7月前半の買ったCD。

 今週から、8月末まで、ほぼ週6日、午後〜夜のお仕事。暑くてシンドい〜 ~~;;。

テントウムシ

 またキイロテントウのご来訪の季節。
 アブないから外に出てもらおうと思うのだが、なかなか出てくれない。写真は、キッチンのシンクの上の、収納の下部。奥に蛍光灯が付いている場所。
 ま、こんなムサクルシいところでいいのなら、いてちょうだい〜。安全は保証できませんがね〜。片方、シンクに落ちていたので、お二人とも退室していただきました^^;。

 さて、7月前半も、もう1諭吉ちょっとCDを買ってます。

サバタのCD

 今月の‘テーマ’(?)は、ヴィクトル・デ・サバタ Victor de Sabata。
 イタリア人なのに、ドイツ風のファーストネームの人である。吉田秀和『世界の指揮者』(新潮文庫版)には、「Sabata, Vittore de」と綴ってあるが、イタリア語形では、ヴィットリオ Vittorioで表記されるほうが多いような気がする。

 上の、EMI Référence盤の、ヴェルディ『レクイエム』(1954年録音)‥‥は、Amazonに出品しているHMVの中古が安かったので。
 HMVが Amazonに出品している中古は(新盤も)、Amazonで買うと1点ごとに350円の配送料が加算されるが、HMVのサイトでも検索で出るので、こちらで買うと、2,500円を超えれば送料が無料になり、時によっては「まとめ買い」割引も付く。
 2,500円未満の場合でも、1件の注文につき送料は378円なので、2件以上注文すれば Amazonマケプレ経由より安く上がる。

 B級表示だったけれどきれいなディスク、ケース、ブックレットだった。これに気をよくして、ちょうどオクに出ていた、ブラームスの交響曲第4番(ベルリン・フィル、1939年録音、DG国内盤)と、英EMIのプッチーニ『トスカ』(未開封盤で、送料込み1,600円ほど)も買ってしまった。

 ヴェルディの『レクイエム』は、このところ1点もCDを持っていなかった。
 デ・サバタの、代表的な商用録音は、とりあえずこの3点である。他にも、EMIにはベートーヴェンの『田園』だったか、Deccaには『英雄』と、ヴェルディ『レクイエム』の別録音があるらしい。

 ブラームスの第4については、吉田氏上掲書に、以下のようにある。
「‥‥トスカニーニ以前の主観的主情的なロマンティックな指揮者とはちがって、どんな細部にいたるまでも厳格に統制のとれた、実にきちんとした音楽をつくる人なのだが、それでいて、この人には厳しさを、冷たさ、鋭さといったところまで、一面的に追いこんでゆくところはない。厳しいが、同時に優しいのである。いや、あるいは、これは心情の優しさというものでなく、もっと感覚的な甘美な香りというものかもしれない。表情は比較的むき出しに率直に出てくるのだが、それでいて、露骨な、俗悪さに堕さない。そのことは、この『第四交響曲』の、たとえば、第二楽章のアンダンテ・モデラートによく感じられるのであって、ここでのサバタの見事な歌わせぶりは、フルトヴェングラーやヴァルターとはもちろんトスカニーニとも際立ってちがうものでありながら、わざとらしさはまるでない。」(52頁)

 第4楽章のパッサカリアについても言及しているが、省略。こんな評価を読んだら、ポチらずにいられないではありませんか^^。
 YouTubeに全曲、この録音と思しい動画がアップされていて、それで聴くと、第3楽章など、テンポが速すぎ、オケを煽りすぎて薄っぺらい表現になっているように感じたので、躊躇していたが、帯付き国内盤(ついこの前出たSHM-CDではない、古いもの)がそこそこの開始価格だったので、買ってしまった。
 テープ化は、クラウス・シャイベが担当ということで、聴いてみると、CDでは中〜低域もそこそこ厚みがあって、たしかに速い部分は非常に速いが、吉田氏の絶賛がしっかりわかる音質とだといえよう。

サバタのトスカ

 カラスの歌った『トスカ』。EMIの Great Recordings of the Centuryの1点で、ブックレットが2冊、外箱つきで、さらにポストカード仕様のポートレート3枚付き。ニッパー犬ヴァージョンで、さらにゴージャス感がある。
 この『トスカ』は、『トスカ』の数あるレコードの中で、いまだに真っ先に挙げられるセットである。

 ARTリマスターで、モノながら鮮明な音質。といって、Référence盤の『レクイエム』がそうひどいというわけではない(こちらはしかし、Naxosの復刻がよいという説あり)。

 この人の名前は、「サバタ」、「サーバタ」、「サバータ」といずれにも書かれる。
 イタリア人ならだいたいそう、と想像する、末尾から2音節めが強拍になる、また長音化する(「トスカニ〜ニ」みたいに)「サバータ」と思いがちだが、第1拍強拍で、場合によっては長音化、という「サバタ」、「サーバタ」も考えられ、「sabata pronunciation」でググると、「Victor de Sabata」であることを明記した形で、両方とも出てきて、双方が「Italian」とネイティヴの発音であることを表示している(真偽は「?」)ので、厄介だ。

 以下は、その他。

7月前半のCD。

 今度は、マリア・カラスのほうに勢いづいて、ケルビーニ『メデア』とベッリーニ『ノルマ』も落札してしまった。
 これらはどちらも、トゥリオ・セラフィンの棒で、ステレオ録音。

 『メデア』は、オリジナルが伊 Ricordi録音。のちに EMIが買ってしまったらしいのだが、Ricordiにも発売権と音源が残り、Ricordiは RCAに買収され、 RCAが Sonyに買収された結果、現在は Warnerと Sonyとが販売権を持つことになっているらしい。

 Warnerのほうには、ちゃんとしたテープが移譲されなかったものらしく、元テープからのリマスターができなかった、とかいう話が、Warner盤の Amazonのレビューの1つにあり、そうなると、Warner、Sonyの現行盤にはあまり期待できないか‥‥というところで、日本コロムビア=DENONが発売した国内盤の、最も安い価格の出ものを落とした。

 これ、なんと! 各曲のトラック分けがなく、すべてインデックスでやっていました^^;。私のCDプレーヤーは、2台ともインデックスは対応しないので、演奏時間表示をたよりに、そこまで早送りするしかない。
 ブックレットだけ残し、どれか外盤を買い増しするかな〜、と思って少し聴いてみると、まあまあ音がいい。

 この録音、伊リコルディが米マーキュリーの、あのロバート・ファイン+ウィルマ・コザートのチームに録音を委嘱したもので、Mercury Living Presenceの一環でもある。アメリカでは MercuryレーベルでLPが出ているはず。

 同じ形で、リコルディでファイン+コザート組が録音したものに、レナート・ファザーノ指揮ローマ合奏団による、ペルゴレージ『奥様女中』がある。これも Mercury盤のLPがある。CDでは BMGがCD化していて、今でも千数百円出せば手に入るので、買おうかと思ったことがある‥‥クイケン盤を買ってしまったけれど。

 『ノルマ』は、カラス・エディション(というのか?)の、ARTリマスターの中古海外盤で、落札したのはアメリカ盤だった。
 『メデア』同様、カラス全盛期を過ぎて声に衰えが目立つといわれるステレオ期のもの。
 声の輝きを失ったカラスは、役の深みを体現する暗い声と演技力とを得た、という意見もある。
 『メデア』、『ノルマ』とも、セラフィンの指揮は味わいが深く、序曲が鳴り出すや、‘ドラマの香り’が濃厚に漂ってくる。
 『メデア』のほうも、英EMIのカラス・エディションのARTリマスター盤を買ってみようか、と思うが、もうちょっとしてから^^。

 あと、HMVでまとめ買いをしたものは、上段左の、デュファイの『パドゥアの聖アントニウスのためのミサ曲』、アレグザンダー・ブラッチリー指揮ポメリウム(独Archiv)、上段中、キング=ロンドンでLP時代から出ていた、ベネデッティ・ミケランジェリの『リサイタル』。

 ほかにもう1点、アンゲラー指揮プフォルツハイム室内管によるコレッリの合奏協奏曲Op.6(VoxBox)もいっしょに買ったので2,500円ギリギリになったのだが、この VoxBox盤、カスレ気味のレーベル印字など、どう見てもCD-Rなのだった。返品を認めてくれるか聞くと、認めるとのことなので返品した。
 英Regis盤が1点、どう見てもCD-Rだったことがあったし、英Nimbusは販売するディスクは全てCD-Rであることを明言していたと思う。
 HMVはCD-Rは販売しない方針のようで、Nimbusの現行品はサイトに出していなかったと思う。

 パウル・アンゲラー指揮のプフォルツハイム南西ドイツ室内管は、Vox原盤でクアドロマニアが出したヘンデルの合奏協奏曲Op.6をオクで格安で手に入れていて、それがなかなかいい演奏だったので、期待したけれど、アテがはずれたので、いろいろ見ていたら、 Amazonで、クイケン指揮ラ・プティット・バンドの国内盤が735円。
 このCD、ディスクユニオン店舗でもHMVでもやったら高いのである。とにかく、確保(手前、左から2枚め)。

 古楽器のクイケン盤は、高域がかなり金属的だが、演奏は繊細で、CD5000で聴くと弦の弱奏部がとろけるような美音に響く。
 この時期(コレッリは1977年録音)のクイケンのオケは、まだ寺神戸 亮さんなどは入っておらず、いっぽう、チェンバロがボーブ・ファン・アスペレンだったりする。

 その右のグリーンのブックレットのは、学研/Platz録音の、ウィーン・ムジークフェライン四重奏団によるハイドンの作品76からの3曲。
 以前、Platzの録音したムジークフェラインQのモーツァルトを1枚聴いたことがあるが、それもこれも、ホールトーンが多すぎて、しかもそれなのに高音がキツく、倍音も耳障りな、デジタル期というのに実に冴えない録音だ。
 こういうのを聴くと、ほんっと〜に日本のレコード・レーベルはクラシックを制作しないほうがいい、と思う。
 これも、CD5000で聴くと、やや温かみが出て、聴きやすくなる。演奏は、もう少しロマン性の少ない、古典的なものを期待していたので、ちょっと意外。

 その右は、つい先日(反原発集会の翌日^^)、新宿のユニオンで950円で入っていた、ベルンハルト・ウムガルトナー/モーツァルテウム管(ウムガルトナーではなく)による、ハイドンの交響曲第101番『太鼓連打』と第100番『軍隊』。
 LPで聴いた時(もう四半世紀前?)、国内盤(日本コロムビアのダイヤモンド1000シリーズ)だったのにまあまあの音で、ゴージャスすぎない穏やかなハイドンだったという記憶があり、CD化されたものは買い逃して、今はけっこう高くなっている。

 モーツァルトは1〜2枚買っていたが、CDマスタリングが高域強調過ぎて手放している。
 このハイドンも高域強調が耳障りだが、原音が美しいことを推察させる音であり、クレンペラーのように立派に鳴りすぎることがなく、急速楽章が‘芋洗坂係長のダンス’にならないのがいい。値札の色割引で、665円^^。
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6月に買ったCD−2。

 6月に買ったCDの続き。
 7月に入ってからも、もう1万円ほど買っている。とにかく気になったディスクはまず注文、という感じ。
 前回同様、ちょっとしたトラブルもあり、返品作業をしたり。

 オク出品も、クイケンのハイドンは開始価格より高く落札された。Sonyの CDP-XE700は、意外に競られることなく、開始価格3,980円で、業者さんと思しい方が落としてくれた。まあこんなところだろうか。
 いずれも本日発送。

 1週では落ちなかったグールドの平均律は、取り下げた。次の週末以降に落札されても、仕事が密に入っていて発送できないので、中古店に売ろう。
 オーディオ機器は、現状があまりにいい状態なので、しばらく食指が動かないだろう。

 というわけで、洗濯をすませてから集荷で ゆうパック1件出荷、郵便局に行って ゆうメール1件発送、買物をしてから、クリーニング品を引き取り、かなりアタフタした日曜の午後も終わり。

あと6月に買ったもの。

 6月に買ったのは、前記事のCD群に加え、アルバン・ベルク四重奏団による、旧録音のモーツァルト(Teldec)の4枚セット。
 そして、ミンコフスキのバロック・オペラがよかったことから、ムーティ盤を手放し後、しばらく持っていなかったグルック『オルフェオとエウリディーチェ』もミンコフスキ盤(Archiv)で買った。
 これはディスクユニオン店頭が安かったので、それを。

 あと、ビートルズの『ザ・ビートルズ1』も。紙ジャケの、2009年リマスターと思われるものを、ブックオフのオク店で。
 以前にここで買った『ラバーソウル』はきれいな盤だった(若干ニオイが着いていたが)けれど、今度のは少し擦りキズがあったし、内袋を変えてあり、スリーヴの所定の位置に収まっていなかったようだ。

 このディスク、2000年が初回リリースらしい(Wkipediaによる)。その次、2009年にリマスターされ、さらに2015年に「リミックス」が行なわれ、ブルーレイまたはDVDなどの映像ディスクを伴った形でリリースされ、音楽CDは SHM-CDになったりしている。

 2015年リミックス版の音質については、諸サイトで誉められているが、その辺の事情を詳しく説明しているこちらには、
「こう書くと良いこと尽くめのようだが、旧盤あるいは聴き馴染んだLPと比べ違和感を覚えたトラックもあった。例えば、「愛こそはすべて(オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ)」。1960年代を代表するメッセージソングである。‥‥(中略)‥‥ポールのベースが不自然に強調されている。」
などというレビューもあり、他方、初出CDは「ノーノイズ」という表記があるが、悪評高い、情報量を落とす「NO NOISE」システム使用だったらちょっとイヤだな、と思い、2009年リマスター(2011年、東芝EMI)にしたという次第。

ザ・ビートルズ1 初出  ザ・ビートルズ1 2015年リミックス

 左が初出らしく、これはプラケースのよう。右が2015年‘リミックス’の SHM-CD。両方ともオク・サイトから。

 アルバン・ベルクQのモーツァルトは、いちど全く同じものを、神保町の中古店で買って持っていた。
 すばらしい演奏だと感じながら、最高音域に若干の歪み感を感じ、では、と国内盤で、ハイドン・セット3枚と、「プロシャ王」1枚を買ってみた。
 音は大きく変わりはせず、国内盤で困ったのは、第20番『ホフマイスター』がないこと。

 それで、ベルリン(ズスケ)四重奏団のボックス(Berlin Classics)にしたのだった。
 今もこのセットはすばらしいと思っているけれど、これ1種だけというのも淋しいので、探すとけっきょく、ABQの旧盤4枚組、となった。Amazonの海外ショップでは、まだ新品があった。2,400円ほど。今のシステムでは、高域をちょっと下げるときれいに鳴ってくれる。

 前記事で書いた、ミンコフスキ指揮の、リュリとラモー。

ミンコフスキ

 上が、2003年録音のラモー(Archiv)の、ブックレット裏表紙のマエストロ肖像。
 下が、1987年録音のリュリ(Erato)の、ブックレット裏表紙の収録風景。

 別人みたいである! 1987年のほうは、まるでブリュッヘンかと見紛う、彫りが深い相貌と、モジャモジャの黒髪の青年。2003年のほうは、ご存じ小ぶとりでまぁるいお顔のおじさん。
 エラート盤のほうには、自分自身の楽団も持つ、ユーゴ・レーヌ Hugo Reyneが、アドヴァイザー的位置で参加していて、もしかすると指揮している人物はレーヌかも、とも思うが、どうなんでしょう。

 2枚は、オケのメンバーが、ファゴットくらいしか同一メンバーがいないのだが、音の質感は同じという印象だ。ミンコフスキの指示が行き渡っているのだろう。

 どうも近年、彼がふっくらとしてくるのに合わせて、急速楽章はより速くなっているようで、シューベルトの交響曲全集を、ある方に貸してもらって(聴いてみろ、ということだった;;)聴いたところ、インマーゼールふうの急速楽章はやはり自分の嗜好に合わなかった。が、バロック・オペラやグルックは、全く異なって、情感豊かな趣きがすばらしい。

 彼は、みすず書房などから翻訳も出ている、精神医学者ウージェーヌ・ミンコフスキーの孫だそうだ。

 そうそう、なぜミンコフスキということになったのか、は、下の映像による。


 ラモー:『優雅なインド人(インド風流譚)』から「未開人の踊り」と続くデュエット。
 Archiv盤のほうには、歌はない。映像では、アフリカ系フランス人と思しい、マガーリ・レジェ Magali Légerの歌と、豊かな表情がとても魅力的だ。

 リュリの『町人貴族』の「トルコ人の儀式への入場」は、ミンコフスキの Erato盤と思しい音源もアップされているが、何といっても魅力的なのは、このバレエ映像だ。


 こちらは、ヴァンサン・デュメストル Vincent Dumestre指揮ル・ポエム・アルモニックというところの演奏だそうだ。
 DVDは、こちら

 女性ダンサーたちの誇張した表情が、活きいきしていて、じ〜つに楽しい。
 上のラモー、下のリュリ、もう何とも‘カブいた’世界である。カブきまくっている。そして、お洒落。
 加えて、どちらもアジアや中東に対する、いささかの差別感上を下地に持っていることが感じられる。エドワード・サイードのいう「オリエンタリズム」というやつだろうか。

 実のところ、フランス・バロックは、上の2動画でお腹いっぱいの感がある。これらは、クープランのコンセールの上品な雰囲気とはまたぐっと異なった、しかしこれもフランス・バロックのひとつの大きな要素を体現しているものだろう。

6月に買ったCD。

 さぁ〜て‥‥もうぼつぼつ政治の‘醜悪ニュース’から切り換えて、音楽やオーディオの話題に戻しましょう。

 6月も、買いに買いまくったCD。枚数はかなりであるが、出費は15,000円行っていない。
 まずは、ライブラリーに手薄だった、フランスを中心にしたバロック音楽。

6月に買ったCD。

 ①:ペルゴレージのオペラ『奥様女中(奥方になった小間使い)』(Accent)。
 以前、コレギウム・アウレウムの演奏する Deutsche Harmonia Mundiの国内盤(BMG)を持っていたが、そう面白い音楽だとも感じず、生活費に交換。
 今度のは、クイケン指揮ラ・プティット・バンドのもの。もう1曲、『リヴィエッタとトラコッロ』というのも入っている。
 収録は、ライヴということで、レーベルも「ACCENT live(アクサン・ライヴ)」となっている。「奥様女中」のほうは、パイオニアLDCとジェネオンから、国内盤DVDも出たらしい。

 ベルギー・アクサン・レーベルのディスクを買うのは、たぶん初めて。序曲はなく、すぐ芝居が始まるスタイルだが、映像を見ると、最初にいろいろ小芝居をする演出があるようだ。
 Amazon.co.jpのマーケット中古で、配送料込み700円ほど。商品説明が「可」だったので、ちょっと不安だったが、ほぼ美品。
 オケのメンバーは、クイケンのハイドンやシュッツと同じメンバーも多い。

 ②:リュリ=モリエールの『コメディ=バレエ』、マルク・ミンコフスキ指揮ミュジシアン・デュ・ルーヴルと歌手たちによる(Erato)。
 これ、今も国内盤が出ている。そっちは歌詞対訳があるので、国内盤のほうがよかったかも。
 あとで映像を掲示するけれど、この中の、『町人貴族』の「トルコ人の行進」が聴きたくて買った。

 ③:同じくミンコフスキ/ミュジシアン・デュ・ルーヴルによる、こっちはラモーのオペラからの管弦楽曲集『空想の交響楽』(Archiv)。
 これは名盤、と言っていいい。買ったのは、Amazon.co.jpの海外ショップで、1,500円弱だった。
 すでに「First Choice」の廉価シリーズに入っているいっぽう、国内盤SACD、LP盤もリリースされているようだ。リンク(英Amazon)では、絶賛レビューと試聴ファイルが確認できる。

 これも、エキゾチックで元気のいい、『優雅なインド人』の「未開人の踊り」が目当て。
 YouTubeでは、これをゆっくり演奏している、日本の古楽団体と思しい楽団の演奏があるが、ミンコフスキは、速いテンポで活気あふれる演奏を聴かせる。
 続く、『レ・ボレアード(ボレアスの子たち?)』からの「ポリムニー(ミューズの一人ポリムニア)の入場」は、一転して遅いテンポの、広びろとした叙情を奏でる楽曲で、ホルンと弦の響きはまるでジョン・バリーの映画音楽かと思わせる。

 ④は、ラモーのクラヴサン曲集をひとつ、と思って、しかし定評のあるクリスティ、ボーモン、ルセらのディスクは稀少か高騰、で、フランスの女流、ブランディーヌ・ラヌー(ランヌー) Brandine Rannouの2枚組。

 レーベルは、インマーゼールのディスクなども出している、ジグ=ザグ・テリトワール Zig-Zag Trritoiresから出たもので、同社の廉価シリーズ Alpha Collectionに入ったもの(Amazon海外ショップ)。
 デジパックもなく、紙スリーヴのみのジャケットで、出し入れの際キズがつきやすい。だけでなく、最初に来たセットは、Disc 1の読み取りが、Onkyo C-7030でも Marantz CD5000でも不可、あとで C-7030は自己調整したのか読めるようになったけれど、CD5000は「NOT FINALIZED」と出るばかりで、全く読めない。
 ショップ(ドイツの Dodaxというところ)に連絡すると、不自然さの全くない日本語で、「400円値引きするか、良品を再送するか、どちらかで」と提案してきたので、良品を頼むと、6日ほどで到着。これは全く問題なかった。

 このラヌーという人は、すでにサイト上で触れられていて、テンポが遅いのが特徴だが、速い曲は速く弾いており、個性的な演奏とはいえよう。
 良品を待っている間に、クリストフ・ルセの弾く抜粋国内盤⑦を、ディスクユニオンの店舗で750円で入手できた。同じものは Amazonに1,200円で出品されており、Amazonで買うと1,550円と、店舗の倍以上になる。ディスクユニオンの、店舗誘導型の価格設定で、これはこれでアリだろう。

 ラヌー盤は面白い演奏ではあるが、この種の音楽をそんなに好きなわけではないので、しばらく聴いて、ルセ盤を残すことになりそうだ。

 ⑨は、フランソワ・クープランのコンセール集。ホリガー、ニコレ、ブランディスらの合奏。
 この人たちのクープランは、「王宮のコンセール」(全4曲)でCD 1枚、「新しいコンセール」(全10曲)でCD 2枚、もとLP4枚組だったものらしいが、CD 2セット3枚で、すべて揃うようだ。
 が、そんなにこの種の音楽を聴くことはあるまいと思い、迷ったあげく、「新しいコンセール」から第5番『愛の肖像』と第1番、「王宮のコンセール」から第3番と第4番の、計4作品を収めた国内アンソロジー盤にした。POCA-3056という番号だが、ほかにも再発売がある。

 このCD、ファゴットも入ってくるけれど、奏者名のクレジットがない。マンフレート・ザックス Manfred Saxのはず。

 ではクープランもクラヴサン曲集を1枚、と、ちょうど千円盤の未開封がちょっとお安くオクに出ていた、ワーナー/Eratoの、オリヴィエ・ボーモン盤(⑤)。

 そしてもっとポピュラーなところも、と、『リュリ讃』、『コレッリ讃』を収めたパイヤール盤(⑥)。これは「Erato Originals」というシリーズであるわりには、録音データはまったく記載がなく、「Digitally remastered fron original analogue tapes by Floating Earth」、「(P)1976」とだけ記され、楽曲解説のライナーもない、海外廉価盤である。
 ただ、この録音ははっきりした録音データがないようで、国内盤も、録音は「1960年頃」としか記されないようだ。

 ⑧:ひ〜っさしぶりで買った、テレマン:『ターフェルムジーク』。
 今、評判の、オランダのチェンバロ&リコーダー奏者・ピーター=ヤン・ベルダーの主宰するムジカ・アンフィオン Musica Amphionによる、Brilliant Classicsの4枚組
 今も新品でも1,000円ちょっとで買えるセット。オク上でブックオフが未開封品を1,250円(送料200円)で出していたのを落札した。

 これとクープランのコンセールを聴いていると、この上なくのんびりする。さながら‘CD貴族’になった気分。これまた、こういう音楽は苦手なほうなのだが、吉田秀和『LP300選』にも必携曲にはなっているので、ライブラリーには入れましょう。
 が、この種の音楽は、スペースや生活費がキツくなってきたら、まっさきに手放すことになるだろう。
 それに、であるが、1DKの激-狭賃貸で『王宮のコンセール』、百均のおかずを食べながら『ターフェルムジーク』(注:食事中にCDはかけないのですが)というのも、どうよ、というハナシではある;;。

 とりあえずは、こんなところで、フランス・バロックとテレマンなどを。
 『ターフェルムジーク』は、ブリュッヘン盤(全曲)とパイヤール盤(抜粋)を、かつて持っていたが、「のーてんきなだけで、聴く時間がもったいない」などと考えて、生活困窮とともに換金してしまった。

 今の暮らしで、こういう音楽を、のんびり聴くのもまあ悪くないか、という気持ちにはなってきていて、そうして耳を傾けると、さすがにそれぞれ達人の筆になるものではあるなぁ、と思う。
 テレマンは、バッハのような「深い感情」を表現しようとはしないけれど、短調の旋律の哀愁味など、「音楽の楽しみと人のエモーション」に、じつに通じた作曲家だったんだなと感じる。

 それにしても、フランス・バロックのCDをちょっとまとめて、と思ったきっかけは、リュリの『町人貴族』の「トルコ人の行進」と、ラモーの「未開人の踊り」であった。それについては、次記事ででも。

フランス・バロック音楽のCDを、買う?

 ‥‥シャンプーがなくなってきて、使っているブランドで詰め替えを、と買ったらコンディショナー=リンスだった。
 店員に「シャンプーのほうは?」と聞いても「なければないですね〜」とのことで、ひとつ前に買ったブランドにしたら、またリンス^^;;。

 やっぱり高齢化ですね〜。
 ではあるが、アタマの中、仕事や家事のことは0.5%もなく、あるのは、おいしい粗食を食べることと、そして何より、CD漁り!
 棚にあるのが、まだ十分聴き込んでいないディスクばかりでも、と〜にかく「何が欲しいのか? 何を探すのか?」と、未明までの「自分の物欲探し」としての‘自分探し’、である。

 今、手許にない分野はというと、フランス・バロック。
 リュリ、ラモー、クープランといったところは1枚もない。
 3年前の大放出前は、ガーディナーの振ったF.クープランの『リュリ讃』、『コレルリ讃』の Erato盤があったし、以前にはパイヤール盤で『諸国の人びと』も持っていた。
 が、こういった音楽は、ハイドンと並んで私の心の琴線に、あまりビビッと来ない類いなのである。

 もうひとつ、テレマンの『ターフェルムジーク』。ブリュッヘンらの全曲盤と、パイヤールの2枚組を持っていたことがあるけれど、ほとんど聴かないまま生活費になった。

 このところ YouTubeで『ターフェルムジーク』や、クープランのコンセールなどを、目当ての演奏で聴いているが、やはり「のーてんき」に美しいだけの音楽、という感じで、琴線に響いて来にくい。

 ただ、転室後、ちょっと懐具合がマシになるにつれて、デュファイからモンテヴェルディあたりのルネサンス音楽を、吉田氏の『LP300選』を基準、というか「買ってもいい免罪符」として1人1枚ていど揃えたことだし、クープランとラモーくらい2〜3枚ずつあってもいいかな、と、「CD漁り」の結果の煩悩が発言力を持ち出している。

 『ターフェルムジーク』は、欲しくなれば代表的演奏がいつでも安く買えそうなので ― ヤン・ベルダー指揮ムジカ・アンフィオンの Brilliant盤ボックスは、いきつけのディスクユニオンで、800円ほどでいつもある ― またこんど〜‥‥といってすぐポチるかもしれないけれど、この種の音楽は手放すのも早くなってしまう。

クザカゲロウ

 Tannoy Mercuryに、緑色の虫が‥‥これはクサカゲロウさんですな。
 このあと、室外にお連れした記憶もないので、ど〜なっちゃったのか。

 Marantz CD5000 ‥‥このところ再導入した「安価な名機」は、どうももうあまり感激しなくなっているのだが、CD5000は、なかなかよかった。

 ナカミチ IA-4sの時より、アンプ:Marantz PM6005が、ワイドレンジなためか、上の帯域の「あら」が少し見えてくる部分があるし、情報量的にオンキヨー C-7030よりずっと粗略な感じではあるものの、前回と同じく、「音楽を聴かせる」機械、という印象が強い。「音楽」は、西洋音楽、であるが。

 C-7030で、音が(演奏が、というのでなく)神経質に聞こえて、聴いていて「身体的快感」が乏しかった、クイケン指揮のハイドンの「ザロモン・セット」中の、タイトルなしの楽曲群。
 これが俄然よくなった。高弦の刺激感が消え、低弦は混濁感が出る ― 向こうのレビューでいう、muddyな低音 ― が動きがしっかり聴き取れて、ティンパニの打撃は、面白いことに解像度の高い C-7030で聴くよりも「パンッ!」と叩いているパンチ感がいい。ミンコフスキあたりを彷彿させたり。

 が、やっぱりなのだけれど、「ロンドン・セット(ザロモン・セット)」中の無タイトル曲は、つまらない。
 第102番や第99番を聴いていると、「人生の限りある時間を費やすのがもったいない」という思いを持ってしまう。

 この伝で考えると、クープランのコンセールやテレマンの『ターフェルムジーク』も、浸れないかもなー、と危惧する。

CD5000

 そんな CD5000なのだが、到着時から、トレイのかび臭さが気になっていて、今日、天板をあけて見てみた。

 メイン基板や筐体の鉄板はほとんど臭わず、臭いはディスクドライブの上面の、ディスククランパーを支持する部分あたりから来ていた。
 無水アルコールを浸したティッシュで軽〜く拭いた。

 主基板には、「CD753」と印字されているように、PHILIPS CD753そのものなのである。

 違いは、CD5000のほうは、オペアンプまわりのカップリングとデカップリングが、(懐かしい!)ELNA セラファインであること。CD753は汎用品らしい。
 メインの平滑コンの、+電源側16V4,700μFは ELNA、−側16V3,300μFはルビコンだった。

 使われているチップは、マイコン(東芝製らしい)、オペアンプ(JRC)、三端子レギュレーター(STマイクロ)以外、ほとんどが PHILIPS製。
 ヘッドフォン基板から出ているアース線が1本、主基板付近まで伸びたまま切れているが、こちらの画像でもそうなっているので、これでいいのだろう。

 CD5000は、C-7030を蛍光灯とすると、ちょうど白熱灯的暖かみがあって、セカンド機として置いておくには恰好だ。
 いろいろなものを聴いていると、いっぽうで C-7030が、安価なのに、いかによくできたCDプレーヤーかということもじっくりと知られてきて、面白かった。

 DACは、C-7030がスコットランド発祥の Wolfson(すでに Cirrusが買収)、CD5000がオランダ Philips、アンプ:PM6005内蔵のはアメリカ産 Cirrus Logic、と、ぜんぶ「外人部隊」になっちゃいました^^。

 さて‥‥シャープ KS-C5Kで雑穀米が炊けたようなので、ご飯を食べて、CDをまた探しましょう。

1楽曲で、異演奏CDが何枚?

 36日ぶりで散髪。もち、1,000円カット。ほんとうは40日持たせたいのだが…。

 このところオデオ・ネタ欠乏気味で、スピーカー・ケーブルに気が向いたり、電源コードに気が向いたり。

 現用の、
 オンキヨー C-7030 → カナレ L-4E6S → Marantz PM6005(ACケーブル:サンワサプライ KB-D3315A) → Gotham SPK2x1.0(4m/ch) → Tannoy Mercury F1 Custom
 …というシステムが、ことのほか快適な、いい音で音楽を聴かせてくれていることは事実だ。

 もちろん、このグレードなので、ず〜っと高価な、選び抜かれたコンポによるシステムに比べれば、厚みや品位に欠けるであろうことは想像に難くない。
 が、現用品を、たとえばスピーカー・ケーブルをちょっといいものに、と手を入れたりすると、今のバランスが崩れるような懸念も大きい。

 とりあえず、ソニー CDP-XE700は聴き続ける価値を感じないので、別のCDPを1台落札してある。出品側の検品・梱包にもう少し時間がかかる見込み。

 それでも、C-7030は、PM6005との組み合わせでは、音がちょっと明るくなって低音が薄くなるにしても、きれいないい音を聴かせてくれていて、サブ機は必要ないくらいだ。
 入手した回路図を何度も眺めて、じつに丁寧に作りこまれた電源などに、ほれぼれしている。

 安価ディスク・プレーヤーの場合、通常は、アナログ系とデジタル系にそれぞれ1系統ずつ整流回路を設け、デジタル系はマイコン、DSP、ドライブ系の電源に充て、アナログ系はアナログ・アンプ(LPF)に給電し、DACチップには、機種によってアナログの+電源の下流を使ったり、デジタル電源から分岐させて給電したりしている。

 C-7030では、デジタル系電源を2系統、整流回路からして分けて設置し、DSP&ドライブ系は平滑コンが4,700μF、マイコン系には、平滑コン1,000μFを奢ってある。

 AC電源の入り口にはインダクターが、ノイズフィルターとして設置されている。
 ヘッドフォン出力はオペアンプだが、NJM4580MD(表面実装の低雑音タイプ)が、各チャンネルごとに1基、つまり2回路パラで使ってある。
 それだけでなく、このヘッドフォンアンプには、音声信号がライン出力から分岐してすぐに音量調整VRに入るのではなく、オペアンプ(これも NJM4580MD)1回路をバッファーとして介している。

 ここまで贅沢にしなくてもよいと思うけれど、ヘッドフォンから逆にライン出力が影響を受けないための配慮かもしれない。
 もっとも、C-7030のヘッドフォン出力は、ここまでやっているのにさほど音がいいというわけではなく、PM6005のヘッドフォン出力のほうが、トーンコンが使えることもあって、便利だし、音もいい。

『運命』、8種

 では、CD漁りのほうに気持ちを向けたほうが、ということかもしれないが、ヤフオク! を眺めても、イマイチな感触だ。

 ここ数年、同楽曲の異演奏ディスクは、可能な限り「聴くもの」だけに絞って、減らすようにしてきており、とくに3年前の激減収時には3割以上を削ぎ落としたこともあって、ずいぶんスリムに、言い換えると「実際に聴くCD」に、近づいてきている‥‥とはいうものの、まだまだ未聴ディスクや、ほとんどプレーヤーに乗っからないディスクもたくさんある。

 理想は、1楽曲2〜3CD、である。で、そうなってきている。
 チャイコフスキーの『悲愴』は、ムラヴィンスキーとフリッチャイ。ドヴォルジャークの『新世界』は、バルビローリ、フリッチャイ、アンチェル。
 ドビュッシーの『海』は、ベイヌム、マルティノン、クリヴィヌ。カラヤンの77年EMI盤もあるが、これはメインがフランクの交響曲で、そのオマケなので、ないのと同じ。
 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集は、ブダペストQとアルバン・ベルクQ。同じくベートーヴェンの後期三大ピアノ・ソナタは、ポリーニとR.ゼルキン。
 バルトークの弦楽四重奏曲全集は、ジュリアードQ(63年)とアルバン・ベルクQ。

 では、1楽曲でいちばん手持ちディスクの種類の多い曲は、となると、(やっぱり?)ベートーヴェンの『運命』、交響曲第5番だった。
 全集がフルトヴェングラー、ワルター、クレンペラー、ハイティンク(コンセルトヘボウ盤)の4種類、加えて単独盤が、フルトヴェングラー/BPO(43年)、フルトヴェングラー/BPO(47年ライヴ)、E.クライバー、C.クライバー‥‥と、合計8種類。

 これに次いで多いのが、(やっぱり ;;)『エロイカ』。
 全集4種の所収盤、フルトヴェングラー/VPO(44年ライヴ)、E.クライバー/VPO、ケンペ/BPO、の7種。

 超-著名曲でもディスクは1点のみ、というものも少なくない。
 「モツレク」はベーム/VPO、フォーレのレクイエムはコルボ(旧盤)、ドヴォルジャークのチェロ協奏曲はフルニエ/セル、だけ。

 そのうちまた増えてくるでしょうか‥‥しかしお金、使わないほうがいいですねえ。

グールドの『平均律』、買い直し。

 この記事で書いたように、Sonyの、 b-sharpスタジオ(ボックス・セットには記されていないが、ショップ・サイトで明記している)のリマスターになるボックス・セットを数セット、他のヴァージョンに買い替えている。

 そして、転居後に買った、グールドの『平均律』のいちばん新しく、いちばん安い4枚組セットなのだが、これにはリマスターが b-sharpであること、担当者名もフィリップ・ネーデル Philipp Nedelと記されている。

 最初は気にせず聴いていたのだけれど、このセット、ピアノの音像が2つのスピーカーの間に大きく広がり、かっちりした「像」感が少ない。
 音自体も、倍音が強調されて、耳にビンビンと来る。

 『ゴールドベルク変奏曲』の手持ち盤は、散文的なブックレット/インレイ・デザインの、20-bitリマスターを明記し、SBMのステッカーがケースに貼ってある外盤(SMK 52619。「remixed by Andrew Kazdin (Producer) and Miguel Kertsman (Engineer)」とある)である。
 これと比べた時、新しい「平均律」が顕著に異なることに気づいた。

 取りようによっては、新しい b-sharpによる音作りのほうが、‘グールドらしい’ものなのかもしれない、とも思った。
 が、聴いていると、私の耳とシステムには、やはり従来の SBM表示のもののほうが自然なのである。

 『ゴールドベルク』は、つねづね第32トラックの主題の再奏を、一夜の「レコード・コンサート」のクロージングに聴くばかりで、最初から聴き始めたことがじつはない(!)のだったが、先日、最初から半分くらい聴いた。

 SBMの『ゴールドベルク』は、音像の周囲に適度に余韻のオーラが漂い、この音作りが声部の対位法的なからみを、むしろうまく聴かせてくれるように感じる。

 と! いうことになり、Amazon中古では2枚組×2セットでは、SBMの外盤はまだ安く求められる。
 が! これだとスペースを食うので、新セットと同じく4枚がシングル2枚分の厚みのケースに入っているセットを探すと、これがなかなか出てこない。
 最も新しいのは、国内盤のSACDハイブリッドのセットがあるが(これはまた別マスタリングを依頼している)、こんな高いものを買うべくもない。

 そこで、いろいろ見ていると、殺風景な表紙のヨーロッパ盤が4枚セットで、Amazonでは HMVが送料別で1,000円くらいで出品しており、それなら、と、バッハのピアノ演奏ディスクで欲しいと思っているものを加えて2,500円超にして、送料無料で注文した。

バッハのピアノのCD群

 ガヴリーロフの新盤のほうの『フランス組曲』(DG、2CD)と、ポゴレリチの弾く『イギリス組曲』第2、3番(DG、MASTERS)をいっしょに。

 もう1点は、オクで500円で買った、バルトークのヴァイオリン・ソナタ、スターンの旧盤(ザーキンがピアノを弾いているもの)。

 では、グールドの『平均律』、2種の写真。

グールドの平均律


 ↓レーベルとブックレット。入手した旧4枚組は、薄紫系のレーベルで、ブックレットには、グールドの著書を引用しただけの、Michael Stegemannという人の簡略なノートだけ。
 各トラックの録音日と場所は記されているが、リマスターに関する情報は一切ない。

グールドの平均律、中身


 Amazon.co.jpの、このレビューに書かれていることがほんとうらしく、SBMの外盤と同じと考えてよいようだ。

 ‥‥というわけで、グールドを聴くのは、こっちにしよう。

ポゴレリチのインレイ、背。

 今回、ポゴレリチは、新盤は2枚組のガヴリーロフの『フランス組曲』より高く、ちょうど HMVが432円の中古を出していたので、そちらにした。
 盤質A盤表示だったが、ブックレットはちょっと汚れがあって、ページがくっついていたり、何より、インレイカードの背の黄色が褪色していたのがショック。

 MASTERSシリーズ(外盤)の背は、上と下のラインの範囲内のみ黄色で、レギュラー盤の全面黄色ほど印象的ではないので、まあいいかな、とは思うのだが、新盤を注文したほうがよかったかも。

 ガヴリーロフとポゴレリチ、それぞれ個性的だが、グールドの持つ「思弁性」からは遠い。
 いずれの組曲にもある、ゆったりした「サラバンド」を、ショパンのワルツやノクターンを聴くような感じで聴くのが心地よい。

 ‥‥余談だが、HMVはショップ直でも Amazon経由でも、中古品の発送は3営業日めになるようだ。
 昨今の中古の発送では、ちょっとびっくりするくらい遅いが、この辺は気長に待って、安くて欲しいものを購入したいと思う。

 もうひとつ余談‥‥は、けっきょく b-sharpがリマスターしたものの中では、ブダペスト四重奏団によるベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集だけが、手許に残った。
 他のヴァージョン候補としては、中古でもけっこう高価な国内Sony盤しかなく、かつ b-sharpのセットの中では、ちょっと高域をトーンコンで下げてやると、聴ける音にはなる、ということで、残っている。

 おっと、3つめの余談。こちらで、アッカルド+ジュリーニのベートーヴェンが、ディスクのばらつきのせいか、音がキンキンした感じなので廃棄を考えている旨記したけれど、中性洗剤とぬるま湯で洗ってみたら、プラシーボ的なのだが少し聴ける感じがしてきたので、置いておこうと思う。

室内楽のCD、4点。

 CD漁りはもうぼつぼつ一段落しないと、と思いつつ、室内楽を4点とオペラを2点、買った。

室内楽、CD 4点。

 モーツァルトのピアノ四重奏曲は、前に、プレヴィンとウィーン・ムジークフェライン四重奏団の LONDON国内盤と、さらにワルター・クリーンとアマデウス四重奏団の DG盤の、タワーレコードの復刻盤を持っていて、いずれも手放している。

 昔からの評価では、ホルショフスキー/ブダペスト四重奏団(CBS)や、ヘブラー/ベルリン・フィル団員(PHILIPS)、デムス/ウィーン室内合奏団(Eurodisc → DENON)などが名盤とされ、私の買った2点も評価は高い。

 どういうわけか、弦だけ、あるいはクラリネットの入った楽曲に比して、フルート四重奏曲とピアノ四重奏曲には、さしたる魅力を感じかねて、「手許になくてもいいや」となる。

 オクで、デムス盤(DENONの CRESTシリーズの千円盤になっている)が極く安く出ていたので見ていたら、入札が入ったので(ええこっちゃ!)、横取りはやめて、Amazonマケプレ中古から、最近売り出し中(← って日本独自の、ちょっと品のない言い方ですねえ…)のドイツの常設ピアノ四重奏団・フォーレ四重奏団 Fauré Quartett(検索では、「Quartett」とドイツふう綴りでググると出やすい)のディスク(DG。2005年録音)を、海外盤中古で入手した。


  ↑
 YouTubeにある第1番ト短調第1楽章の動画を。
 紅一点のヴァイオリン、エリカ・ゲルトゼッツァー Erika Geldsetzerおねえさまが、外見的に目だち、また彼女の睨みつけるような目線にはなかなか迫力がある‥‥とゆーようなアウトルックに惑わされずに聴くと、ピアノ(ディルク・モンメルツ Dirk Mommertz)にかなり主張があり、モーツァルトの場合も、「ウィーン風」というのとはかなり違うような、緊張感の高い演奏をする。

 なお、「フォーレ四重奏団」という名称のピアノ四重奏団は、すでに「Quartetto Fauré di Roma」という、イタリアのアンサンブルがある(瑞ClavesからCDが出ている)。

 このディスクと演奏団体が気になるにつれ、ググるとよく出てくる、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番と第3番のディスクにも食指が動く。これもDGで、2007年録音。両方ともベルリンの Teldexスタジオでの収録、そこそこお洒落なブックレット、レーベルのデザインには共通性が持たされているが、プロデューサー、トーンマイスターは異なる。

 で‥‥ブラームスのほう、新品ショップでは新しいせいかモーツァルトよりお高い。国内盤も同じくらいで手に入るようだが、こっちは SHM-CDで、経験的に SHM-CDは高域エッジが強めで好きではなく、オク出品の外盤中古を、送料込み1,100円ほどで入手。
 そうしたら、書いたように、ディスク周囲部を緑のマーカーで塗ったお品が送られてきた。

 いちおう無水アルコールを浸したティッシュでゴシゴシ、エッジ部をこすって落としたが、若干染み付いていそうな? ;;;
 その旨は伝え、が、除去はできたので「今回はOKだが説明は欲しい」というメッセージを送っておいた。諒解したのでいいと思ったのだろう、返事は、無い。

 ― そのブラームスなのだが、これもなかなかいい演奏で、名盤といっていいだろう。
 1枚ものなので、当然ながら第2番が欠けているが、これは、ピアノ三重奏曲の、ピリス、デュメー、ジャン・ワンの DG盤と同じ。

 米Amazonの商品ページには、第1番と第3番だけのレギュラー盤である当盤より、2枚組で全曲が安く揃う、ドーマス Domusの Virgin(現 Warner/Erato)盤のほうを勧めるレビューが上がっており、それを意識してか、別のレビュアーは「In any case, I recommend that you look past the omission of the second quartet and just get this disc - it's worth it(いずれにせよ、第2番がないことは忘れて、このディスクを入手することをお勧めする。その価値がある」と書いているのは、頷ける。

 ドーマス盤も持っており ― なのでフォーレ盤はちょっと躊躇していた ― ドーマスのもたいへん熟した、室内楽としてのよさを十全に表現したものだと感じるが、フォーレ四重奏団盤は、月並みな言い方になるけれど、「ドイツ的」な緊張感が高いものだ。
 ちょうど、ピアノ三重奏におけるトリオ・フォントネと通じるところがあるが、表現の幅はさらに広く、音楽に沿って激しくもなる。

 ダイナミック・レンジも大きな演奏なので、弱奏部分をちゃんと聴こうと音量をセットすると、強奏部分で音量を下げたくなる、ということはある。

 ドーマス盤は、ピアノのスーザン・トムズ女史の懐の深いピアノが全体を柔らかく支えるが、フォーレ・クヴァルテットのほうは、舞曲楽章のリズムが切迫感を帯び、“青春の、暗い情熱”みたいな雰囲気を醸し出している。

 あと、左上のは、評論家の推薦盤には上がってこないが、ネット上に評価のある、プレヴィンとウィーン・ムジークフェライン(と向こうの人は発音するのかな? 「ムジークフェアアイン」のような気がして…)四重奏団による PHILIPS盤。
 オクや Amazonには海外盤がそう安くもなく出ているが、1,450円の「フィリップス・スーパー・セレクション」で出ていて、これがオクで送料込みの激安、加えて、Yahoo!上でよくあるのだが、期限付きTポイントが300点付いていたこともあって、即落。

 ブラームスのピアノ五重奏は、冒頭がユニゾンで始まるという、ナンとも芸のない(と聞こえる)始まり方に、あまりいい印象を持っておらず、ポリーニとイタリア四重奏団の有名な盤も手放して、1枚もなかった。

 今回のプレヴィン盤の顔ぶれでは、モーツァルトの四重奏曲を聴いていて、これは「国内盤新品を定価で買う」という行為が、あまりありがたみをもたらさないことも相俟って、印象が薄かったのだが、ブラームスのほうは、全体の、こちらはまさに「ウィーン風」の「歌い上げる」演奏で、モーツァルトよりこちらのほうがこの顔ぶれには合っているように感じた。

 音は、上の DGの2枚などに比べると、高域エッジがちょっと強調されたように聞こえる。
 これはドイツ盤のほうが柔らかいかもしれない。ポリグラム(ポリドール、現ユニバーサル)系は、同じマスターでも内外で若干違いを感じる。

 下段左は、モーツァルトの弦楽三重奏のためのディヴェルティメント K.563。
 他の「ディヴェルティメント(喜遊曲)」とは同カテゴリーとは言えない、単独の「弦楽三重奏曲」という存在で、ベートーヴェンの後期の四重奏曲みたいな立ち位置にある楽曲かも?
 アマデウス四重奏団員の DG盤だけ持っていたのだが、もう1枚欲しくなり、クレーメル、カシュカシアン、ヨーヨー・マの CBS盤(Sony)。

 「High Clear Digital」のロゴのある、1996年発売の、国内ソニーの「ベスト・クラシック100」の1枚。Amazon中古ショップで、未開封品でした。
 ソニーの「ベスト・クラシック100」は、この次くらいのラインナップから DSDリマスターを施してきたと思うが、私は、バーンスタインの東京公演のショスタコーヴィチなど、DSD盤は好きでなく、この96年のシリーズに買いなおしている。

 以下、余談。
 この「ベスト・クラシック100」、最新のは1枚本体1,600円でブルースペックCD2、何より RCAを飲み込んだため、それぞれの名盤が大幅にカットされるに至っている。室内楽は、ついに1枚もなくなった。 訂正:室内楽は、モノラル期の、ハイフェッツ・トリオの『大公』のみになった。ステレオ録音の室内楽はなくなったわけだ。

 生田絵梨花チャン♪ をイメージ・キャラクターに起用して意匠を凝らしているが、CBSと RCAという、アメリカ二大レーベルを統合して、なおかつ「ベスト・クラシック100」というのは、どう考えてもムチャである。
 日本のレコード会社に対して、まったく余計なおせっかいだが、この辺で「ベスト・クラシック200」とでもするか、「ベスト・クラシック100プラス」とでもして名録音を常備するのがいいと思うのですが‥‥もうディスクの時代じゃないのかなあ。

 クレーメル、他の K.563(「ごくろうさん」と覚えてしまう。あ、このナンバーの真空管、あったな^^‥‥いや、まさに文字通り「ご・く・ろう・さん」=5963でしタ^^;;)は、意外に‘室内楽’した、緊密な演奏。マ氏が、自分を全くといっていいほど主張していないのがまた、すごい。

2セット、ポチっちゃいました^^。

ブルックナー、ヨッフム(DG)  ショスタコ、ペトレンコ


 ま、買うか買わないか考えていると、だいたい買うことになりまス;;。

 ショスタコーヴィチは、オクに久しぶりにバルシャイ/ケルン放送響のセットが安く出てきたりしていたが、当初の予定どおり、Naxosのペトレンコ盤。
 ネットオクに新品が、Amazon海外ショップとタワーや HMVの中間ぐらいの値で出ていたもの。送料別で5,000円の新品。

 マルケヴィッチの子息、オレグ・カエターニのセット(単品はSACDだった記憶があるけれど、セット(Arts)はどうもCDらしい)も安く、気にならないこともないが、単発の時からリスナーの間で評判だったヴァシリー・ペトレンコのものを購入。

 問題はブルックナー。
 ヨッフムのドレスデン盤は、初出の海外盤と、ARTリマスターのボックスを両方聴いたことがあり、両方とも手放している。
 前者は低域は豊かだが中域より上がモコモコ。後者はずっとよくなったが、今度は高域を強調しすぎ、かつ、西側レーベルに来ている旧東独VEBのテープは、どうもどこか劣化しているふうがあって、基本的な透明感に欠けていた。
 加えて、ヨッフムの演奏のいささかの‘あくの強さ’がやや肌に合わず、ということがあった。

 ブルックナーの交響曲全集が欲しいのは、第1番、第2番、第6番の、とくに緩徐楽章が聴きたいからだ。
 後期三大交響曲などは、すでに大名盤が手許に複数ずつあり、それでもう十分なくらいなのである。

 まず、スクロヴァチェフスキー。Arte Novaより、あとで移籍した Oehmsのリリースのほうが若干でも音がいいかも、と思い、試聴ファイルがあるサイトに‥‥と探すと、Prestoclassicalのページで聴けた。
 が、聴いてみると、00番、0番の急速楽章の出だしなどは、楽曲自体がそうなのだが、えらく高速で元気な感じがして、違和感がある。

 う〜ん、ほかに候補というと‥‥と探して、ハイティンクのアナログ期の全集があり、まだ4,000円ちょいで求めることができそうだ。
 この試聴ファイルを聴いてみたら、緩徐楽章の低弦の深〜い響きなんか、じつにいい。

 しかし‥‥よ〜く見てみると、ハイティンク盤は、かなりの楽章でミスターSより演奏時間が短い、つまり速い(繰り返し等は考慮に入れず)。
 ハイティンクのブルックナーは、のちのウィーン・フィルとの再録音、さらに三大交響曲のコンセルトヘボウとの再録音が高い評価を得ていて、60年代のこの全集はほとんど言及されない。

 いや、それなりの巨匠の全集であって、どちらも聴き込めば得るものは少なくないだろうことは想像に難くない。
 が‥‥やはり第1、第2、第6の緩徐楽章の、弦楽の深み‥‥となると、ヨッフムの旧盤=DGのセット、ということになる。

 上のリンクは、DGのサイトのページだが、各楽章1分間ずつ、じっくり(でもないか)聴ける。
 旧全集は、第1、第4と後期三大交響曲だけがベルリン・フィル、ほかがバイエルン放送響の演奏で、これはよさそうだ。

 ヨッフム/ベルリン・フィルのブルックナー:第1番は、40年以上昔だったろうか、国内盤LPで聴いて、第2楽章の美しさがとくによかった記憶がある。
 単発のCDも買った記憶があるが、手放している。

 なんで第1かというと、宇野功芳氏の『名曲とともに』(帰徳書房、1974年)の最終章「ぼくの愛聴盤」中に、夕食後の愛聴盤としてブルックナーのいくつかの中に「ヨッフム指揮の「第一」スケルツォ(グラモフォン MG1361)は浮き浮きするほど愉しい。ヨッフム指揮の「第六」アダージョ(グラモフォン SLGM1388)からは清らかな自然の寂しさを実感し、…」(222〜223頁)とあったからだと思う。

 たぶん買ったLPレコードは文中にあがる MG1361だったのだろう。音質的には高域が明るいカッティングで、のちには不満を覚えただろうが、当時はそこそこ満足していたようだ。
 そうそう、今回初めてヨッフムのDG盤全集を、その第1以外も ― 宇野氏の言う第6も ― 聴ける。

 こちらもオクで新品、4,000円ほど。
 両方とも配達は日本郵便(ゆうメールと、レターパック)なので、ヤマト運輸のドライバーさんの過酷労働にさらに負荷をかけることもなく‥‥が、これはまた現今深刻な問題なのであるが。

 ヨッフムのドレスデン盤は、EMI最末期に Iconシリーズの20枚セットで、ベートーヴェン、ブラームスの交響曲全集にバッハの『ロ短調ミサ曲』なども加えて、大半が再度リマスターされた形でまとめられ、まだDG盤のブルックナーより場合によっては安く入手できる。
 ブルックナーだけでも音質面では改善があると思われるが、さすがに20枚組のCDボックスというのは、手許に置くことだけでも抵抗感がある。
 現在、最も枚数の多いセットは、弟宅から強引にもらってきたサヴァリッシュの『指環』(EMI+NHK)の14枚セットである。


 ‥‥という、「ポチっちゃいました〜」報告でした。

ぼつぼつCD購入も…。

E.クライバーのベートーヴェン
 休みは多いのに、前日の未明までネットを見ていて、起きるのが極度に遅く、意外に音楽が聴けていない。

 が ― 先日、ちょっと衝動買い的に買ってしまった、エーリヒ・クライバーのベートーヴェン、その第6番『田園』の第2楽章を聴いてみた。絶品でした。

 ONTOMO MOOK『リーダーズ・チョイス −私の愛聴盤− 読者が選ぶ名曲名盤100』(音楽之友社、2000年12月)では、読者投票リストに、第6番『田園』のみ、8位に入選している。
 第3、第5はリスト入選はなく、第3のほうがコンセルトヘボウ盤への読者コメントだけが載っている。

 入選の第6番は、ワルター、クレンペラーについで、高齢者=60代の支持が高い。これは初出の時代の影響が大きいだろう。

 私の入手した E.クライバー/コンセルトヘボウの『田園』は、ポリグラム盤ではなくキングレコード盤で、音質に不安がないことはないけれど、実際に聴きすすめると、高域には若干の混濁感がありつつ、中〜中低域と低域(ほんとうの低域はうちでは出ない)の充実感が補い、かなり厚みのある音を聴くことができて、速いテンポで進む第1楽章を通過し、第2楽章に入ると、すでに指摘されるように悠然とした進行になり、もう何もかも忘れて「ベートーヴェンの田園の、小川の光景」に誘い込まれる。

 末尾に近づいて、カッコウの擬音が奏される時には、聴き手は完全に音楽の描く世界に散策している。
 ‥‥あまりにすばらしく、そしてちょっと長く聴いていたので、その日はこの印象でリスニングを終わるべく、第3楽章以下は聴かずに‘針を上げた’…じゃなくてCDを取り出した。

 これは買ってよかった。
 同時に入手した、ウィーン・フィルを振った第3『英雄』、こちらはポリグラム盤だったのだが、高域は透明できれいな音なのに、中〜低域が薄く、全体として音楽の感興が、キング盤のコンセルトヘボウの『田園』のような具合に感じ取れない。
 低域が分厚くないのは、ウィーン・フィルの特色でもあるので、その辺もあると思われるが、キング盤が必ずしも悪いとは言い切れない例を、今回も経験した。
 全体にノイジーなところがあるが、キングに来ているマスターテープをそのまま、情報量を抑えも強調もせずにデジタル化したというふうである。

 もっとも同じマスターを使った MZ規格や K15C規格などのLPレコードだったら、高域の強調感が耳障りだったろう。

 ‥‥ちょっとCDを買い過ぎている、それでいてまだオクや Amazonを渉猟してやまない物欲地獄をさまよっている愚生であるが、手許に集まったディスク群をしげしげと眺め、実際に再生してみて、「いや〜、いいレコードばかりだぁ」と感心しない日はない。

 その上、まだまだじっくり味わっていない、とくにオペラのディスクは全トラックに耳を通していないアイテムも少なくないので、ほんとうに「もう買うのはやめよう」と思うこと頻りなのであります‥‥が。

 だいたいちょっとしたクラシック・ファンでCDを集めている人なら、「こういうのは持っているだろう」というセットで、持っていない(含む:手放した)ものは意外に多い。

 交響曲全集で、持っている作曲家:ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、シベリウス、ニールセン。
 同・持っていそうで持っていない作曲家:ブルックナー、チャイコフスキー、ドヴォルジャーク、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ、ルーセル、オネゲル、ヴォーン=ウィリアムズ。

 エルガーやスヴェンセンはそれぞれ2曲しか書いていないので、持ってはいる。マーラーは、バラで全曲、あることはある。

ブルックナー/ミスターS   ショスタコーヴィチ/ペトレンコ


 それらのうち、ブルックナーとショスタコーヴィチの交響曲全集は、持っていてもいいかな〜、と思いつつ、いろいろググっている。

 ブルックナーは、ヨッフムのドレスデン盤、EMIで ARTリマスターしたボックスを持っていたけれど、そんなに聴かないまま、生活費に変わった。
 ショスタコーヴィチは、バルシャイの Brilliant Classics盤をいちど入手するも、これもあまり聴かないうちに換金。
 ひとつには Brilliantにありがちな、情報量の少ないツルツルした音も不満だった‥‥現用の装置ではもっといい印象を得られるかもしれないけれど。

 ブルックナーは、買うとしたらスクロヴァチェフスキーの Oehms盤か。ショスタコーヴィチは、ペトレンコ盤(Naxos)を考えている。

 両セットを揃えるとすると、8,000〜11,000円くらいの出費だろう。
 2016年度分の税金と国保・年金保険料は、1月末までで収め終わったので、少し余裕のある分が回せるけれど、賃貸の契約更新手数料なども今年はかかってくるし、(私としては)お高いスニーカーを、もう1足買った(後述)。
 さてさて。
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二つの『スコットランド』、そして『時の旅人』。

 ‘幸福すぎる人生を送るあまり、その音楽に深みがない’ふうな言われ方をされがち(?)な、ヤーコプ・ルートヴィヒ・フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディさん。

 しかし、その交響曲第3番『スコットランド』はとても深い情緒を延々と歌う。
 交響曲第3番と、序曲『フィンガルの洞窟』(ヘブリディーズ序曲)とは、作曲者が、16世紀に悲劇的最期を遂げたスコットランド女王メアリー・スチュアートへの関心、具体的にはホリルードの宮殿を訪れた印象にインスパイアされた、ということのようだ。

 メアリー女王の閲歴は、かかわる諸事件がもう複雑で、私には何がどうなっているのやら、説明など不能。マニアの人たちがたくさんサイトを作っているので、興味のある方はググればいくらでも出てくるし、書籍も多いだろう。

クレンペラーの『スコットランド』、2種

 その、メンデルスゾーンの交響曲第3番『スコットランド』。
 世評で、抜かすことができないと言われるオットー・クレンペラー指揮の録音。ゆったりしたテンポで、悠然と盛り上げてゆくロマンの深さが圧倒的だ。

 この交響曲は、第2楽章を除いて全体に暗鬱な雰囲気を濃厚にし、メアリー女王の悲劇的最後に向かってゆくような暗さを基調としているけれど、終楽章のコーダで長調のコラールが姿を現わし、そのコラール(ファンファーレふう?)を高らかに歌い上げて全曲の幕を閉じる。

 しかし、知られているように、クレンペラー自身はこの最後に突然現われる明るいコラールは、楽曲にふさわしくなく、作曲者自身も疑念を持っていた、と考え、暗いまま終結するコーダを作り、これで演奏した録音が残っている。事情は、こちらなどが簡潔かつわかりやすい。

 独自コーダのヴァージョンで残されている録音のCDは、バイエルン放送交響楽団を指揮した1969年(クレンペラー、84歳!)のライヴである。
 ニュー・フィルハーモニア管とのスタジオ録音(1960年、マエストロ 75歳)のさらに9年後。

 いずれもリリースは EMIで、ライヴ盤のほうはショップ・サイトやオクでは、ものによってはトンデモ価格になっているが、ディスクユニオン店頭では、実際に売ることを前提にしているので、千円前後の価格で見つかる。

 この独自コーダのライヴ版(盤)については、宇野功芳氏は、「これ(ライヴ盤)は終曲の結尾を自作のものに変え、短調のまま淋しく終わる。その味わいは抜群で、両方とも(スタジオ盤と両方)持っていたい」(『クラシックCDの名盤』文春新書、新・旧版とも同文)と言及している。

 また、アマチュアのレコード評も多く掲載した、『クラシック名盤 この1枚』(光文社知恵の森文庫)には、この本の中でもとくに魅力的な文章を寄せている「安本弦樹」氏が、スタジオ盤を取り上げる中で、以下のように書いている。
 「第4楽章ではアレグロ・ヴィヴァーチッシモの表示には目もくれず、堂々としたテンポを固持するが、リズムのキレが良いので「遅い」という感じはなく、さらに雄大なマエストーソで曲は締めくくられるので、全体の充実感はこのうえない。ただし、コーダが雄大であるがゆえに、帰ってこの最後の部分が冗長に感じられるという、この曲の構造的問題点をも浮き彫りにしているような気もする。
 クレンペラーはこの問題点に気がついていたからこそ、1951年のウィーン響との「スコットランド」では、第4楽章の指揮をとらなかったのだろうか。また、1969年5月23日のバイエルン放送響とのライヴ(EMI)では、短調のまま終わる自作のコーダを演奏したのは、一つの解決を示そうとしたのかもしれない(この最晩年の「スコットランド」もみごとだ。まったく緩みがなく、幻想的なまでに美しい!)。」
(62頁)

 少し前、写真のとおりライヴのバイエルン盤を入手して、先日通して聴いてみた。
 私は個人的には、終楽章コーダの高らかに歌い上げるコラールが、そしてこのコラールで盛り上げて終わる『スコットランド』が大好きなので、クレンペラー「説」にはどうも違和感がなくもなかったのだが、聴いてみると、みごとに悲哀と暗鬱の中に、あたかもメアリー女王の悲劇そのままを描いたごとくに全曲を閉じる、その説得力は大きかった。

 では、少なからぬリスナーが、むしろ「不自然」と感じ、そしてクレンペラーの独自コーダが十分受け容れられるにもかかわらず、なぜあのようなコラールでの終結を、作曲者は残したのか。
 もちろんそんなことはわからない。

 閑話休題‥‥ではなく、以下がこの記事のもうひとつの素材なのですが…。
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