『万引き家族』、観ました…。

 ‥‥任意加入の申し込みをしたら、もう納付書が! 来年3月までの分の、一括前納は、今月中が期限。
 それに、今月末から国保保険料もかかってくる。一昨年よりわずかながら高収入だったので、地方税(← こっちもある)の倍くらいの額が賦課されている。

 ということで、取りあえず納められる国保保険料額 ― 残額の予定使途の主だったものは、歯のブリッジ再構築にかかる1〜2万円? ― として、20諭吉ほどを納付〜〜‥‥ふへ〜。
 ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集、弦楽四重奏曲全集を最後に、しばらくCD漁りはストップしとります。もう、要らん。

 この2週ほどは午後の仕事はなく、夜だけ。
 なのですが、12日(木)は、賃貸の水槽洗浄のため、午後から断水するので、それなら、と、早めに出かけて、映画を観よう、となった。

『万引き家族』

 “あの”是枝裕和監督『万引き家族』です(ちょっと-笑?)。

 “ネトウヨ”の手合いが、「反日監督、反日映画」とかホザきまくっている、カンヌ映画祭ナントカ賞受賞作である。
 ウヨもカンヌも、どっちでもいいのだが、作品そのものは、映画通から評価が高いようだ。

 まず、タイトル『万引き家族』が、フェイク、もといフェイントである。これ、登場するやつらは「家族」ではないのだ。
 ストーリーを、ちょっとだけにせよ書くのは億劫なので、知りたい方はこちらなどを、「自己責任」で読んでいただく、こととする。

 感想は‥‥はっきり文章化できる、たとえば「感動」は、ない。が「感銘」は、ある。ヒトとヒトとの関係性の、ある突出した部分を描く、その印象は、もう圧倒的なものだ。

 それに感動できたり共感できたり、というのにはそうとう距離があるが、それゆえ映画芸術としてのクオリティは、ヒジョーに高く、そのために、多くの、映画に慣れない鑑賞者は、不満を漏らすに違いないだろうと容易に推測できる。

 この「家族」の「父」の収入源=万引き。
 この点で“反日叩き”のウヨ言説が、「これは日本ではなく、韓国の家族を描いている」などと言っている。
 じつは、私はこの言説は、発話者たちの意図と全然異なるところで、たいへん面白いものだと思っている

 いや実際、中国や韓国で、このように犯罪を半-生業としている家族や集団は、そこそこいるのではないか、と思わないでもないのだ。
 超々-格差拡大を続ける中国を始め、各国で『万引き家族』が、吹き替えや字幕つきで流布しまくったら、「あ、こいつら、いるいる」みたいな反応が、アジア諸国その他で起こらないでもないんじゃないか、と思いもするのである。
 そうなった時こそ、この作品のメッセージが、最も普遍的な次元で享受されることになる。

 事ほど左様に、この映画は、舞台を明らかに東京都内に設定しながら、じつはアジアの、あるいは中東やラテン・アメリカのどこかの国であっても全くかまわないような「作り」になっているのだ。
 これは監督が意図したことか、そうでないのかすら、判然しないのだが、そこがまた秀逸なところで、これが「カンヌ狙い」だったのかもしれない。

 ストーリーは、「万引き」その他、この集団の行なう脱法行為が少年・祥太の「決断」によって白日の下に晒され、警察が踏み込む、という展開になる。
 「悪いことしてたら、やっぱりツカまるぞ」ということなのだが、そういう勧善懲悪の主張でも、これまたないのである。

 「おばあちゃん」の年金を当てにし、亡くなっても届けないで年金の振込みを受け続けるという、実際にあった事件に、監督は触発されたことがいちおう公表されているようだ。
 こういうケースも、今後、若者の貧困化と社会の高齢化、かつ年金制度の整備がなされてゆくにしたがって、中国などでも頻繁に起きてきそうな気がする。

 そんなこんなの、いささかお下劣な小市民の、いっぽうで、目をそむけたくなるほど暑苦しい「絆」感。こういう視点から、「人間を問うた」作品だ、と言ったらいいだろうか。

 描かれる“家族”の持つ「絆」は、私には暑苦しすぎて、こういう人間関係の中には、いたくない。
 が、こういう極端な関係が、「関係」の本質の一端を浮かび上がらせる。

 作中、親に虐待されて寒中に屋外にいた少女。
 彼女の両親は、夫婦の間にも愛がないが、どちらかというと「チャンとした」社会人のかっこうで描かれている。

 現実社会で子どもを虐待する両親は、多くの場合、経済的貧困の境遇にある。だがそちらのほうはこの映画は描かない。
 「祥太」も、実の家庭では虐待を受けていた可能性が高い‥‥ように想像させる。

 ということは、この(ほとんど犯罪を媒介として集まった)「疑似家族」は、さまざまなのものから「逃げて」来た人びとの作った避難所 refugeだ、ということになる。
 そういうものを「場」として、そこで思考実験のような、ファンタジーのような、なんとも形容しがたい、しかしきわめて印象的な一篇を創り出している。

 とりあえず、予告編を下に:


 この映画の上映と受賞に関して、映画がというより、是枝監督がウヨ系のクズ言説に晒されているのは、単純に糖分が流れ出ればアリが群れだすようなもので、あまり重要でもない。
 この手合い ― だいたい、映画は観ていないみたいだ^^ ― の無知性・無思考が典型的に露呈しているのは言うまでもないし、そもそも「映画」というものがなんであるのかわかっていない。

 その主な火種は、韓国のメディア『中央日報』へのインタビュー発言であるようだ。インタビューはこちらで読める。
 注目された部分は、
 −−経済不況が日本をどのように変えたか。
「共同体文化が崩壊して家族が崩壊している。多様性を受け入れるほど成熟しておらず、ますます地域主義に傾倒していって、残ったのは国粋主義だけだった。日本が歴史を認めない根っこがここにある。アジア近隣諸国に申し訳ない気持ちだ。日本もドイツのように謝らなければならない。だが、同じ政権がずっと執権することによって私たちは多くの希望を失っている」

の部分だろう。
 発言の実態をどれだけ反映しているか懸念はあるし、是枝監督は、インタビュアーが韓国メディアであることを意識しすぎた感も読み取れる。

 「日本は経済不況で階層間の両極化が進んだ。政府は貧困層を助ける代わりに失敗者として烙印を押し、貧困を個人の責任として処理している。映画の中の家族がその代表的な例だ」
とも言っている。こちらのほうは、監督の思うところと受け取れる。

 しかし、「映画の中の家族」は、ここに監督が、「政府に、失敗者としての烙印を押された」具体例、などというようなものを、はるかに超える多義性を含意している、と感じた。
 加えて、是枝さんという人は、映画に描かれた類いの、また、日本で失われてきたという類いの「絆」を、ずいぶん過大評価しているように感じた。

 この映画は、監督や演者、製作スタッフの思いを超えたところにまで、意味の深さが至っているのかもしれない、と思った。

 さて ― 映画館のジジ・ババ割引額:1,100円というのは、1,800円で観てきた(あんまり観ないのだが)者には、ありがたいけれど、いささか安すぎる。
 何度も言うが、通常1,500円、シニア 1,200円くらいになれば、もうちょっと公平感はあるし、入場者も増えるだろうにねえ。

レヴァインさんのモーツァルト、とか。

 ‥‥昨日(=アップ時点で一昨日)は、私学共済の要求している(らしい)書類の請求に、年金事務所に行き、今日(=アップ時点で昨日)はゴゴイチで、大病院の口腔外科の診療。
 お蔭さまでこちらも、レントゲンで、左上顎洞はきれいになっているということで、この治療はこれで終了、あとはかかりつけの歯科医院でブリッジの再構築となる。

 国民年金のほうは、65歳直前まで可能な任意加入は、遡ってはできず、申し込んだその月からになるということで、しかも任意加入の場合、保険料の納付は口座引落しのみということで、引落し口座の通帳確認と、申込書への銀行届出印の押捺などが必要というので、病院からもどってすぐまた、電車とバスを乗り継いで年金事務所。

 全額前納で、年額20万弱の保険料(4月末に引落しらしい)、現在の経済状態ならまあ払えるか、という状況なのだが、もらえる年金額は微々たる額だろう。それでも、今数十万円を貯金しておくよりは、たぶん有利だ。
 明日はイレギュラーな仕事が夕刻少し、と、今週はユーイギな“夏休み”‥‥だったかも。病院と年金‥‥人生のメンテであります〜;;。

 さて。モーツァルトの交響曲で、いわゆる「後期六大交響曲」の前の、第25番ト短調、第29番イ長調、第31番ニ長調『パリ』の3曲。
 これが1枚に入っていて、そこそこ評価も高い、レヴァイン/ウィーン・フィル盤(DG国内盤)。

レヴァインのCD

 国内盤の音質ということ ― 高域エッジがキツめで、音の潤いに欠ける ― もありそうなのだが、演奏がどうも琴線に触れこない。
 もしかすると、「音楽」だけでなく、「ジェームズ・レヴァイン」という人の、容姿(おっと)と、“あの件”の影響が、皆無とは言えないんじゃないか、とか思ったり。

 こういう感想になってきたのは、第25、29、31番で、エルネスト・ブール/バーデン・バーデン南西ドイツ放送響盤(Classical Gold)、第29番では、シモン・ゴールドベルク/オランダ室内管盤(Philips → Retrospective)が手許に来たためでもある。

モーツァルト、交響曲CD


 エルネスト・ブールの、正体不明録音のモーツァルト交響曲集は、どれも聴くごとに味わいの深まる、なかなかの名演だと思う。
 レヴァイン/ウィーン・フィルの演奏では、中声部・低域などヴァイオリンに対する対旋律を、むしろできるだけ響かせないようにした感が強く、これはウィーン・フィルのやり方でもありそうである。
 ブールのほうは、この辺はず〜っとニュートラルで、楽曲の構造が見えやすい演奏だ。
 それでいて、楽想の歌わせ方にはニュアンスがあり、乾いてはいない。

 先日、オクで買った、ゴールドベルク PHILIPS録音集成(Retrospective、8CD)は、まだまだ聴き込めておらず、ゆっくり聴いていきたい。
 この中にモーツァルトの交響曲第29番(1958年ステレオ。マスタリングもいい)も入っている。

 快適なテンポで進めてゆく演奏だけれど、レヴァインの快速が、どこか「慌てて、前につんのめってゆく」のに対して、地に足のついた進み方のように聞こえるし、ブールにしてもゴールドベルクにしても、ちょっとした「ホッとする」フレーズを、聴いていて「ホッとする」ように演奏している(と聞こえる)のだが、レヴァインの演奏には、何か安らぎが不足する。

 「小ト短調」第25番については、ワルター/ウィーン・フィルのライヴ(Sony日本企画)盤もあり、こういう状況だと、レヴァイン盤は便利ながらほとんど魅力がなくなり、手放す方向で考え中。

 上の写真に写っている2枚だけが、手許にあるJ.レヴァインさんのCDだ。
 もう1枚は、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルなどの管の名手たちと演奏した、プーランクの管の室内楽曲集(DG国内盤)。
 こちらも、ジャック・フェヴリエらによる仏EMI盤(→ Brilliant Classics)や、エリック・ル・サージュらによる RCA盤という、お膝元フランスの名人たちによるディスクがあり、それらのほうが「フランスの味」がありそうではある。

 が、EMI盤はいちど持っていたもののあまり魅力を感じないまま手放している。
 レヴァイン盤は、レヴァインさんはピアノ担当、いわば縁の下の力持ち(いかにも!^^)であって、独墺系の管楽器奏者の、曖昧化しない、端正できっちりした歌わせ方が、これはこれですばらしく、こちらは置いておこうと思う。1枚ものなので、聴くにもいい分量だ。

 手放すCDの選出も、ちょっと進み、の現状であります〜。

年金請求書…。

 内視鏡検査終了の昨夜は、アルコール抜き、食後のコーヒーもカフェインレス(ネスカフェの。これけっこういけます)、寝る前に足湯してぐ〜っすり熟睡。
 今日は正午を越す前に起き出し、じ〜つに快適な“夏休み”状態です♪(金曜にイレギュラーがちょっとある以外、今週は仕事なし。)

 さてその夏休みに何をしようか‥‥となると‥‥
 ちょっと前、私学共済から、年金請求の案内と書類が到着している。

年金請求書類

 4年だけ、任期制職在職時に私学共済に加入し、毎月安くない保険料を天引きされていた、その「年金」。
 あれ? 年金って65歳からだったよな、まだオレ働いてるし、年金とくに要らんし、などと考えるのだが、私の生年だと、満62歳から、「特別支給老齢厚生年金」が受給できる、ということだった。
 「ことだった」というのは、私学共済事業団の電話相談室に電話をかけて確認した。

 65歳から支給される“本格的な”やつは「老齢厚生年金」であり、国民年金の「老齢基礎年金」とは(合算になるかどうかはともかく)別仕立てとなる。
 さらにその前段階として、62歳から「特別支給」分が、年金全体の加入状況と関わるが、資格があればもらえる、ということだ。

 国民年金は、65歳支給を繰り下げて受給すると、年金額が増加するというシステムがあるのだけれど、今回の「特別支給…」に関しても、繰り下げ、ないし受給辞退することで本来の老齢厚生年金の額をアップすることはできるのか、と聞くと、それは「できない」とのこと。つまり、今回の請求は、できるのならするしか、つまりもらうしか選択はないことになる。

 うっへぇ〜、まだ(そこそこ;;)ピンピンしていて、人さまほどではないが働いているのに、「年金受給」って? それも、4年だけの短期任期制だから、月数千円(もあるのか? )ていどもらっても、CD代に消えてしまうくらいしかない。

 もうひとつ、国民年金(のみ)に関してのことだと思うが、年金受給を始めると、未納保険料の納付はできなくなるということがある。
 システムが異なるが、私学共済の「特別支給…」を受け始めたから国民年金の保険料が納付できなくなる、というのは、今後、追納や遡っての任意加入を考えている身としては不利である(これは、どうやらそうではないようである)。

 それと、システムが統合されつつある現在なのに、私学共済の案内には、該当する条件の場合、年金事務所発行の「年金加入期間確認通知書(合算用)」を添付せよ、とある。
 年金事務所に電話すると(今日は切られなかった;;)、「統合化しているはずなんですが…」と訝られた。

 とまれ、そんなことどもを聞きに、明日年金事務所に行ってきます。
 「夏休み」の仕事しては、悪くないかな。

 私学共済の書類では、年齢が若くなるにつれて、「特別支給…」などは受給できなくなるような記載だった。
 若い世代ほど、条件は悪化している。これは国民年金でも同じだろう。年金状況が、未来の世代ほど悪くなる国、なのである。

 まあそれはどこの国でも同じだろう ― 少子高齢化するし ― と思ったら、そうでもないらしい。これでも日本は、世界に冠たるスバラシい国、なんだろうかね。

 とはいえ、そこそこの私学の専任教員であり続ければ、相当額の保険料は天引きされるけれど、年齢に達すれば、ある種ガバァ〜ッと年金を受け取れる。大学院修了後、すぐに就職して定年まで勤め上げれば、あとはまあ悠々自適だろう。

 私学共済事業団の本部は、私学共済の経営するホテルグループ、ガーデンパレスの「ホテル東京ガーデンパレス」にある。

東京ガーデンパレス

 こういう ご〜っじゃすなプレイスに宿泊し、ケッコン式などお挙げになる先生方は、羨ましいけれど、私には完全に無縁だ。

 世には、ほんのちょっとの何かの差で、専任になれる人と、一生非常勤、非正規の人に分かれる不条理がよく言われ、これは深刻な問題だと思う。

 が、私に限っては、そういう“不条理”な状況でそうなった、というケースとは言えないだろう。私自身の能力と人格という面で、どうしてもそうであらざるをえなかったと、客観的には思う。
 もし専任教員に就任していたら‥‥研究業績面でひどく恥ずかしいことになっていただけでなく、学生指導の局面でも、トラブルを起こしかねなかったことは十分に考えられる。

 そもそも、私は成人後も、「『レコード芸術』を見ながら、「このレコード、欲しい」とだけ考える不登校生徒」であり続けた。
 そして、今、その不登校生徒のまま、その夢をほぼ叶えている毎日、なのかもしれないのである(あちゃ〜)。

 年金請求書を手にして、そんなことを考えましタ。

内視鏡検査、終了〜。

 5月の血便の件で予約した、大腸内視鏡検査、2日にお蔭さまで無事すませ、異常なし、でした。

 例によって、当日未明からトイレに十数回、通院してから(病院で大腸洗浄剤を飲む形にしてもらった)20回近く? トイレ。大腸からではなく、肛門から出血した(まだイタいっす;;)。
 朝9時通院で、洗浄剤を飲み始め、午後3時ごろから検査、内視鏡を通していく時にちょっと痛みはあるが、ささっと済んで、憩室が1ヶあったが、ポリープはひとつもなく、終了した。

 本人負担額4,890円也で、お会計終了。
 5月の受診時(予約した時)には、レントゲン、血液検査もあって、4,580円+検査食1,620円。全部で11,090円。

 あ! 内視鏡機器のメーカーと型番、聞き忘れた!! (ってそんなもん聞くヤツいるか^^。)
 たぶん、あの、宮あおいタンがCMやってる、テクノロジー最高でコンプライアンス最悪の、あのメーカー製でしょう。

 大腸洗浄剤(今回は(も)、マズいと評判のニフレック)は、飲んでいる時はマズくて吐き気をもよおしかねないくらいだが、腸の内容物がほとんど排泄されると、全身の気持ちは不思議にすっきりして、風景が美しく、くっきり見えるような気がする。

 帰宅して、検査後最初の軽食は、はちみつ入りミルクティーと、最近ハマっている、パスコの「フルーツカンパーニュ」スライス1枚、他。

 そのあと、42日ぶりの散髪‥‥税込み1,000円カット。
 で、シャワーを浴び、着ていた衣服を替えた。

 夕飯は、ローソンストア100の「ぶっかけうどん」の、ツユを増やし、ワカメ、にんじんを入れて、かけうどんに、その他。
 今夜はアルコールは飲まずに寝ましょうかね。
 (画像なし;;)

どうなってんだろうね。

 “労働時間”は短いものの、全休日が日曜日だけというのは、ナンだかすぐ飛んでいってしまうし、休んだ気がしない‥‥いや、毎日、仕事場でも休んでいるようなもんだろ、と言われれば、ま、そうかな、‥‥でもないんですがねえ。

 この1週間、つまり6月が終われば、次週はほぼ全休です〜♪ 大腸内視鏡検査やら、口腔外科のレントゲンなどもあるんですが‥‥。

買い込んだCDセット

 CDは、セットものをしこたま買い込んだ6月であったが、これは「いいレコードを買った」という思いも一入である。
 アルフレート・ブレンデルの初回のベートーヴェン、音がじつに透明で、「これ、60年代の Vox録音なの?」、「これで Brilliantのマスタリングなの?」と訝るほど音がいい。

 アルテミスQの、ベートーヴェン:第2番の冒頭も聴いたが、ほんとうに「楽想が言いたいことを、言いたいように語っている」ような、目の詰んだ、しかし神経質ではない演奏。
 エルネスト・ブール/バーデン・バーデンのモーツァルト、これも聴くほどに、よろしい。輸入元の「帯」は、ディスクの出し入れにウザッタいので棄てた。が、帯に「深遠な精神世界に…」云々とか書いてあった文言が、実際に聴くと「なるほど」になってくる。
 第25番(小ト短調)は、低弦・対旋律を極力目立たせないレヴァイン/ウィーン・フィルよりも、楽曲の構造がしっかりと見えていて、かつ無機的では全然ない。

 さて ― テレビがないので、森加計の展開も追えないけれど、同時に某ドン・ファンなどのクソ・ニュースの山にも触れないで済んでいる。
 相も変わらず、もはや公文書改竄は「そんなの、いくらあったってかまわんでしょ」状態だし、そしてついに、現政権の、ある意味で「ミッション」であった、「働かせ放題改革法案」と「カジノ法案」の成立に至りつつある。

 ときおり YouTubeで目に入ってくる、「デモクラシー・タイムス」の最新号。


 18分くらいから竹信三恵子氏が言っているように、人件費=勤労所得を徹底的に押さえ込み、ますます内部留保を膨らませ、ダブつきまくった資金を、M&Aに湯水のごとく注ぎ込み、挙句のはてに大損を出す、という惨憺たる“大流行”が生じているようだ。

 次のトピックの、カジノ法案ゴリ押し成立も、キモは、海外の国際カジノ資本に、湯水のごとくカネを貢ぎ倒す、というハナシだ。
 その“親分”みたいな、シェルドン・ゲイリー・アデルソンなる人物は、在イスラエル米大使館のエルサレム移転を、トランプにさせた人物として知られる。

 野党や一部“サヨク”ジャーナリズムは、安倍政権の「揚げ足取り」ばかりし、「反日」だ、というのだけれど、このところの現政権の、経済における舵取りは、これははたして「利日」なのか?
 これでも、政権は4割近い支持率を獲得しているのだから、たしかに国民のかなりの部分は、こういった経済政策に賛成なのだ。
 摩訶不思議。

散財報告−続篇。

 前回の、“HMV中古盤祭り”(← 勝手に自分で)のほとぼりも冷めないうちに、また約1ダース注文。

6月購入分

 今度は新盤1セット=アルテミス弦楽四重奏団のベートーヴェン全集
 Virgin/EMIの制作だが、届いたものはすでに Warner/Erato盤になっていた。

 これは、なかなかもってたいへんなセットだ。
 私は、第12番 Op.127の出だしの、ブ厚い響きが好きで、試聴でこの部分がいい感じだったのでアルテミスQを選んだ ― 安かったのももちろんだけれど。

 ヴァイオリンの音の、倍音がかなり入ってきて、アルバン・ベルクQの残響多めで、高音のツルンとした音とは、取り方の方向性が真逆に近い。
 C-7030で始めの2楽章を聴くと、耳にキツいところと、演奏自体がきわめてスケールが大きいと同時に精細なことが相俟って、じつに疲れる
 1楽章聴き進めるのが、まるでフルトヴェングラーの振る第5交響曲を聴くがごとし、なのである。ふ〜〜、シンドい;;。

 ABQのほうは、いくら現代的であっても、さすがに、バリリやウェラーからつながる「ウィーンの伝統」みたいなものを底流に持っていて、そこにリスナーは安らぎも求めつつ聴き進められるのだけれど、アルテミスにはそういう要素はなく、もちろん初めて聴いたゆえでもあろうが、「次の展開が予測できない」というように、集中力を求めてくる。
 しかし何にせよ、これは近年稀な室内楽の大輪の花といえる大収穫ではあろう。

 メンバーの交替が多く、こちらの方が、とてもていねいにまとめておられる。
 そして、全集完成後に、ヴィオラ奏者のフリーデマン・ヴァイグレ氏が若くして亡くなるという不幸に見舞われ、さらなるメンバー交代を強いられながらも、高評価と期待とを獲得し続けている名クァルテットのようだ。

 いっしょに買ったのは、カラヤン/ベルリン・フィルによる、1971年EMI録音のチャイコフスキー後期交響曲集(EMI GEMINI)。
 「盤質:S 未開封」とあったのだが、シュリンク密封はされていなかった。最初からシュリンク包装がなく、しかし未使用 or 未販売在庫だったのだろうか。

 「カラヤンにしては珍しい“爆演”」の世評のある録音だ。第4番は、一時は原盤故障でリリースできないといわれたようだ。
 当GEMINI 2枚組は、DIGITAL MASTERINGが(P)2007となっていて、この時期の DIGITAL REMASTERは ART相当になるはずだ。

 第4番をちょっと聴きだすと、高域が強く、低域はこもってモゴモゴし、金管の強奏部が過ぎて木管の弱奏部になると、ほとんど聞こえないくらいの低レヴェルになる。
 つまりはダイナミック・レンジが異様にワイドなわけで、金管のファンファーレなどの強奏部を、抑えることなく大音量で再生できるなら、「カラヤン離れ」した大爆発サウンドで、楽想の展開もカラヤン離れした濃厚なチャイコフスキーを堪能できる。
 が ― このときのカラヤンの心境はどんなものだったのか??

 あと、マリー=クレール・アラン女史による、バッハ名曲集の、2枚組、Eratoの Bonsaiシリーズ。
 細かい録音時期表記も、オルガンの記載もないが、「ADD, DDD」とあるので、2回めと3回めの全集からの抜粋が混在しているのかも、と思ったが、(P)は1983、1984、1986とある。
 今、HMVの、第3回全集(デジタル)のデータを見ると、この中の最も早い1985年収録の楽曲は、Bonsai盤には収録されていないので、2回目の全集からの抜粋ということになる。
 3回目のデジタル版全集から再編された2枚組を選んだほうが、とも思うが、2回めの全集も評価は高いし、中古価格は安かったし(432円)、何より聴きたい楽曲が多い。
 こんなレビュー(「Comments:」欄をどうぞ^^)を読むと、ポチらざるをえません;;。

 前回のHMV中古まとめ買いの、バックハウスのベートーヴェン以外の、細かい収穫。

前回のまとめ買い

 上左端:腐食で聴けなくなった、英ASVの、ブロドスキーQによるエルガーとディーリアス。クラウンの国内盤が、なんと帯つきで756円!
 中:アシュレー・ウォス(ウェイス?)という若手による、フランク・ピアノ曲集(Naxos)、右:世界初CD化の、ジョリヴェ『赤道コンチェルト』(Sony)。2011年、CDの時代が終わり始めて、やっとCD化。
 下段左:TIME盤『ソニー・クラーク・トリオ』。帯つきで1,080円。テイチクではなく、ポニーキャニオンのリリース。どっちが音がいいのか?
 中:ハーゲンQとジェラール・コセによる、ブラームスの弦楽五重奏曲(DG)。これは未開封で、高かった。すでに廃盤で、中古は安くなさそう。
 右:これはオクで。レヴィナス教授のシューマン:『謝肉祭』が、いささか面白みに欠けるので、高評価のラローチャ盤を。

 いっや〜、買った。
 今回、なんでベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集かというと、同全集は、ブダペストQ(Sony、ステレオ盤)とABQ(EMI旧盤)の2セットしか持っておらず、ピアノ・ソナタ“ですら”ブレンデルとバックハウスが揃い、加えて単独ディスクがあるので、弦楽四重奏曲全集ももう1種あってもいいのでは、と思ったからです。
 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、2全集以外、単独盤ないし後期集は、ラサールQ、ブランディスQ、カペーQと、すべて手放しておりました…。もうこれでいいでしょう。

とりあえず、散財報告;;。

 枚数にして約3ダース、“怒濤のCDポチり”の収穫が次々と到着‥‥。

 まずは HMVに注文した中古盤ばかり(!)7点14枚(下写真、箱の中)と、オクで落とした、シモン・ゴールドベルク PHILIPS録音集成(RETROSPECTIVE、8CD)。
 HMVの荷物の中に、バックハウスのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集などが入っております。
 うち1枚は、商品説明と異なり、CD-R(HMVは CD-Rは「CD-R」と表記する)で、擦りキズも多かったので、返品を願い出た。

HMVからの荷物

 見えているのは、ハーゲンQとジェラール・コセによるブラームスの弦楽五重奏曲集(DG)。
 いい演奏で、評価も高いが、廃盤で、中古も見かけにくい。他はまた別途。

 ある演奏家のメモリアルのセットなどはほぼ全く買わないのだが、バッハの協奏曲などがいいということで、しかも単独の PHILIPS盤は高騰しているので、RETROSPECTIVEレーベルの8枚組を3,000円の即落でポチってしまった。
 ちょっと聴きにはおとなし〜い演奏ばかりだが、これはい〜いセットだ。

 ついで、“アマさん”とオクで揃えた、アルフレート・ブレンデルのベートーヴェンのソナタ全集と変奏曲・小品集(ともに Brilliant Classics、米Vox録音)。

ブレンデル、他。

 ブレンデルの Vox録音は、35枚の総集成版が Brilliantから出ているが、そのうちのベートーヴェンのソロ楽曲の、ほぼすべてが、この2セット14枚に収まっているはずだ。
 先ほど、確認のためにヘッドフォンで少し聴いてみたが、とくにソナタ全集は、Brilliantの割りにマスタリングが、悪くない。

 ちょっと気になったのは、変奏曲のトップ、『エロイカ変奏曲』Op.35において、高速の強打鍵パッセージ部分で、D/A変換がうまくいっていないかのようなノイズが付帯すること。
 プレスに問題が、つまり製盤のバラツキがあったのか、A/D変換時の問題か、あるいは元の収録時にアナログ・テープに入った歪み的なものかも‥‥。

 他のロットを買い直すまでもないし、送料入れて900円だったのだから、がまんしよう(ソナタ全集も中古だが、こちらは安くなく、3,000円以上だった)。スピーカーでだと気にならなくなる可能性もある。
 ソナタ全集と異なり、変奏曲集にはモノラル録音もけっこうある。

 福島章恭さんは、Vox時代の“まだ堕落していない”ブレンデルをいたくお好みで、文春新書では上記35CDボックスを推薦している。
 これらは、1970年のベートーヴェン生誕200年の年に、日本コロムビアから、《ダイヤモンド1000シリーズ》で、ずいぶんたくさんリリースされていたようだ。
 このベートーヴェン記念リリースの一環に、ヨーゼフ・クリップス/ロンドン交響楽団による交響曲全集(Everest原盤)も入っていた。それらは、全く購入していない。

 前にあるのは、ペルルミュテールとパレナンQによる、フランクとフォーレ(第2番)のピアノ五重奏曲(仏INA, mémoireVIVE)。
 けっこう有名な音源なのである。

 この1枚は前記事の、エルネスト・ブールのモーツァルトや、アルゲリッチのワルシャワ・ライヴなどとともに、立川のブックオフ(Loft内)の500円コーナーで、である。
 ‥‥もう欲しいものは買っちゃったので明かしますが^^;;。
 他にも、Cassiopéeレーベルのハイドシェックのドビュッシーが残っていたり、FYCDレーベルのイヴォンヌ・ルフェビュールのフォーレとデュカスの1枚があったりした。
 ハイドシェックのフォーレがあれば買おうと思ったが、今週の月曜にはもうなかった(初めからなかったかも…)。

 あと、ディーノ・チアーニの6枚ボックス(伊DG)とか、ハラシェヴィッチのショパン集成(PHILIPS、Eloquence、10枚ボックス)とかも500円で買えますよ〜ん♪ よかったらどうぞ。

「アレ」、買っちゃいました^^;。

 ‥‥上顎洞の膿のほうは、ブリッジを壊した部分から、逆にカテーテル状の針を刺して、上顎洞を生理食塩水で洗浄する治療を、先週までに3回施術してもらい、ドクターの所見では、ほぼ膿が出なくなった、とのこと。
 これできれいになってくれれば、大がかりな手術はしなくてすみそうであります。

 というようなことで、CDをまた買い込み‥‥で、ついに、“アレ”を買っちゃいました^^;;。

 ブックオフ某店の500円コーナーに、マニアが放出したディスク群が入ったのか、ちょっと面白いことになっていて、買おうかどうか迷ったのだが、買ってしまいましタ。

ブックオフで。

 左のであるが、知る人ぞ知る(のか?)エルネスト・ブール指揮バーデン・バーデン南西ドイツ放送交響楽団による、モーツァルトの交響曲集。
 ネット上に、4枚組のクアドロマニア盤の記事がとても多く、それの、5枚組で第21番と第31番『パリ』も入った、完全(?)版。

 何の変哲もないが、しっかりした演奏だという評価が多く、しかし音質が金属的で耳が疲れるというのもある。
 そのとおりだった。

ハフナー

 2枚めの外周部に、盛大な引っかきキズが! ここ、『ハフナー』の場所です^^;;。
 全曲聴いて、音に影響はなく、久しぶりにじっくり『ハフナー』を聴いたなぁ、という感じだった。
 500円だから、内容に関わらず損をした気にならないということはあっても、ベーム/ベルリン・フィル盤と聴き比べて、聴き劣りがするということはなく、存在感を主張している。

 とりあえず『ハフナー』と『ジュピター』を聴いた。『ジュピター』や第40番など、編成や響きの大きな曲は、若干音量レヴェルが低く収録してある感もあるし、全体に高域寄りである。
 アンプで高域を下げ、低域をブーストして聴く、場合によっては PHILIPS TDA1549T=CD5000に任せる、等々で十分鑑賞に耐える。

 音質のせいもあるかもしれないが、「対位法をちゃんと演奏してまっせ!」的な感じがなく、しかし各声部が明瞭に歌われ、かつとても自然で、楽曲の進行とともに熱を帯びもしてくる。
 発売元は、Weton-Wesgram B.V.(だから、オランダの)という会社で、今も活動中‥‥かもしれないが、アウト=バイエルラントという町にあること以外は、不明。
 ごていねいに輸入元の日本語の帯も付いているが、こちらには輸入元カンパニー名はなし。
 5枚のディスクが薄いスリーヴに突っ込まれているので、出し入れは著しくやりづらい。

 ブールは、Astréeレーベルだったかと思うが、ドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキー、ルーセルの4枚組(フランス国立放送管)を持っていたことがある。
 『海』にしても『春の祭典』にしても、もっと印象の強いディスクが他に複数あったので、生活費に換金されていった。

 真ん中は、ルービンシュタインとアルゲリッチの、ショパンの協奏曲、ワルシャワ・ライヴである(CD Accord)。
 こちらでは、「おもしろ編」に上がり、「<姐さん、やっちまったねぇ>」とコピーが打たれている。
 じつにそんな感じで、強打鍵の連続は、ちょっと機械的にボクササイズで連打している感がある。ボクササイズといっても、モハメド・アリ級の、である!

 まだよく聴いていないが、ルービンシュタインのバックのロヴィツキは、かつてこういうイヴェントでは必ずバックを務めるのが、“お仕事”だったのだろうと思うが、よさそうだ。
 世代は変わり、このところは、カジミエシュ・コルドや、グジェゴシュ・ノヴァークといった人たちが、海外から来るピアニストたちをサポートする。

 ノヴァークは、ヤヌシュ・オレイニチャック盤(上引のサイトでは、これもいいらしいが、すでに高騰…)でもバックを務めている。
 こういう仕事は、ポーランドのマエストロは、ちょっと飽きてもやらないとしようがない仕事なのだろう。ノーベル賞のスタッフたちが「ちょっと飽きたから、スウェーデン以外の国でやってよ」とは言えないのと同じ?(ちゃうかな?)

 右の、ジュリーニ/ベルリン・フィルによる『第九』は、「アレ」盤ではありません。
 スカラ座フィルの第1から第8までのセットを買ったので、これも、となった(500円だし)。

 そして‥‥コメントで背中を押していただいたベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集、その他、怒濤のようなポチりの嵐が‥‥。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ、全集は?

 バッハの平均律‥‥ミカエル・レヴィナスのディスクには、ちょっとお引取り願おうという段になり、けっきょくまたリヒテルのクレスハイム宮録音に手が出た。
 以前持っていたのは、メロディア原盤のビクター盤で、金蒸着K2コーディングというものだった。

 で、今回は、 RCAの輸入盤、もうず〜っとまあまあ安い価格で出続けているセット。


 同じ音源のはずである。RCAのは、メロディア(Mezhkniga)と Eurodiscとの共同制作という形で、ブックレットなどには、ビクター盤に記されていた、レコーディング・エンジニア:ホルスト・リントナー('59年のケンペ/ベルリン・フィルの『エロイカ』[EMI → Testament]も担当している人)の名前すら記さない。

 リマスターの記載もないが、聴いてみると、元来「風呂場で鳴っているような」余韻多すぎの録音を、ムリにナンとかしようとしたものよりずっといいように感じる。
 ビクター盤では、「シャリーン…」というような付帯音が聞こえた記憶があるが、RCA輸入盤は少ないようだ。

 さて、そんなことで『平均律』もグールドとリヒテルという、みごとに“レコ芸名盤”で固まったあと、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集って、必要なの? という段階にきている。
 ベートーヴェンのピアノ・ソナタは、グルダの全集(Amadeo → Eloquence)をいちど手許に置き、聴いてみようとしたものの、名前の付いたものと、後期第28番以降の楽曲以外は、どうにも退屈に聞こえ、生活費の必要だった時に手放した。

 思い出したが、イヴ・ナットの全集もいちど持っていたが、手放している。

 今、ネット上で見ると、リチャード・グード(Warner/Nonsuch)、スティーヴン・コヴァセヴィチ(元EMIの Warner)、それにブレンデルの Vox録音を集成した Brilliant Classics盤などが、激安ボックス仕様で買える。
 が! ‥‥買っても、また無名曲は聴かないまま換金ということにならないか?

 というのも、現在手許にあるCD、延べ7枚、曲数にして13曲のソナタの、楽曲と演奏とが、スゴ過ぎるといえばスゴすぎるのである。

 第8番ハ短調 Op.13『悲愴』 バックハウス、アラウ(新)
 第14番嬰ハ短調 Op.27『月光』 バックハウス
 第15番ニ長調 Op.28『田園』 バックハウス
 第17番ニ短調 Op.31-2『テンペスト』 バックハウス
 第21番ハ長調 Op.53『ワルトシュタイン』 バックハウス、アラウ(新)
 第23番ヘ短調 Op.57『熱情』 バックハウス、アラウ(新)
 第24番嬰ヘ長調 Op.78『テレーゼ』 グルダ(Amadeo)
 第26番変ホ長調 Op.81a『告別』 バックハウス
 第28番イ長調 Op.101 ポリーニ
 第29番変ロ長調 Op.106 ポリーニ
 第30番ホ長調 Op.109 ポリーニ、ゼルキン(L)
 第31番変イ長調 Op.110 ポリーニ、ゼルキン(L)
 第32番ハ短調 Op.111 ミケランジェリ、ポリーニ、ゼルキン(L)

 というような状態 ― バックハウス盤はステレオ、ドイツ国内仕様 Eloquence 2枚組で、AMSIリマスター、グルダの第24番はこれもドイツ国内仕様 Eloquence盤の『ディアベリ変奏曲』のフィルアップ ― であり、たとえばアラウ(デジタル新録)の『ワルトシュタイン』の冒頭を再生するや、その美しく深〜い響きにタメ息が出るのである。

 これで、“全集”を買う必要があるのか、あるとしたら、それは「物欲」と、「買物したい欲」を満たすだけのもののような気がする。
 う〜ん、しかし‥‥。

シューマンのピアノ曲のCD。

 先月末日、立川に出た折、立川のブックオフ‥‥なんて何もないよな〜、と見たら、同じデザインの国内仕様帯をつけた未開封輸入CDが、1枚500円で、つまり500円コーナーに並んでいた。
 内容は、きっわめてレアな、マニア向けの古楽とか。ベートーヴェンの室内楽などもあったが、聴いたこともないアーティストとレーベル。

 その中で、バッハの『平均律』(仏Accord)を持っている、哲学者・エマニュエル・レヴィナスの令息、ミカエル・レヴィナスの弾くシューマンのアルバム、『謝肉祭』、『交響的練習曲』、『蝶々』の入った仏Saphir盤があったので、迷ったが買ってしまった。

 輸入元は、株式会社マーキュリーというところ。
 こちらの、『CDジャーナル』の記事に、イヴェントの開催元として出ていたりするが、ここに記されたURLは、表示されなくなっている。
 たぶん、この会社の解散か倒産のゆえに、放出されたのだろう。

レヴィナスのシューマン

 マーキュリーで付けた解説書も同梱されていて ― ファクトリーシールドの輸入CDに、帯と解説書を付けている ― ブックレットにあるレヴィナスへのインタヴューが、全訳されたりしていて、ずいぶん手がかかっている。

 何でも輸入、とか、レーベルの代理店というのではなく、ある種のセレクトショップとして、自分たちが紹介したいCDだけを、丁寧なブックレット翻訳とともに売っていたのだろう。
 税別2,800円の定価で、これはフランス盤の場合、国内盤仕様でなくても、これくらいの価格にはなるだろうから、高すぎることはないが、やはりそんなに売れなかったと思しい。

 ブックレットとレーベルのデザインは、それはもう“おフランス”そのもののお洒落さ。
 で、ていねいに開封し ― 「Télérama ffff」のステッカーも残しつつ^^ ― C-7030に乗せて聴いてみたのだが、『謝肉祭』という楽曲のキャラもあるのだろうが、あんまり面白くない orz....。

 シューマンのピアノ曲は、アルゲリッチとリヒテルだけで、計3枚しか持っていなかったが、これらは極名演であり、この3枚に比べるとちょっと気の毒なのでもあるが、精彩に欠ける。
 が! CD5000(=PHILIPS TDA1549T)で鳴らしなおすと、地味な音と音楽ではあるが、最後まで聴くと、そこそこの「聴かせてもらった」感があった。

シューマン、2題。

 しかし、第一印象の希薄さから、「これなら、やっぱり『クライスレリアーナ』のホロヴィッツ盤を買うのが正解だったかな」と考え、Sonyの国内盤で、DSD化される前の盤で、未開封品がHMVにあったので、送料込み800円ほどで入手。
 『子どもの情景』の冒頭を聴くだけでも、この世離れした美しさに、「やっぱりシューマンはこうでなくっちゃ」と大納得。

 1枚のアルバムとして、一夜のリサイタルを聴かせてもらうような気分で臨めば、レヴィナス盤も価値があるとはいえるけれど、ほかがリヒテル、ホロヴィッツ、アルゲリッチなので、聴く機会は巡って来にくい。
 じつは、ゆ〜ったりした“癒しの平均律”のつもりで買った『平均律』も、そんなに聴かぬうちから物足りなく感じ始めていて、ルートヴィヒ(リュドヴィグ、Ludwig)Qと共演したフランクのピアノ五重奏曲(Naxos)以外は、手放そうと思っている。

 M.レヴィナスは、『平均律』に関して、こちらで、
 「問題は技術面。 ‥‥普通に言えばタッチが不安定で(粒が不揃いかつ細部が曖昧になりがち)、曲によってはかなり危なっかしい(弾けてないとも言っていいくらい)。 これがコンクールだったらまず通らないだろうという曲もある」
とかなり酷評されている。

 この評者の方は、ピアノのコンクールの記事もあるように、ピアノ演奏の技術面を重視する方なので、こうなるのだろうけれど、私の耳でも、テク的に締まらないところがかなり顕著だ。

 指テク、メカニックが最高レヴェルからかなりはずれていても、ペルルミュテールのように、他では聴けない詩味、香りといったものが確固としてあるピアニストなら、聴き続けることができるのだけれど、レヴィナス先生 ― まさにパリ音楽院の先生、である ― は、アルバムによくインタヴューが掲載されることからも見えてくるが、ちょっとコトバ=アタマでアピールするピアニスト、といえそうだ(作曲家でもある)。

 ルートヴィヒQでは、レジ・パスキエと共演したブラームスの弦楽五重奏曲(同じく Naxos)も持っているが、音がきれいなだけで、表現意欲と重厚さに欠ける感じがして、ハーゲンQ+ジェラール・コセ(DG、廃盤)なんかがよさそうだなぁ、と思っていたのだけれど(ルートヴィヒ盤は、米Amazonでは、第2番が、音程が外れている、と酷評される)、これも CD5000で再生してみると、なかなか聴ける音楽になっている。

 もちろん、C-7030も絶好調で、前記事で、管球プリに色目を使ったりしているけれど、C-7030+PM6005で聴く、フォーレ‥‥イザベル・ファウストの弾くヴァイオリン・ソナタ(Harmonia Mundi France)や、パスカル・ロジェ+イザイQのピアノ五重奏曲(Decca)なんか、もう艶やかで溢れんばかりの美音である。

 そんなところで、『平均律』と『謝肉祭』は、別ディスクに気が向いておりまス。

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