;。

                     メーカー製安価機なら、最後のマルチビットDAC(BB PCM1702)搭載機:DENON DCD-755II は、そう高価でなく買えるが、以前買って、たいへんツマラナイ音だった記憶があるので(加えてこの機種、ネット動画でもそうなのだが、最初のTOC読み取り時のシーク音が凄まじい)、やめたほうがいいかな〜。

                     久しぶりに《お気楽オーディオキット》さんを覗き、マルチビットDAC・AD1860を…なんと32パラにしたキットが出ているけれど、2パラ4基使用の「mini」版(PDFマニュアル)なんてのもリリースされていたり、こういうので、パーツをオゴってやったりしたら? いや、それなら中古の Bifrostのほうが安いかな。

                     と、いうようなハナシは、DACの仕組みと、初期デジタルの音の悪さとの関係を何ひとつ解き明かしはしないけれど、普及しているΔΣ型の 1ビットDACは、「原音再生」には遠いけれど、デジタル初期の問題を、比較的穏和に、悪くいえば「ごまかし」てくれる便利なデバイスなのかもしれない…というのも、根拠はありませんけれど。

                     ― というような、GWの夢のまた夢、でありましタ♪

                    やっぱりまた PM6007に舞い戻り…;;。

                    0
                       早かったぁ〜。
                       ナニがって、PMA-600NE、二泊しただけでオク出し、and 出品して40分で即落。

                       そして、元の鞘=Marantz PM6007にもどっている。

                      PM6007

                       今週いっぱい、休みで、来週明けから仕事が始まるので、早く処分=発送してしまいたかったのである。
                       買い値の4割引きで即決を設定し、1〜2時間後に「どのくらいアクセスが…」と「出品中」を見ると、「出品中の商品はありません」!
                       あっれ〜? ‥‥あ、即落されてたんだ、と納得。本日(5日)発送ずみ。

                       その DENON PMA-600NE、価格.comにレビューを投じました。


                       先日の PM6007のレビューは、全然「参考になった」が増えず、私のレビューのようなくだくだしいのは好まれなくなってるんだなぁ、と感じるとともに、PM6007自体、価格.comの「プリメイン 売れ筋」調査で、18位くらいにまで下がっており、売れてないなー、の観深し。

                       が、個人的には、いろいろ比べるたびに、PM6007の音のきれいさ、あるいはこの音の出方が私の嗜好・感覚にじつに合っている、ということに気づかされる。
                       しばらく PM6007でばかり聴いていると、つまらなさが感じられてくるが、他機種を聴いて「合わない」感を覚えたあと、 PM6007にもどると、「あー、いい音だー」とホッとする。
                       オーケストラの弦は、高いほうから低いほうまで、じつにきれいだ。

                       たった2日間の、“気になった機種の試聴”は‥‥ま、若干額、日本経済に資したでしょうか。
                       お金の行き先は、D&Mホールディングス、逸〇館、ヤマト運輸、Yahoo! ジャパン、日本郵便‥‥。
                       あ、それなら全額 UNHCRに投入すべきだったじゃん、とかなりそうだ。

                       それなりの音だが、音楽史上の名曲を自在に聴くことができ、粗食ながらおいしい食事ができる、激-狭1Kながらありがたい暮らしではないか。
                       やっぱり自由と平和のある日本は素晴らし〜‥‥とばかり言っていられるのか、というハナシは別記事にて。

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                      ミヒャエル・エンデ
                      “虚偽”の時代への警鐘!
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                      風邪の効用 (ちくま文庫)
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                      野口 晴哉
                      やっぱりこれは入れておかないと…。
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                      永沢 哲
                      整体の創始者・野口晴哉の核心に初めて思想研究として迫った力作!!
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                      「ひきこもり」だった僕から
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                      上山 和樹
                      ‘本館’に所感をアップしてます(^^)。
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                      丸山 圭三郎
                      小冊子ながら、限りない示唆に満ちた名著
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                      F.デヴィッド ピート
                      ‘シンクロニシティ’を可能なかぎり、‘トンデモ’から離れて説いた良心的な一書。
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